食べ物は意外とうまい
加賀屋の料理は煮物中心の「家庭料理」だ。これが、その辺の居酒屋ではあまりないような素朴な味で、派手ではないものの、とても美味しい。
自炊をやる人なら分かるだろう。こういう家庭料理を万人の舌に合うように作るって、とても難しいことだ。お金を出してもなかなか外食で食べられる味ではない。
料理だけでも充分魅力的な居酒屋だと思う。
しかし、あれだけのハイテンションパフォーマンスを見た後なので、この地に足の着いた料理さえも「加賀屋のヘンテコの一部」という気がしてしまう。
「あれ…うまいぞ?」「あ…意外とうまい…?」「おいしいですよね…?」
こんな不思議なところで食事がうまいと、まるでキツネかタヌキにでもバカにされているような気分になってくる。素朴でうまいつまみを食べているのに、余計に警戒心が増してくるのだ。
料理は全て下の画像の右のママが作っている。「マスターと親子でやっているんですね?」と聞いたら、「私はただの従業員で、親子じゃないんですよ」とのこと。
それなら、一体どういう経緯でここで働くようになったのか。謎の人間関係だ。
ドリンク・埼玉県人で打ち解ける
2回目のドリンクオーダーは少し余裕が出て来たので、「特製ドリンク・埼玉県人」を頼むことにした。 マスターは「不味い上にカラダにも悪いよ」と言っている。ちょっとしたネタドリンクか。
このドリンクを埼玉県在住の僕が飲むことになってしまった。
まずい。マスターが「まずい」と言った以上、まずさも本気だ。酸っぱくて辛い。多分これ、タバスコが大量に入っている。ネタというレベルの辛さじゃない。
取材とはいえ、こんなの飲むんじゃなかった…と後悔していると、隣の席の人が「兄ちゃんの飲みっぷりが気に入った」とかなんとかいって二杯目の「埼玉県人」を持って来た。もう要らん!
気がついたら参加者の人たちのムードは和気あいあい。僕が身体を張った甲斐があったのかもしれない。そう思わないと、僕の気持の収まりがつかない。
結局のところ、今回集ってくれた人たちは、加賀屋に大満足。加賀屋の不思議なパフォーマンスやギミックを通して、みんな仲良くなっていた。その後ツイッターを見てみたら、この時参加していた人たちが親しげにやり取りをしていた。