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はっけんの水曜日
 
ビーチ相撲大会はおもしろい


これからはビーチといえば相撲ですよ。

日本の国技といえば相撲だが、テレビでみたことはあっても、実際にやった経験となると、小学生のころに砂場でちょっと遊んだ程度。

生まれ変わったら一度ちゃんとやってみたいなと思っていたら、由比ヶ浜でおこなわれる「ビーチ相撲大会」というイベントに誘われた。

ビーチと相撲。どちらも砂と裸と塩が似合う単語だが、はじめて聞く組み合わせだ。いい機会なので、ビーチでまわしを締めてきた。

玉置 豊



ビーチ相撲とは

ビーチ相撲大会当日、埼玉から二時間かけて神奈川県にあるおしゃれ海水浴場の由比ヶ浜にいくと、砂浜に土俵らしきものがつくられていた。

相撲というと固い地面を俵で囲んだ女人禁制の神聖な場所というイメージがあったのだが、この土俵はビキニの女性がたくさんいる砂浜に、ホースで丸く囲って仕切り線を置いただけ。

どんなスポーツよりもシンプルな競技会場である。


これがビーチ相撲の土俵。砂浜とホースさえあればどこでもできるシンプルさ。土俵の砂は掘り起こされて柔らかくなっているようだ。
一人だと不安なので編集部安藤さんにきてもらった。アメリカンドッグを食べながら「家族で海水浴なんて初めてですよ」と純粋に海を楽しんでいる。

このビーチ相撲というのは、大会にお誘いいただいた熊木さん達が会社の同期を集めて相撲部をつくったのがきっかけで生まれたスポーツ。

素人が作った相撲部ながらアマチュア相撲大会にも出ていたのだが、もっと気軽にみんなと相撲ができればいいなと、六年前からこの砂浜で素人による相撲大会を始め、それが盛り上がって日 本ビーチ相撲協会という団体を作り、NPO法人化までしてしまったそうだ。

自分たちが出られる大会がないから、大会をつくってしまうという行動力がすごい。


まったく相撲っぽくない熊木さん。なんで会社で相撲部をつくろうと思ったのかがまずわからない。

大会の参加者は、当日の呼び込みでの参加を中心に(砂浜を水着で歩く人に「相撲やりませんか!」と呼びかけていた)、ラジオやウェブでの告知から来た人、協会員の友人知人など。本気で相撲をやっている人は少ないので、参加のハードルは限りなく低い。試合は個人戦と団体戦があり、団体戦は男3女2の五人編成となっている。


ビーチ相撲大会の前後の時間には、ゴミや危険物を除去するビーチクリーン活動を行っているため、ビーチ相撲が普及すればするほど、各地のビーチがどんどん綺麗になるという効果も期待できるそうだ。

ビーチ相撲というのは、一度やってみると、「夏だし、開放的だし、みんなもっと相撲をとりたいとりたい」となるものらしい。初対面でも相撲をとれば、すぐに仲良くなれるのもポイントなのだそうだ。

ビーチ相撲のとりかたを教わる

相撲という競技はテレビで何度も見ているので、なんとなくルールはわかるのだけれど、実際に相撲をとってみろといわれると、どうしていいのかよくわからない。

そこで日本ビーチ相撲協会のがんじすさん(しこ名)に、基本的な相撲のとりかたを教わることにした。


がんじすさん。初対面から裸でぶつかり稽古だ。

がんじすさんは青山にある某有名大学の相撲部出身という本格派。ただその相撲部は、開校以来はじめてできた相撲部で、後にも先にも部員は彼一人という、大変特殊な部だったそうだ。

ビーチ相撲では、仕切り線の手前に両手をつき、行司の「ハッケヨーイ」の掛け声の「ハ」で立つのだが、初対面の裸の人と50センチの距離で見つめ合うという時点で、つい笑い出してしまった。しかも相手はがんじすさんだし。

どうにか笑いをこらえて立ち会うも、脇の下に手を入れて持ち上げられてさらに大笑い。相手は笑わそうとしているのではなく、私の腰を浮かそうとしている訳だが。フォークダンスに照れている中学生みたいで恐縮である。ちょっと違うか。


初対面でこの距離からぶつかり合う。大会になったら自己紹介すらなく、いきなり裸のぶつかり合いだ。
脇の下を持ち上げられて大笑い。そこ弱いんですよ。自分がこんなに笑い上戸だとは思わなかった。

今度はこちらから押してみるがびくともしない。触れた手のひらの感触をどうしたらいいのだろう。
思い切って強く押しこんだところで軽くスカされる。

ビーチ相撲では顔面への攻撃や関節を極める技などの危険な行為は禁止となっているが、なにをされるかわからない初対面の男の胸に飛び込んでいくのはやはり勇気が必要。頭から突っ込まれたらどうしよう。プロレスじゃないけれど、相手への信頼が不可欠だ。

裸の男同士のコンタクトスポーツ、慣れるまでちょっと時間がかかるが、それでも何回か練習をするうちに、だんだんと恥じらいとか照れくささは薄れてきた。それでもまだまだ相撲を楽しむという余裕はない。


初対面じゃなくてよく知っている人でも、それはそれで笑ってしまう。

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