流される日がやってきた
秋のかけらも感じられないほどの日差しが照りつける朝だった。
興奮してか前日よく眠れず、集合時間よりも1時間くらい早く駅に着いたのだが、すでに運送会社さんのトラックと乗船者の道場主石原さんがいた。
たぶん二人とも僕と同じく眠れなかったんじゃないだろうか(運送会社さんは渋滞を避けただけかもしれないけど)。
乗船するメンバーが次々河原へとやってきた。石原さん、地主さん、林さん、工藤さん。朝早くの集合だったのだが、誰も遅刻しないのがすごい。
待機場所でいかだの仕上げ作業をする。二つに分けて運んできたいかだをひもでつなぎ、最後にパソコンを載せて完成だ。パソコンは年明けのプープーテレビで使ったダミーのやつ。
一応インターネットの会社ということで、アピールになるかと思ったのだが、パソコンの横に工藤さんが「日本最北端、宗谷岬」の旗を付けたことでいよいよわからないものになった。
とにもかくにも船はできた。出艇まで気を紛らわすため、他のチームのいかだを見てまわる。
エコカップは第三回目で、毎回着実に参加チームを増やしてきている。今回は34艇が出場した。
それら全チームを偵察して回る。あくまで僕の主観だが、僕らが作ったいかだを基準に考えると、3分の2くらいがよりしっかりできていて、残り3分の1が似たようなレベルに見えた。
午前10時、太鼓の演技とともに「エコ★カップ いかだ下り」がスタートした。
いかだ下りはいちおうレースということで、各チーム、スタートからゴールまでの帆走時間を競う。流れる距離は1q弱、普通に流れれば7〜8分くらいと聞いた。
デイリーチームは今回、取材目的のエキシビジョン参加ということで残念ながら順位には絡むことができなかったのだが、他の船を見てまわるとそれでよかったとも思った。
我々の出艇は最後から二番目、まだまだ時間があったので、最初にスタートするチームの様子を見に行ってみた。
ペットボトルを使った船体に魚の装飾がかわいらしいいかだだ。
最初のチームはいくつかに分れたペットボトルのいかだをひもでつないだ形式だった。その一つ一つに人が乗る。
しかし乗った瞬間、ふらふらになって一人ずつ落ちてそのまま流されていった。このいかだをまとめるやり方がデイリーチームと同じだと気付いたのは、たぶん地主さんと僕だけだと思う。
しかしいまさらどうにもならない。
気持ちを静めるため、もう一周ガムテープで全体を巻いてみたが、たぶん意味ないだろう。運営の人はライフジャケットを着ているから大丈夫、浮く、と言っていた。できればいかだで浮きたい。
いよいよスタートの時がやってくる。