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年末年始とくべつ企画
 
貧乏国盗り合戦


悩みに悩んで、東へ向かうことにした。

僕が前日の夜に時刻表とにらめっこしながら練ったプランによると、たくさんの領地を獲得するには大きく分けて3つのパターンが考えられる。

東に行って千葉、茨城、福島まで攻め上るパターン、西へ神奈川、静岡、山梨を攻めるパターン、もしくは北上して埼玉、群馬、栃木を攻めるパターンだ。

しかしどの策も、よほど効率よく回っても時間的に3県がギリギリ、4県目となるとかなり難易度が高い。加えて敵に先を越されたときのリカバリーなどを考え出すときりがない。

本気で2時間くらい考えた。

安藤 昌教



キーは千葉だ

この勝負、実は金額的にというよりも時間的な問題で、4県を狙うのは難しい。確実に3県取って時間内に戻ってきたものが勝つとみた。

となると交通の要所、千葉県と神奈川県を取れるかどうかでその先の動き方が変ってくる。

東京駅から最短で千葉入りする方法として、僕は京葉線で舞浜(ディズニーランドがある駅)を狙うことにした。


スタート直後から全力疾走です。

東京から最寄りの千葉というと一般的には松戸か市川を狙うんじゃないかと思う。乗り換え案内だと市川まで総武線快速で20分だ。

しかし京葉線で舞浜を攻めるとなんと14分で着くのだ。実際問題舞浜へ行ってしまうと、その後の進軍がむずかしいのだが、さいしょに千葉を盗ることのインパクトは何にも代え難いだろう。


いざ、千葉へ。

京葉線が遠い

というわけでまずは京葉線に乗りたいのだけれど、JRの東京駅から京葉線ホームまでって異様に遠いんだった。走っても走っても着かない。

他の3人は山手線へ向かったように見えたので、そうなると誰か一人くらいは市川を狙っているかもしれないぞ。

まずい、5分で京葉線ホームに着かないとこっちへ来た意味がなくなる。


無情にも天候に恵まれ、しかもクリスマス前ということで夢の国へ行くカップル達が押し寄せていた。

鼻水垂らしながら全力でホームへ走り降りるも(そんなやつ他にいなかった)直前で電車が出てしまった後だった。

まずい。携帯を握りしめながら次の電車に飛び乗る。すでにスタートから8分ほど経過している。


これはまずいぞ(しかも車内カップルだらけだし)。

盗れるのか、千葉

この時点でまだ誰からもメールがないので、とりあえず「千葉一番乗り?」というあいまいなメールを作成した状態で舞浜の駅を駆け下りた。駅から出て初めて獲得といえるので、まだここではメールしてはいけないのだ。

改札出るまでの間に「千葉ゲット」のメールを誰かから受けたら僕はうずくまってしまっただろう。


送信するだけの状態にして走る。

カップル達の間をすり抜け改札へ。急いでメールを送信しようにも指がふるえてなかなかキーを押せなかった。「メール送信中」のメッセージが消えるまで意味もなく携帯を振っていた。


千葉ゲット!。

メールが送信され僕が千葉を落とした次の瞬間、榎並軍から埼玉(八潮)を盗った旨のメールが入った。

そうか、TX(つくばエクスプレス)か。危ない、もう少し遅かったらそのまま千葉(南流山)も盗られていただろう。さすが榎並軍、実家が三郷(八潮の隣)。

でも、ということは榎並軍はTXに乗ってそのまま茨城を狙いに行くはずだ。僕もここから北上して茨城を盗りに行こうと思っていたのだが、はたして先に着ける見込みはあるのだろうか。

ぐるぐると策を練りながらもいそいで駅に引き返す。

するとここで予想外の事態が。


なんと!

電車が止まっとるがや。

茨城、福島方面へと向かう常磐線を目指すつもりだったのだが、途中の路線が強風で止まってしまっていた。

舞浜に来てしまった以上、この路線が使えないと行き場がないわけだ。しかしいつ動くかわからない電車を待っている余裕はない。一度東京へ戻って次の策へ出ることにした。


急遽東京へ戻り東海道線へ。かなりのロスだがしかたない。

予定変更、神奈川を落としに行くことに

ここまでまったく連絡のない地主軍と小柳軍の動きが読めないところだが、ここはとりあえず神奈川を盗っておくのがいいだろう。

東京からだと中央線に乗ると相模湖で神奈川県を盗り、そのまま上野原で山梨県も盗れるのだが、もしかしたら神奈川県在住の小柳軍、地主軍も地元を狙っているかもしれない。これは少しでも速く神奈川県内に入っておく方が有利と判断。

東海道線で川崎へ向かうことにした。


そしたらあっさり神奈川も盗れてしまった。

動きが読めなかった地主軍からのメールによると、どうやら榎並軍とやり合って攻めあぐねていたようだ。おお、いいぞ、二人で牽制しながら遠くまで行って帰って来れないってのが理想。

そして小柳軍からは「河原に向かう」というわからないメールが届く。

河原?どこだよ、と思って乗り換え案内で調べると、鳥取県に「河原」という駅があった。どうなってるんだ、どうやって山陰まで行くつもりなのか。1万円で?


しかし西へ向かうルートは手つかずとわかったので、ここからおもむろに山梨を狙いに行きます。

とりあえず西のルートは未開とわかった。安心して川崎から南部線、中央線を経て山梨県へと向かう。

電車は八王子あたりから急にのどかになってきた。


ボックス席で足をのばすおじさんは弁当を食べていた。日差しも暖かい。車内で物を食べても叱られなくなる境ってどこなんですかね。

そして上野原駅到着。山梨を我が手中に。

ここで河原に着いたという小柳軍から連絡が入った。

「このまま河原で寝ようと思います(小柳)」

そうか、そっちの河原だったか。

小柳さんのためにも一つルールを追加して、東京は最初に都内に戻った人のものにしませんか、という提案をしてみた。


登山客の多い電車に乗って都内に戻ります。

しかし小柳さんはその頃すでに新幹線の切符を買って北へ向かう電車に乗っていたらしい。ごめん、提案するの遅かったね。


都内に帰還した榎並さんと合流。結局東京も榎並さんに盗られた。

このとき気づいたのだけれど、僕は高尾の時点で都内に入っていたのだ。先にメールさえしておけば東京は僕のものになっていた。自分で提案しておいて忘れてた。


帰還した地主軍。地主軍の戦いはこちら

その頃、新幹線に乗ってまで群馬を落としに行った小柳軍から「家に帰って寝ます」というメールが届いていた。小柳軍の戦いはこちら

かなり本気になります

千葉を盗った時点で茨城を攻めずに西へ逃げたのは結果的に正解だった。おかげで3県を手中に収めたことになる。

発案者が本気を出すのはどうかとも思ったが、やってみるとものすごい燃えるのだ。特に最初の2時間は常に携帯を握りしめて(メール来るな!)と祈っていた。

いつか100万円くらい持って国(本当の国)盗り合戦やりたいですね。


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