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はっけんの水曜日
 
猫耳はよく聞えるのか実験


猫の耳って可愛いよね。食べちゃいたいくらい。

猫の耳を見ていると、物音がした方向に反応してくるくると動いて面白い。よく、めまぐるしく変わる様子を「猫の目のような」なんて言うが、耳も相当に落ち着きがない。

あれだけよく動くならよほどよく聞えるに違いない。どんな風に聞えるのか猫耳を作って確かめてみました。

僕となつめさん(僕が飼ってる猫の名です)の可愛い姿をとくとごらんあれ!

松本 圭司



こんにちは、なつめさんです。黒猫。オス。4歳。性格は勝ち気。

 

円錐を半分に切ったような形。かわいい。

猫の耳のつくり方 その1「まずは猫の耳を観察しよう」

なにかを模倣するなら、まずは観察が大事だ。観察なくして模倣なし。猫の耳をよく見ると、まず黒い。黒猫だから。うん、色はどうでもいい。

大事なの形だ。見るとなんというか、竹を斜めに切ったような形というか、円錐を半分に切ったような形というか、曲線が上手く組合わさった形をしている。

かわいいというか、かっこいい。

内側から毛もたくさん生えていて、なんだかおじいちゃんの様でもある。耳の穴に毛が生えてるおじいちゃんってよくいるよね。


エサを食べながらも後ろの音(僕が撮影する音)を警戒。飼い主とはいえ、あんまり信用されていない。
左右にピッと向いた耳が、バットマンみたいでかわいい。

8周年ロボの廃材、ゴリラの腕の皮(膝掛け)が最近のお気に入り。

斜めに切った円筒とか、半分に切った円錐とか、そんな形の耳が、くるくると動くのだ。本当によく出来ている。こんなの作れるのか。

あまりに良く出来てるのでやる気が無くなってきたが、松岡修造さんに応援されている妄想をして自分を奮い立たせた。

よし、作るか。ホームセンターに買い物に行って来た。


適当に切って手で丸みをつけたら猫耳っぽくなった。

猫の耳のつくり方 その2「耳っぽいものを作ろう」

ホームセンターに行って低発砲ポリエチレン板というのを買ってきた。なんだか加工しやすそうで黒かったから選んだ。決め手は黒さ。

それを、猫の耳っぽい形に切った。キッチンバサミでサクサク切れて、手で曲げたらその形で固まった。なんて都合が良い素材なんだろう。黒いし。

頭に付けるために100円ショップでヘッドフォンも買った。穴を開けてネジで留めたら大体で来た。生で見るとアロンアルファの白さが目立つしかなり雑だが、320*240の画像では目立たない。低解像度万歳だ。


ヘッドフォンのバンド部分に穴を開けて猫耳を固定。
出来ました。30分くらいの作業か。アロンアルファ超便利。ネジ止めなので前でなく横や後ろにも、耳を向けられる。

猫耳にマイクが付きました。

猫の耳のつくり方 その3「マイクとレコーダーを接続」

形が出来たので、ここにバイノーラルマイクを付ける。なんでかというと、猫耳がどう聞えるかバイノーラル録音で試そうっていう事なのだ。僕はこの猫耳企画のためにバイノーラル録音の技術を身につけたのかも知れない。これまでのバイノーラル録音記事は全て猫耳の為にあったのだ!ギャーン(かっこいい効果音)!

これまでのバイノーラル録音の記事
168円で立体的に録音する
立体録音部
壁に耳あり立体録音
1000万円のマイクで立体録音を体験した

逆にこれまでの記事を台無しにする可能性もあるなぁ、とは毛ほども思ってなかったですよ。

猫耳に付けたバイノーラルマイクの音は、ICレコーダーのマイク入力に入る。でもって、ヘッドフォンのコードをICレコーダーの出力に繋ぐと、なんということでしょう!猫耳のマイクから入った音が僕の耳に付けられたヘッドフォンに入ってくるのです!

どうだ、これが3年間の経験に裏打ちされた本当の意味での猫耳だ、単に形だけ真似て頭に耳を付けて、自分の耳と合わせて4つ耳じゃないか、なんていうニセ猫耳とは違うんです。まいったか!そう思いましたね。このときは。


マイクとヘッドフォンとレコーダーで構成された電子の猫耳。
付けてみました。耳的には間違いなく猫。よくあるフェイクの猫耳じゃなくて、本当の猫耳ですニャー。黒いし。

この格好はなかなか恥ずかしいことに録音しながらようやく気付く。

街に出て録音をしよう

さて、僕の猫耳姿に萌え死んだ人もたくさんいるだろうが、記事は続くよ終わるまで。猫耳システムが出来たら実際に使ってみたいのが人情であるので、近所の交差点に出かけた。

では、どんな音が聞えるのかちっくと聞いてみてつかあさい。
(当記事ではDewplayerを使用してMP3を再生しています。FlashなのでiPhoneとか携帯の人は下のコチラってリンクからmp3を開いてください)

猫耳システムで録音

Flashで聴けない人はコチラ

困った。なにが猫耳か、という普通の音しか録れていない。っていうか、バイノーラル録音ですらない。これ、音源の位置が頭の中に感じる。つまり、ステレオ録音だ!

