デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
雨の日は室内で月食を

サイズにこだわりあり

月の直径を8センチほどにしたのには理由がある。

以前うちの子供に誕生日プレゼントとして買い与えた地球儀の直径が約30センチだったのだ。調べたところによると月の直径は地球の0.27倍。つまり地球が30センチならば月は8センチほどとなる。


だから大きさの比はこれであっているのだ。

子供に内緒で地球儀バラした。

自宅で月食を再現するためには、まず月、そして地球、さらに光源となる太陽が必要となる。

いま月は作った、地球は子供の地球儀をバラした、では太陽はどうしよう。


これでいけるだろうか。

地球と月との大小関係は計算済みなのだけれど、太陽ともなるとなにしろでかいので部屋の中に丸い発光体を再現することはできなかった(同じ縮尺で計算すると直径約32メートルになる)。

よって今回は写真撮影用の照明を使い、中身の電球を昼白色のものに変えて太陽とすることにした。


地球の夜明けぜよ。

いよいよ月を照らす

月は地球から見るとあんなにまぶしく光って見えるが、実は岩のかたまりなのだ。光って見えるのは太陽の光を反射しているから。

つまりこういうことだ。


満月。

試しに自作の月にいろんな方向から光りを当ててみると、満月から三日月まで、太陽と見る位置との関係によってさまざまにその表情を変える。

大げさだが、まるで宇宙を自分の手で動かしているような気分になる。神だ。神の目線で影のでき方を工夫しながらくるくるやっているだけで楽しい。


半月。

新月。

撮影していたら妻が「子供がおたふくかぜになった」と言って起きてきた。子供は熱があるようで、薬を飲んですぐに寝た。どうやら地球儀バラしたことには気づいていない様子だった。すこしほっとした自分は父としてどうなのかと反省した。いかん、我にかえる前にはやく終わらせよう。

ではいよいよ本題、月食を再現してみたい。

地球と月の直径を同じ比率で縮小した分、本当は二つの位置関係も同じ割合で縮小したかったのだが、そうなると地球儀と月とを8メートルくらい離す必要があることがわかった。

残念ながらうちはそんなに広くないし、なにより太陽代わりのライトがそこまで届かない。太陽のすごさと宇宙の壮大なスケールを感じる瞬間である(あとうちの狭さと)。

いろいろ妥協した結果、下のようなレイアウトとなった。かなりの接近戦だ。正確な比率で作った月の直径が悲鳴をあげている。

なにはともあれ、さあ、月食が始まるぜよ。


日本は夜になったばかり。この状態から月食は月が地球の影に隠れることで起きます。月を地球の裏側へと動かしてみましょう。

今たぶん日本あたりから見ると満月に近く見えるんじゃないかな。

まだまだ満月。

月が地球の影に入って少し暗くなってきた。こういう状態を「半影に入った」というらしいです。

いよいよ月が地球の影、「本影」に入っていく。皆既月食の始まりである。

完全に皆既月食の完成である。先日観測された皆既月食は赤かったという話だけれど、それは大気にチリがたくさん舞っていたかららしい。我が家でもなにか粉でも舞わせるべきだっただのかもしれないが、おたふく風邪の子供の寝ている横で小麦粉捲きながらバラした地球儀の写真を撮るのはさすがに気が引けたのでやっていません。

どうだろう、自宅で皆既月食。なんとなく伝わっただろうか。

写真で見ると地味なんだけど、実際に月を手で持って地球の周りを回らせてみると、月の満ち欠けというものがすごくよくわかりました。

この時点で眠気もふっとんで楽しくなってきてしまったのだけれど、実はもうすぐ朝日が昇る時間だ。月も回っているが地球も回っているのだ。宇宙の神秘を感じますな。


皆既月食、次回は来年の6月16日と12月10日らしいですよ

天気の都合で今回の月食は生で見ることができなかったのだが、そのおかげで我が家で月の満ち欠けが再現できるようになった。子供がもうちょっと大きくなったらこれを使って教えてあげたい。でもその前に地球儀バラしたこと怒られそうだけれど。

楽しい。

< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.