「普通に僕の子供だったらいろいろマンガ読むと思うんですけど、中学生に入るまで読ませたくない漫画ってあるわけですよ。それは僕の中で三人いて、ジョージ秋山と楳図かずお、そして日野日出志なんです」
−−あー、その辺はタイミング大事な気がしますねえ。
「その中で『中学生で読ませたい』というよりは『中学生になるまで読ませたくない』代表として『蔵六の奇病』(日野日出志)ですね」
−−ついに解禁!みたいな。
「なぜそのタイミングで読んで欲しいかというと、たぶん小学生のころ読むマンガってご都合主義というとアレですけど、勧善懲悪なものが中心になると思うんですよ。正義が勝つことになってる」
−−今の王道を読むとそうなりますよね。
「でもさっきの3人のうち、楳図はちょっと違いますけどジョージ秋山と日野日出志はぜんぜんご都合主義じゃないどころか最悪だったりしますよね。不条理というか、人間の方が悪いとか」
−−勧善懲悪からは離れてますよねえ。
「『蔵六』は絵もさることながら、病気になっただけで村人とか迫害されて閉じこめられて…って」
−−普通の日本史とか歴史マンガ好きなほどショックでしょうね。
「こんなのもマンガにあるんだよ、って意味で中学生くらいで読ませたいですね。それにこの人間にすごい絶望してる感じって、マンガだから伝わってくるじゃないですか。リアルな怖さ」 |