ゼロカロリーコーラ
最近は「ゼロカロリー」のコーラをよく見る。 「コカ」も「ペプシ」も「ゼロカロリー」のコーラを出しているけれど、今回は清水の舞台に逆によじ登る思いで、近所のスーパーに40円で売っていた「ゼロカロリーコーラ」でコーラ煮を作ることにした。そのまま飲んでみたが普通の美味しかった。
寒さを押し殺して食べてみたが、ペプシコーラよりも味は劣っていた。別に不味くは無いがさらに庶民的な味がするのだ。
駄菓子屋にある色がカラフルなお菓子を食べているかのような感じだ。味の深みと言うものがない。浅いのだ。
温泉なら肩まで浸かれない浅さだ。それでは湯冷めして、風邪をひいてしまう。海に浸かっている僕はすでに十分に風邪をひきそうだけれど。美味しさ度合いとしては膝くらいである。
膝くらいならば波に飲まれることが無く平和だ。 しかし、相変わらず寒い。海に浸かっている部分はもちろん寒いし、半被が濡れているので上半身も寒い。
ただこれは美味しいコーラ煮を今後作っていくために必要な行為なのだ。試行錯誤の向こうに明るい未来が待っているのだ。寒さくらい我慢である。
●ゼロカロリーコーラ煮 駄菓子屋の色がカラフルなお菓子を食べているような感じ。味の深みというものが全く無い。浅い味がする。 ←評価:膝
静岡コーラ
静岡の地コーラであるこのコーラ。 お茶の生産量日本一の静岡だけに、コーラにも緑茶が使用されている。そのまま飲んでみると緑茶の香りと今までのコーラには無い「クセ」を感じた。緑茶の渋みを生かしたそのクセは、コーラとよく合うが、果たしてコーラ煮にどう関係してくるか楽しみだ。
不味くない。「ゼロカロリー」よりも美味しい。 クセも感じるのだけれど、そのまま飲んだ時に感じたクセより、言葉にしにくい「クセ」に成長した気がする。いい方向への成長だ。
それは例えば、何かを話す時、必ず最初に「あ」をつける「あ、それは…」みたいなクセが、「あ」から「ローラ」になった感じだ。「ローラ、それは…」みたいに。西城秀樹みたいでそれはそれで悪くない。一緒に生活するのは嫌だけれど。
味の判定は、膝と腰の間の「ふともも」だった。 コーラ煮の美味しさ以外にも、ふともも以上なら僕は波に押し倒されることも分かった。この発見を宇宙ステーションの開発にでも役立てることはできないだろうか。きっと、出来ないだろう。
もうどうにでもな〜れ、と思わないわけではない。 これは修行なのだ。「コーラ煮を食べて、美味しければ美味しいほどに冬の海に浸からなければならない」という修行。やっていることを書き出してみたが、イマイチ意味が分からなくて驚いた。
●静岡の地コーラ煮 言葉を発するとき頭に「ローラ」と言ってしまうようなクセがあるが、そのクセにハマれば美味しいコーラ煮。 ←評価:ふともも
インカコーラ
ペルーのコーラである「インカコーラ」。 その色から「ゴールデンコーラ」とも言われているそうだ。今までのコーラは綴りが「cola」だったけれど、このコーラは「kola」と「k」で始まっている。些か不安を感じる。
そのまま飲んでみたが、驚く程に甘い。 海外の甘いことしか取り得が無いケーキに、さらに砂糖をかけて食べているようだ。
煮込んでいると部屋中が甘い匂いになる。 そのどこまでも甘い匂いには思わず吐いてしまいそうだった。せっかく食べた物を吐くのはもったいないから耐えたけれど。もしも僕が裕福で今のような貧乏根性が無かったら間違いなく吐いていた。そして、出来たコーラ煮は絵具でも使ったかのような黄色だった。不安だ。
驚く程に不味かった。 今年食べた中でもずば抜けて不味い。誕生日ケーキのイチゴの部分を豚肉に代え、そこに栄養ドリンクに角砂糖を溶かしたものかけ、最後にローソクの代わりに線香にしたらこんな味になりそうだ。要するにとにかく不味いということだ。寒くて不味い、踏んだり蹴ったりだ。
美味しい度合いを海に浸かることで示していたが、この味では海に浸かるまでも無い。陸だ。一生食べることは無いと思う。そう思うと不味いけれどいい思い出だ。寒いけれど。
●インカコーラ煮 とにかく甘く、その妥協の無い甘さへの情熱は評価したいが、コーラ煮に使ってはダメ。不味いという言葉がこうもしっくり来ることはそんなには無いと思う。 ←評価:陸
水で煮た豚
最後にコーラ煮ではなく水煮を食べることにした。 比較する上でコーラだけでなく、蛇口をひねれば出る水でも作った方がいいと思ったのだ。コーラ煮と比べると色も薄く、果たして美味しいのかと気になるところだ。
コーラと言う幻想の世界に浸かっていて身近な大切なことを忘れていた。読んだことは無いのだけれど、童話「青い鳥」の青い鳥は身近にいたというオチだと聞いたことがある。それと一緒だ。コカコーラのコーラ煮の次に美味しいのだ。ペプシコーラ煮よりも水煮の方が美味しいのだ。
ミッション系の女子高に通っていても驚きの無い味がした。 上品なのだ。これを食べて、僕はミッション系の女子高で先生をしたいと切に思った。美術部の顧問でちょっと無口でぶっきら棒の女生徒にデッサンを教えたい。これを食べたときそうハッキリと思った。そんな力がある味だった。
この美味しさは胸辺りまでは浸からなくてはならないだろう。 美味しくて忘れていたが、美味しいと冬の海に浸からなければならないのだ。それは辛い。寒いのだ。でも、ルールなので仕方が無い。
波が強くてやっぱり押し倒された。 もう押し倒されることに慣れて来たが、相変わらず、晴れていたから布団を干して出かけたら夕立、みたいなやりきれない感じもする。とにかく寒いのだ。
●水煮 コカコーラ煮と引けをとらないほどに美味しく、蛇口をひねれば手に入るという楽さも評価したい。十分に上品な味がするコーラ煮である。いや、水煮である。 ←評価:胸
1位コカ、2位水
今回の結果をまとめると、1位「コカ」2位「水」3位「ペプシ」とトップ3にコーラでは無いものが入る予想外の結果になった、もうコーラ煮をするならコカコーラを使うしか意味が無い状態だ(好みもあるけれど)。なんなら水でもいい。
4位は「静岡」で5位が「ゼロカロリー」だ。そこからは遠く遠く、日本と冥王星くらい離れた6位に「インカコーラ」ということになる。太陽系ではない冥王星だ。もはや「インカコーラ」はコーラではないのだ。コーラではなくて、何かなのだ。何なんだ、インカコーラって。