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ひらめきの月曜日
 
自分に似ている看板のお店に行きたい


俺の店が知らぬ間に。

友人からツイッターで「似てませんか?」と画像が送られてきた。
何に?と、思いながら開いてみたのが右上の画像。
僕に、似ているのだ。

自分で見ても思う、自分っぽさ。なんだこの店は。俺の店か、店主が僕にそっくりなのか。これは是非行って確かめてみなければ。実際に行ってみた。

尾張 由晃



じっくり似てる

いきなり看板の写真だけ見せて似てる!って言っても読んでる方は分からないですね、すみません。


バーの看板。
以前、当サイトウェブマスター、林さんに描いて頂いた似顔絵。

似ている!と、思っていただけただろうか。ヒゲとメガネだけ じゃん。とは思うが、絵にも僕にもそれ以外の要素があるだろうか。


同じく林さんに描いて頂いた似顔絵、ビルバージョン。
実際の僕。

この店の店長は僕に似ているんだろうか、似ていないんだろうか、店に行ったら、あっ、看板の人!?とか言われるだろうか。
こんな事を考えていたらいてもたってもいられなくなった。

東京の自由が丘という所にお店があるらしく、東京に予定が有った僕は、大阪から実際に店に向かった。

 

自由が丘はメガネを受け入れる


自由が丘に降り立った。
夜とか凄くお洒落だったぜ。

友人からの情報を頼りに、自由が丘に来た。初めて来た自由が丘は抱いていたイメージ通り、お洒落で、落ち着いた雰囲気だった。
こ、こんな街で僕をマスコットにした店が本当にあるんだろうか。


メ、メガネの街自由が丘!?

不安を抱きつつ街をさまよっていると見つけたメガネドラッグ!眼鏡をかけた桃太郎!これが認められるならば僕の方が良いだろう!自由が丘はメガネの街だ。って思ったけど、メガネドラッグっていっぱい有るみたい。

と、その向こうにそれがあった。


お、俺!!

感動の対面

お、俺だ!!俺が看板になっている。なんだろう、この照れくさいような嬉しいような感情は。台座から外れてしまっている所も何となく、俺っぽいよな。と、受け入れてしまう。あー、良い看板だ。


折角なので一緒に写真を撮った。似てるだろうか。

看板と記念撮影。自分とのツーショット、心なしか看板も笑っているように感じられる。やっと、会えたな。

更に僕には会ってみたい人がいる。店主だ。実際に店に入ってみよう。


一人で自由が丘のバーとか、緊張するわ。

暗く、細い階段を踏みしめ、登っていくと共に緊張高まる。果たして店長は似てるだろうか、というか、僕に似てるか顔を見に来た。とか言ったら怒られやしないだろうか。

ドキドキしながらバーの扉を開ける。

 

あの看板はバーの店主

内心はドキドキしながらも平静を装い席に着く。開店直後に訪れたので先客はいないようだ。優しそうなおじさんに注文を聞かれる。彼が店主か!?そう思いながら生ビールを注文する。


あの人か!?

生ビールを飲みながら店内を伺う。慣れない所に戸惑いながらもおじさんの手が止まった所で、意を決して聞いてみた。

僕「あの外にある看板って、誰がモデルなんですか」

これで僕がモデルだったらめっちゃくちゃに面白いが、「モデルはお前だ!」って本当に言われたら、尋常じゃなく怖い。「あー」とおじさんの声が間を繋ぐなか、それでも何かを期待した。


あれはねー、僕。

帰ってきた答えはおじさんがモデルだという事。
「そうなんですねー」と答えつつ、似てない似てない似てない…
という事で頭がいっぱいだ。

マスター「でもどうしてー?」

まぁそりゃあ聞かれるだろう。こうなりゃ全部ぶっちゃけちゃえ。
とばかりに全てを伝えたら、笑うマスター。

マスター「あっはっはっ、確かに似てるねー。アレは妻が20年前に描いてくれた物だから、僕は髪も切ったし、メガネも変えてヒゲも落としちゃったよ」

20年前!その時の写真は無いかと無理を言ったが残念ながらそこには無かった。

20年かー。その頃僕は7歳、小学2年生。その時点であの看板の風貌だったら俺かわいそうすぎる。じゃあやっぱ俺じゃ無いなー。
答えを聞きながらもやっと自分の中で納得出来た。

 

マスターは元・牧師

看板の正体が分かったのだけれど、話はまだ少しだけ続く。 このマスターが面白いのだ。昔牧師をやっていて今も教会に籍は置いているらしく、お話に含蓄がある。


ウインナー食べながらハイボール

牧師がバーなんてやって良いんですか!?と聞くと聖書の話をかみ砕いて面白く教えてくれる。

「キリストは街を巡る事に晩餐をしていたが、アレは実は飲み会だった」とか。

「お酒の項目に関してダメって書いてあるけど実際は自分を見失うまで飲んじゃダメって事が書いてあるから、お酒自体はダメな訳じゃない」とか。

聖書でも、一杯だけなら薬だから。って言いながら飲んだくれてたウチのじいちゃんみたいな解釈もあるんだ、って思うと親近感が沸く。

 

お酒を飲みながら冗談交じりでお話を聞くと、なんだか取っつきにくそうな、教会や牧師、聖書の教え。というイメージはない。 もちろんキリスト教の話だけでなくどんな話でも懐深く受け止める。


今は似てないけど、年取ったらこうなるかなぁ。

「教会にいたらキリスト教好きな人としか話せないでしょ?色んな人と話せた方が楽しいじゃない」と、マスターは笑っていた。他の考え方も認めつつ、良い所は伝えていく。

人の話を聞いて、教えを伝える。牧師って、お酒飲まないバーのマスターみたいなもんなのかも。勝手にそういうイメージを抱いて、楽しくお話しながらお酒を飲ませていただきました。ごちそうさまです。

看板が自分に似てるという事で行ったバーだけれども、マスターは凄く歓迎してくれて、楽しく飲めた。

そして、常連の方にマスターが「この子、看板に似てるでしょ」 って言ったらみんな、「あぁー!!」って言ってた。やっぱり似てるんだと、嬉しくなったよ。

若い時は似てたらしいマスターはとてもいい人で、僕も年をとったらこういう風に穏やかで、懐の深い人になりたいと思った。また東京行ったら飲みに行きます。


Odd Fellows
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