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はっけんの水曜日
 
1000万円のマイクで立体録音を体験した

HEAD acousticsのダミーヘッド

じゃーん、これがHEAD acoustics社のダミーヘッドだ。HEAD acoustics社はダミーヘッド界では最大手。写真では見たことあったけど実物を見たのは初めてだ。


このダミーヘッドだけでなく、プロセッサやヘッドフォンなど一式で1000万円以上との事。会社の顧問の私物だそうな。

今日は僕の道楽に付き合ってもらう。

どういう用途に使われるのか?

このダミーヘッド、なにも町や山の音を録って楽しむ為のものではない。普通はそんな道楽には使わない。ではどういう使われ方をするのかというと。

例えば、車のエンジン音に不快な音がないかどうか。心地よいエンジン音はどういう音か?プリンタの動作音に嫌な音はないか?家電製品や自動車などの音を解析するために使うのだそうだ。

ダミーヘッドを通して得られた音は専用の解析ソフトに掛けて、その音が心地良いのか悪いかを数値化するそうだが、そのソフトがまた400万円するのだそうだ。ハードも凄かったが、ソフトも凄い金額だ。

国内外問わず、大手自動車メーカーや電機メーカーで実際に使われているそうで、通常はそういった大企業が研究用に使うものらしい。それを今回は僕の道楽(いや、取材なので仕事といえば仕事だが)に使わせてもらうわけだ。いいのか。


ダミーヘッド君の胴体。ダミー胴体君。

ダミーヘッドには胴体もあって、中身は空っぽだけど多分外付けのプロセッサ(左下の写真、矢印)とかを収納できるのだと思う。今回は使わない。

床に置かれていたのでつまずきそうになって超焦った。壊したらエライことだ。


プロセッサ。なんの処理をしているかは不明だが、ここを通った音を聞く。
ダミーヘッド君がヘッドフォンをしているように見えるけど、これは風防。風がある場合は風防を付けて風の音を防ぐ。

当然だけど耳の中にマイクが入っている。

ダミーヘッド君にはバイノーラル録音用の耳があって、耳の穴の中にマイクがついていた。鼻は無いが口は少しくぼんで開いていた。口もバイノーラル録音では大事な要素なのかも知れない。

全体的に小顔でツルッとした印象のダミーヘッド君は、僕には漫画の下書きみたいに見えた。

 

山田さんにダミーヘッドの周りで鍵を振ってもらった。

では、このダミーヘッド君で遊びましょう!

今回はこのダミーヘッドで遊んでみよう。どう遊ぶかって言うと、ダミーヘッドの隣の部屋にコンデンサ型ヘッドフォンを用意し、ダミーヘッドと繋げてもらった。

すると、ダミーヘッドが聞いた音を、あたかも自分が聴いたかのように感じられる!はずなのだ。理屈の上では。


すごい臨場感と透明な音にびびる。中学2年の時に生まれて初めてステレオヘッドフォンを付けたときに感じた衝撃に似た驚き。

もちろん、1ページ目で紹介したようなハイエンドオーディオの器機を使うわけだから、今まで僕がやっていたようなバイノーラル録音とはレベルが違う。

まず、ヘッドフォンを付けた瞬間から驚いた。ホワイトノイズ(無音状態でサーって聞える音)が全くないのだ。あんまり静かなので、電源入ってないんじゃないかと思って訊いたらちゃんと入っていた。

それだけで驚いちゃったんだけど、実際にダミーヘッドの周りで音を出してもらって更に驚いた。

音ってこんなに透明に出来るんだ、と思ったのだ。そんな僕の驚きをムービーで撮ったのでご覧ください。ちょっと病気の人みたいですが。


想像以上にいい音でした。すごいよ!正直ここまでとか思ってなかった。

 

みんなにも聴いてもらおう

僕が聴いてもだえてるだけじゃなにも伝わらないだろう。そこで、録音した音源をもらってきたので次のページで聞いてみてください。

必ずヘッドフォンで、なるべく静かなところで聞いてください。


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