実は私はダムが怖い
正直に告白すると、私はダムが怖い。いや、正確に言うと、ダム湖というものが怖いのだ。ひとけの無い、険しい山に囲まれた山の中、広々、深々とした澱みに対し、形容しがたい不気味さを感じるのである。
その理由はいまいち分からないのであるが、透明度の低い水の中から何か得体の知れない怪物が現れそうだからか。それとも、切り立った山の中に人工的に作られたその自然ならぬ光景に畏怖の念を感じているのか。いずれにせよ、その恐怖は本能的なものだと思う。
今回、古代に起源を持つ二つのダムを巡ってみて、不思議と恐怖は感じなかった。狭山池は街中であるし、人も大勢いるので普通のダムとはいえないかもしれないが、自然に囲まれた満濃池でも特に怖いと思う事はなかった。
重機など無かった古代において、比較的簡単にダムを作れそうな、ダムポテンシャルの高い土地に築かれた、より自然な形のダムだからだろうか。このような古いダムは、私のダム湖恐怖症を克服する可能性を秘めた、重要な存在になり得そうな気がする。
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満濃池からの帰りに見た野犬。これもちょっと怖い |
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