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土曜ワイド工場
 
森鴎外が愛した饅頭茶漬けグランプリ


ディス イズ 饅頭茶漬け

世の中にはいろいろな料理が存在する。
名古屋ではおでんはミソ味だというし、大分県では鳥を揚げるのではなく、天ぷらにした「とり天」なるものがあったりする。知らない人にとっては、その料理は少し驚きだったりする。

個人の好きな料理はさらに驚きな場合もある。
僕は世界で一番「塩で握ったおにぎり」が好きなわけだが、「そんな物が一番好きなの!」と言われることもある。安上がりでいいではないか。

そして、文豪の森鴎外は「饅頭茶漬け」が好きだったそうだ。
饅頭茶漬け? と思うがぜひ食べてみたいと思う。

地主 恵亮



森さんの大好物

森鴎外といえば誰もが知っている人だと思う。「舞姫」や「山椒大夫」など多くの小説を発表している。内容は知らなくても、作品名は知っているだろう。60代の人も知っていれば、キャピキャピと渋谷を闊歩する女子高生も知っている有名人だ。


なんだか表紙がカワいい!

そんな森鴎外の好物が「饅頭茶漬け」なのだ。
饅頭茶漬けとは、御飯の上に、葬式饅頭をのせ、煎茶をかけたものだ。恋人が嬉々として雨の降る夜にこれを食べていたら、気でも狂ったかと思う食べ物だけれど、森鴎外は本当にこれが好物だったそうだ。


マジでか!

これは僕の「森鴎外が饅頭茶漬けが好きならいいのに」という悲しみにも似た妄想ではなく事実なのだ。

森鴎外の長女・森茉莉が書いた「貧乏サヴァラン」という本にしっかりと書いてあるのだ。鴎外は饅頭茶漬けが好きやったんやで! と標準語で。


面白い本ですよ!

本には鴎外は、葬式饅頭をもらうと、それを四つに割り、その一つを御飯にのせ煎茶をかけて食べたとある。著者(茉莉)や妹、弟も喜んでそれを食べたのだそうだ。だだ一人、母だけはそれを嫌ったらしい。

先にも書いたように、好きな人がこれを嬉々として食べていたら確かに嫌だ。もしもピアノが弾けたなら運命辺りを夜通し弾いてしまうだろう。


ちゃんと書いてあるんですよ!

パティシエに試食を頼む

鴎外が愛した女性(妻)は愛していなかったが、鴎外は愛していた饅頭茶漬けを早速食べてみようと思う。

しかし、僕だけで食べて不味かったら悔しいので、甘い物のプロフェッショナルであるパティシエに一緒に試食してもらうことにした。やはりその方が味について詳しく聞けると思う、とパティシエにはお願いした。

悔しいとかの件は一切話していない。


パティシエ(弟)と弟の彼女(マホちゃん)です

パティシエは僕の弟だ。彼が作るケーキはとても美味しい。
饅頭茶漬けを食べて欲しいとお願いしたところ、当たり前のように弟の彼女も巻き添えになることになった。

弟と彼女はいわゆる同棲というやつを行っている。
この二人の仲のよさはたとえようがない。二人を結ぶ赤い糸はもう赤いロープのようになりとても頑丈だ。それを切れる刃物を僕はホームセンターで探したい。


仲がいいでしょ!

これは僕が撮ったプリクラ

納得させる

弟の彼女のマホちゃんは「饅頭茶漬け」と聞いて、あきらかに「食べたくない」という顔をしていた。500m離れて薄目で彼女の顔を見てみも「食べたくない」という表情は分かるくらいだ。なので、「貧乏サヴァラン」を読んで納得してもらう。


ね、書いてあるでしょ!(仲良く二人で読んでいる、なんだかな〜)

書いてあるからには食べなければならない。
「続きはWEBで」はなかなか見ないけれど、彼氏の兄という厄介な存在がいるこの場では、読み終わった後には続きがあって、嫌でも饅頭茶漬けを食べなければならないのだ。


The 饅頭茶漬け

「本当に食べるんですか!? 絶対にマズイですよ!」というお笑い芸人のようなマホちゃんの言葉が僕の部屋よりは広いけれど、決して広くないこの部屋にこだまする。

彼女は大阪出身なので、やはり笑いが分かっている。「美味しいわけないですよ」」と言いつつ食べて「あ、美味しい」と言うのだ。


すげ〜顔

相当不味かったらしい。
饅頭茶漬けを鴎外は愛したが、マホちゃんは愛せないようだった。でも、こんな表情をも弟は愛しているのだろう。よし、もっと食え! と思い、次に弟が食べたところ、「ぜんざいみたいで、うまい!」とのことだった。僕も食べ「おぜんざいみたいで美味しい」と言った。「おぜんざい」と「お」を付けるところが弟には無い僕の上品さだ。


うっめ〜

いろんな饅頭で挑戦です >
 

 
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