なんとなく歩道側を向けない。背中から色んな葛藤を感じてください。

あれ、なんだろう、これ。と思って普通に耳の穴にマイクを入れてバイノーラル録音をしてみた。

普通にバイノーラル録音

Flashで聴けない人はコチラ

こっちの方がよほど音の広がりを感じる。猫耳システムの方がより遠くの声が聞えるかというとそういう感じもなく、単に雑なステレオ録音の音だ。形だけ真似してもダメって事だろうか。

あと、オッサンが街角で猫耳ってのが想像以上に恥ずかしくて困った。よく考えたら平日の真っ昼間だ。そんな時間にオッサンが街角で猫耳付けてるとか尋常じゃない。

市民たちの視線が突き刺さる。

聞えるはずがない声が聞え始める夕方の公園。

少し静かな場所で録音したい

道路はやや音が大きすぎた。これじゃ猫だってイヤだろうからもう少し静かな、鳥の声とか聞える場所で録り直そう。そう思って公園に来ました。そこで猫耳録音をしていたら色んな声が聞えてきました。

猫耳システムで録音

Flashで聴けない人はコチラ

変わらずにあんまり音の広がりは感じない。その代わり、僕のすぐ近くを人がよく通る。笑い声も聞えてきて、次第にその笑い声が自分に向けられているように感じてきた。後ろを通り過ぎる外国語の会話も、

「おい、あそこに猫耳のオッサンがいるぞ!」

「マジ受けるんですけどー!」

「猫耳が許されるのって舞浜までだよねー!キャハハ!」

に聞える。マズイ。色々マズイ。僕が笑われている。耳も笑われている。舞浜に行きたい。(撮影地の隣街。東京ディズニーランドがあるとこですよ)

普通のバイノーラル録音は目立たずに出来て安心です。

今度は普通にバイノーラル録音。

普通にバイノーラル録音

Flashで聴けない人はコチラ

幻聴は聞えない。背景の音が大きいが、右から歩いて後ろを通り過ぎる人の足音や鳥の声がちゃんと頭の外から聞える気がする。やはり人間の脳にあっているのは人間の耳を使ったバイノーラル録音なんだろう。

猫の耳で聞いた音は、猫の脳がないとちゃんと処理出来ないのかもしれない。猫の耳って言い切って良いほどの工作じゃないのは判っていますが。


あんまりちゃんと聞えない。そしてどうかしてる男の写真。

定番のマッチも録っておくか

ここまでは外での録音だが、バイノーラル録音では定番のマッチの音を録ってみました。

猫耳システムで録音

Flashで聴けない人はコチラ

マッチ箱を振りながら頭の周りをまわっているのだけど、全くそうは聞えない。僕の耳には、首の後ろ辺りを円を描くように上下左右に動いているようにしか感じず、頭の横を通ったようにすら感じない。これが猫の耳と人間の耳、聞える音を処理する脳の違いなんだろう。多分。

猫耳を付けた僕は可愛いが、それだけなのでどうしようもない。比較のために普通のバイノーラルでも録音しました。

普通にバイノーラル録音

Flashで聴けない人はコチラ

うん、ちゃんと聞えますわ。前から聞えるかは微妙だけど、顔の横辺りを通っているのは判る感じ。猫耳システムだとこうは聞えない。上っ面の形だけ真似てもどうにもならないって事なんだなぁ。


ヨーダのようだ。猫が不思議そうに見ていました。

では、マイクを突っ込んだ自分の耳に猫耳を当ててみたらどうだろう。前からの音がより大きく聞えたりはしないだろうか。

ヨーダ式バイノーラル録音

Flashで聴けない人はコチラ

僕のふざけた耳には違いがよくわかりませんでしたニャー。

猫耳は凄いのだろうが、外耳だけじゃだめですな

猫は本当に小さな音でも聞えるようだ。妻が出かけて帰ってくるとき、玄関のドアが開く大分前に気付いて玄関の方に走っていく。エレベーターを降りた辺りで気付いているようだ。僕には聞えてない段階で動き出す。。

そんな猫の耳だが、外耳だけ真似てもダメで、黒くてもダメで、僕の適当すぎる工作じゃだめだし、内耳も特殊だろうし音を処理する脳も特殊で人間のとは違うのだろう。

今にして思えば「イケる!」と思った僕はどうかしていた。

他にも色んなとこで録ったけど、あんまり使える音源がありませんでした。

今回の教訓は、耳を付ける企画なら舞浜に行くべきだったって事だ。葛西は舞浜の隣なので耳に寛容かと思ったら案外視線が痛かった。次回があったら、是非舞浜で撮影しようと思いました。


 
 

 

 
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