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ロマンの木曜日
 
乾電池2本でビリビリと感電したい


この2本だけで、どうにかビリビリと感電します。

中学生の頃、一つの機械を見た。
誘導コイル――。乾電池2本の電源だけで、高電圧を生じ、ばちばちと空中放電を放つ、凶暴なインパクトの機械だった。クラス40人が手をつなぎ、いっせいに感電した体験は今でも忘れられない。
あれはどんな仕組みだったのか。
僕がこの手で、もう一度作ってみることにした。

加藤まさゆき



単に感電するだけじゃない

タイトルから勘違いされそうだが、今回の記事で僕がやりたいことは、こういうことでは無い。


なめると舌がビリビリする、ラジコン用の四角電池。これは有名。

僕がやりたいのは、「誘導コイル」という装置を作ることなのだ。

 

誘導コイルとは何か

僕が中学生の頃見た誘導コイルは、以下の様なマシンだった。


乾電池二本のみで、数千ボルトの高圧を発生させ、空中放電を行う。

これ一つで、クラス40人を感電させることもできる。中学生男子の柔らかな心に深い刻印を残すには、十分すぎる機械だった。しかし高校進学後、僕は物理が全くできなかったため、理工学の道から遠く離れてしまい、この機械をすっかり忘れていた。
そして今32歳。
ふと思い出し、ネットでこの機械の仕組みを調べてみたら、非常に興味深い仕組みで動いていることが分かった。

なんと電磁石とバネによる自己切断をしているのである。

 

ちょいと理科の話に付き合ってください。

電流には、交流と直流がある。
コンセントに流れているのは交流(AC)、乾電池から流れるのは直流(DC)。交流のほうが、電圧の変換がたやすいので、家庭用に広く使われている。


交流なら、ドーナッツ状の鉄芯に、銅線を二本巻いただけで、変圧器ができる

じゃあ、なぜ中学校にあった誘導コイルは、乾電池の直流電流で動いていたのに、数千ボルトを生み出せていたのだろう。それには、とても精巧にできた、電磁石の部品が鍵を握る。

 

以下の4つの過程を高速で繰り返す



(1)電流が流れ、コイルの鉄芯が電磁石になる。
(2)電磁石が、鉄でできたスイッチ金具を引き寄せる。
(3) スイッチが切れ、電流がオフになり、電磁石が切れる。
(4) バネの力でスイッチ金具がオン側に引き寄せられる。

この高速で振動するスイッチのオン・オフが、擬似的な交流電流を生み出し、電圧の上昇を可能にするのだ。なるほど。これ考えた人は頭いいなあ。
で、この振動スイッチの部分さえうまくできれば、鉄芯に銅線を二本巻くだけで誘導コイルはたやすく作れるのだが、この振動スイッチが難しい。
バネとか振動とか、微妙な距離と力のバランスが必要なパーツ作りは、自作の中でも簡単では無い部類に入る。
しかし、僕はそれを解消する一つの裏技を知った。


その裏技とは? >
 

 
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