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はっけんの水曜日
 
最寄り交通機関から徒歩2時間の温泉


 

お風呂に入るのは面倒くさいので、冬場なんかは特に2〜3日に一回くらいのペースで済ませたい……と思っているボクですが、温泉は大好き! 寒い季節にホッカホカの温泉につかるのはタマラナイものがありますよね。

しかし、そんな温泉にとってのハイシーズン・冬に営業していない温泉というのがあります。あまりに山奥にあるため、冬場は雪に埋もれて誰も来れなくなっちゃうような温泉です。

そんな温泉に、冬直前の最終営業日にいってみたいと思ったのですが……。

(絵と文:北村ヂン



冬に閉まっちゃう山奥の温泉に行きたい

冬に閉まる温泉、というのは結構たくさんあるのですが、そのどれも交通の便がすっごく悪いんですよ。まあ、交通の便が悪いからこそ冬に営業できないんだから当たり前っちゃあ当たり前なんですけどね。

でも最寄り駅ナシ、自動車で何時間も走った上に、駐車場に停めてそこから徒歩……みたいなところだと、車の免許を持っていないボクには行きようがないんですよね……。

交通の便が悪いながらも、自動車を使わずになんとかいけるレベルの“冬閉まる温泉”を探したところ、栃木県那須の三斗小屋温泉というのが見つかりました。

まあ、ここもかなり山奥ではあるんですが、駅からバス+ロープウェイを乗り継いで、そこから徒歩で2時間という……がんばれば歩けそうな距離じゃないですか。

普段している運動はノートパソコンの持ち運び……というレベルのボクにとって、山道を徒歩2時間というのもかなり大冒険なものの、ネットなどの情報によると「山道といえどもハイキング程度のけわしさなので、それほど大変じゃないですよ」みたいな意見が多かったので、なんとかなるかなー……と。

そんなワケで、この三斗小屋温泉に二件だけある旅館のひとつに、今年の最終営業日である11月30日に泊まりたいと予約を入れたのですが、直前になって旅館からこんな電話がかかってきました。

なんでも27日以降、ボクの他に予約が入っていないので、その日でおしまいにしたいとのこと。まあ、たったひとりのために冬休みが遅れるのはちょっと……という気持ちは分からなくもないですが、こっちにも予定ってもんがあるじゃないですか。

しかし、ここでゴネてもどーにもならなそうだったので、急遽色んなスケジュールを調整して27日に行くことにしました。

いきなり不安な出だしです……。

さてさて、そんな感じで当日。栃木県の黒磯駅からバスで約一時間、とりあえずロープウェイの駅につきました。

ここからロープウェイで9合目の山頂駅へ。そしてさらに徒歩で2時間という行程なのですが……。

なーんか不安にさせる貼り紙が。熊、出るんだ……。


耳の横についてるマルCマークも謎。「山をなめてるとCんじまうぞ!」的なことでしょうか!?(ダジャレ)

「山登りにはきちんとした装備が必要です、決して普段の格好では登らないで下さい」的なアナウンスが繰り返し流れているのも不安を煽ります。

さすがにボクも普段の格好じゃ無茶だろうということで、いつもより防寒を考えた格好、そしていつもは真冬でもサンダルで平気で外出しているのに、この日はちゃーんとブーツをはいてきました。

ただ、カバンが肩掛けだもんなぁ……どう考えても山登りする格好ではありません。

不安……。


そんなボクの不安をよそに、妙に元気いっぱいな山頂駅の売店

しかし、このクソ寒いのに「夏バテ予防に」はないだろう……

予想以上にハードコアな山登り!


まあ、不安だ不安だいってても仕方がないので覚悟を決めて「山、登るぞ!」と外に出てみると。

なんかものすごくワイルド&ハードコアな感じの光景が……。こ、コレは明らかにハイキングコースじゃないでしょ!

もう延々とこんな感じ。でっかい岩にしがみついたりよじ登ったりながら進んでいきます。運動神経&体力がないボク的にはホント地獄!

数歩進んでは休憩、数歩進んでは休憩の繰り返しで、とても2時間で到着できそうな気がしないです。

息も絶え絶えで死にそうになっているボクを尻目に、わりと年配の方がひょいひょい登っていっててすごく恥ずかしかったです。

「なんで山歩くのに棒がいるんだ?」と思ってましたが、あのストック、すごく役に立ってるんでしょうね、多分。

こんな、あの世に行っちゃったんじゃないか、というような非日常的な道を歩きながら、脳内では「がんばれ俺」という非常にそのまんまなタイトルの曲(By.武田鉄矢)がループしつづけてました。

そして、撮った記憶すらないですが、その時のボクの顔はこんな感じ……魂抜けちゃってますね。

後から写真で見返すと、すごくキレイな風景なんですけどね、歩いてる時は周りをみる余裕もなかったですよ……。

それほどつらいつらい山登りの最中、何度「もう引き返して帰っちゃおうかな……」と思ったことか。

しかしそんな時、ボクを支えてくれた言葉がありました。

そう、目的地の三斗小屋温泉は混浴なんですよ!

今までにも色んな温泉に行っているので、混浴の温泉も結構ありましたが、まあ混浴に入ってるのなんて普通お年寄りばっかりなんですよね。全然エロティックな気持ちになりゃしないってモンです。

その点、ここまで交通の便が悪いところにある温泉だと、さすがにお年寄りはこないのでは=ヤング&フレッシュなピチピチギャルと混浴、ということが予想されます。

つまり、ボクがつらければつらいほど、混浴のヤング率も高まるだろうという理論です。「つらくてもがんばろう、混浴のために」コレがこの日のスローガンでした。


険しい山道も

混浴のためなら乗り越えられる!

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