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はっけんの水曜日
 
チョコの包み紙でiPhone対応手袋は作れるか


もう東京でも標高1000mを越えると雪山ですよ。

11月は温かい日が続いたので油断していたけど、12月になって急に寒くなった気がする。さすが冬だ。

特に、山に登るともう素手では無理な世界で手袋が必須となる。でも、手袋をするとiPhoneを使えないのだ。自作のGPSアプリを山で使っているのでそれは困る。

「困ったらまずは自分でどうにかしなさい」と、12年前の年末に亡くなった祖母は言っていた、ような気がする。いや、言ってなかったか。どっちでもいいか。

今日は手袋をしたままiPhoneを使うためのソリューションを提示したいと思います。

松本 圭司



編集部の工藤さんから借りました。iPhone対応手袋。

さて、世の中にはiPhone対応手袋というものがあります

僕が困っていることは世の中の誰かも困っているはずで、大概のお困り問題はすでに解決策が見つかっている。今回の「手袋をしたままiPhoneを使いたい」という問題にも見事な解答がすでにある。

それが左の写真の手袋だ。親指、人差し指、中指の指先が若干白くなっているのが判るだろうか。導電性の糸が縫い付けられていて、iPhoneのタッチパネルに反応するのだ。

Amazonで検索すると他にも色々ある(Amazon検索)。1000円〜4000円くらいの間で売られている。レビューを読むと、薄くて寒かったり、うまく使えないのもあったりするらしい。どれが良いものなのか判らない。

左の写真の手袋はどうしたかと言うと、編集部の工藤さんから私物を借りた。工藤さんはTwitterでプレゼントしてたのをもらったと言っていた。うらやましい。

実際に使ってみると普通にiPhoneを操作できる。おお、この手袋はいいものだ。でもこれは借り物なので返さなくてはいけない。

といって、買うのも悔しい。工藤さんはタダで手に入れているのだ。僕も是非タダで手に入れたい。祖母は「無駄使いはするな」とも言っていた。たぶん。

よし、作ろう。


指先が白くなっていますが、これが導電性糸らしい。
普通に使えて驚いた。いいなー、これ。

 

こうして並べると、iPhpneが大きさ比較で置いてあるみたいだ。

お菓子の袋でぐいぐいするとタッチパネルが反応する

さて、ここで素直に導電性糸を使って手袋を改造すれば話はスッキリ終わって記事にもならない。すでにちゃんとしたのはテクノ手芸部さんが作ってブログに書いている(コチラ)。それに第一、近所では導電性糸なんてハイカラな物は売られていない。

そこで、身近な物でタッチパネルに反応する物がないか調べてみた。すると、スナック菓子のアルミ包装が反応したのだ。


どうにもとんちき感がぬぐえない有様に。

iPhoneのタッチパネルは静電容量方式という方式でタッチを感知するのらしい。くわしい話はわからないけど、電気を流す物で触ると反応するらしい。

なので、電気を流しそうなアルミ包装で触ってみたら反応したというわけだ。という事は、この包装を切り取って手袋に縫い付ければいいんじゃないだろうか?

そう思ったので、もうちょいましな包装材を探して手袋の指先に付けてみることにした。

 

 

ライスチョコはうまいよねー。

チョコの包み紙が良い具合だった

ポテトチップスの袋は油っぽいし印刷も派手で、これを手袋に付けるのはやや抵抗があった。そこで他にアルミ包装のものはないかと探したらライスチョコの包み紙が良い具合だった。

銀色の包み紙を開けて、チョコは口へ、アルミ包装は手袋の指先へ。それでもってタッチパネルをタッチするとこれがぐいぐい動くのだ。

こりゃあいい、と思って包みを適当な大きさに切って手袋の指先に貼ることにした。


銀色のシンプルな包み紙が素材にピッタリ。
空の包みに手袋をした指を突っ込む。見事に反応します。

補強のために裏にガムテープを貼った。

アルミ包装は薄っぺらくてちょっと強度が心配だったので裏に布ガムテを貼って補強をした。これを手袋に普通の糸で縫い付ければ良いだろう。

さてと、とりあえず縫い付ける前にセロテープで貼ってテストしてみようと思ったのだが、これがまったく失敗だった。

小さく切ったアルミ包装の切れ端では、タッチパネルが反応しなくなってしまったのだ。ガーン。どうしてこうなった。


とりあえずテープで手袋の指先に付けてみる。
全然反応しない。

手袋無しでやってみるも、NG。

僕の浅い理解で書くと、理屈としてはこうなのだ。おそらく。

  • その物体が持っている静電気の容量が「人間の指」と同じくらいだとタッチパネルが反応する。
  • チョコの包装を切らない状態(包装が大きかった状態)では静電気の容量が十分あったので反応した。
  • それを指先に貼るために切って小さくしたので反応しなくなった。

本日2度目の、ガーン。つまり、切っちゃったのがダメだったのだ。多分。どうする。素直に導電性糸を買いに行くか?

否である。

 

まさかの展開。

糸にしてしまえばいい

最初に載せた導電性糸を使う方法では、糸自体の量は少ない。糸自体は静電気を十分に持たないはずだ。でも、タッチパネルは反応する。なぜかというと、手袋の中の指とタッチパネルが導電性糸で繋がる、つまり回路になるからだ。指本来の静電気を使えるので、導電性糸の量は必要ない。

同じ事をチョコの包みでやればいい。チョコの包みを細く切って導電性糸を作った。これを手袋の指先に縫い付ければうまくいくはずだ。

これで失敗したら・・・その時はその時だ。祖母の墓参りでも行ってそれを記事にしよう。

 

完成、チョコの包み紙で作ったiPhone対応手袋

ちまちま縫ってそれは完成した。親指、人差し指、中指の指先に手製電導糸を縫い付けたiPhone対応手袋だ。


はたしてこれは使えるのか。

 

ホントに使えてビックリ。

あっさり反応した

自分でやっておいてなんだけど、普通に使えた。確かに素手と比べると若干反応は悪くなるが、使えたのだ。

正直に書いてしまうと、成功するとは全然思ってなかったのでビックリした。ゴミが役立つとは、なんともエコロジーでエコノミーな話だ。

でも、問題もあったのですよ。


防水ケースを使うとダメ。ガックリ。

防水ケースに入れると反応しない

山登りをするときはiPhoneを防水ケースに入れて使っている。雨の日でもGPSを使いたいからだ。でも、ケースに入れて手袋で操作しようとしても反応しなかった。

もちろん素手なら反応するのだが、防水ケース+チョコ包装手袋ではダメだった。これではあんまり意味がないんだよなー、なんて思ったけど他のちゃんとしたiPhone対応手袋はどうなのだろう。

工藤さんから借りた手袋も返してしまって手元にないので試せないが、ちゃんとしたのを買うときはケースに入れても手袋で反応するか確かめてからにしようと思いました。

ちゃんとした手袋が欲しい

以上、「ゴミで暮らしを豊かにしよう」のコーナーでした。最初の予定とは違ったけど、タッチパネルに対応する手袋が出来て良かった。防水ケースごしに使えなかったのは残念だけど仕方ないか。

液晶保護シートを取ったらタッチパネルの感度が良くなりました。甘やかしちゃダメだね、iPhoneは。

アルミ包装の糸を縫い付けてとりあえずはiPhone対応になった手袋だけど、どうにも指先がゴワゴワしてしまう。今度導電性糸を買ってきたら素直に糸で縫い直そうと思います。やっぱみんなが正しいよ。祖母も言っていたよ「人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ」って。

違った、それ言ってたのは立花隆さんか。


 
 

 

 
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