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ひらめきの月曜日
 
週一日しかやってない店めぐりで一週間

本格&兼業のチューズデー

続いては火曜日。やってきたのは杉並区にある「いち彌」というお店。 看板にもあるように日本そばを出すお店。この種の店には、ときどき読み方で不安にさせられることがある。念のためひらがなで書くと「いちや」である。


モダン系のたたずまい
この手の看板があるとうまそうに見える

モダンな感じの建物に、素材の形を生かした木の看板。緑も添えられて、全体的にうまそうな雰囲気が漂う構えだと思う。 近所の人が自転車で食べに来ているらしい様子もうかがえて、期待が高まる。

こちらは先ほどの「ゲツメン」と異なり、完全に火曜日のみ営業のお店だ。


店先の案内にもこの表記
それでいて本気の店内

そういうわけで、もしかすると自宅をちょっと改装してお店にしているような、人んちっぽい味のある店かとも思っていたのだが、店内はそうした感じではない。がっちりときれいなおそば屋さんだ。

話が前後するが、会計のときにお店の方に週一回のみの営業の理由を聞いてみたところ、「他に仕事をやっているので」とのこと。本業がお休みの日にやっているとのことなのだ。それでここまでやるというのがすごい。


つやつやしてます
ちょっとした変化球がうれしい

やってきたのはまず「せいろ」。実のところ、蕎麦の味をしっかり語れる自信はないというのが自分の正直な気持ち。 だからと言って全く無頓着というわけではなく、知らない街で入った蕎麦屋に当たりはずれを感じるくらいのことはあるわけだ。

そうだとしたとき、こちらは間違いなく当たりのお店。やや細めで歯ごたえのあるタイプだろうか。

添えて出てきた七味が「黒七味」というのも未知の味でうれしい。確かに普通の七味とちょっと違う風味だ。


色だけでなく香りもいい
蕎麦を口から出してるわけではない

もう一つ注文したのは変わり蕎麦。当日は「柚子切り」だった。

蕎麦の実のまん中の部分を挽いた粉に、柚子の皮を練り込んで打った麺とのこと。だから色が普通の蕎麦と違い、黄色く透き通るようにキラキラしている。柚子の香りもしっかりと漂ってくる。

見た目に涼しく、こちらもおいしい。食べている途中に出てきた蕎麦湯はにごってとろみのある、個人的には好みのタイプのもの。週一営業がもったいないようなお店でした。

 

 

シック&充実野菜のウェンズデー

お次は水曜日。先に言ってしまうと、この曜日はどうしても純粋な週一営業の店を見つけることができなかった。それでも、できるだけそのルールを守る形でお店を巡りたい。


やばい、なんかおしゃれっぽい
メニュー黒板はフランクで安心、そして水曜限定ランチ

やってきたのは港区、六本木にある「RICK」というイタリアンレストラン。定休日は日曜のみで、基本的に夜6時からのオープン。しかし、水曜日だけはランチタイムも営業しているのだ。

週一日のみのランチ。なんとなく特別なものを期待させるではないか。


落ち着いた大人の雰囲気
でもカウンターのでかい肉で興奮

店内は全体的にシックな雰囲気。窓からの日差しに吊り下がったグラスが光って、大人のムードが漂う。しかし、そんな中で個人的に一番気になったのは、カウンターの上にあったでかい肉。

実に誇らしい。これはいい店だと直感する。7種類あるランチセットの中から、Cランチを選んでみた。


焼肉屋ではない

まずやってきたのは有機野菜のサラダ。と言っても、もしかすると焼肉屋で野菜焼きを注文したように見えるかもしれない。特に、大ぶりにカットしてあるカボチャやナスがそういう風に見せるだろう。

カボチャやナスに見えるものは実は別のものということはなく、そのままで正解。生のまま、添えられたイタリア産の塩につけて食べるというスタイルなのだ。


戸惑いながらもうまいナス
カボチャもいけます

半信半疑でまずはナスを食べてみる。…口の中にジュワッと広がるナスの果汁とほのかな甘み。小学生が焼肉で高ぶったテンションにまかせて、生のままの野菜にかじりつくのとは違う。プロの確かな目に裏打ちされたおいしさがそこにある。

カボチャも熱を通して食べるときとは違い、サクッとした食感と風味がおもしろい。それぞれ普通のものではなく、サラダとして食べられる種類を提供しているらしい。これは新鮮な体験だ。


おいしそうな前菜いろいろ
中にはおいしそうだけでは済まないものも

続いてやってきたのは5種類の前菜が盛り付けられたお皿。魚介類と野菜とがふんだんに使われた料理がちょこっとずつ乗っているのは見ているだけでも楽しいのだが、気になったのはヤングコーン。

ヤングコーンそのものはいい。ただ、いわゆるヒゲの部分も一緒にあるではないか。これはきっと、食べていいんだというサインではないだろうか。

食べてみる。…印象に残る味があるというわけではないが、決して口の中を邪魔されたという感じはない。もっと変に繊維っぽいようなイメージがあったのだが、違和感なく食べられた。


間違いなくおいしいメインのパスタ
デザートでまた変化球

見るからにおいしそうなトマトパスタは、下手に味を表現しない方がいいと思うくらいに、見た目からの期待そのままにおいしい。そしさ最後にやってきたデザートは、ゴボウのアイスクリームとのこと。正直、やや心配ではないだろうか。

しかし食べてみてその不安は裏切られた。おいしい。自分の味覚経験の中から思い出されたのは、うまい棒のコーンポタージュ味。あの味にアイスの食感と冷たさとほどよい甘さを加えてみてほしい。

余計な説明はただ混乱を招いただけだろうか。店員さんによると、「夜がメインの店なのだけれど、お客さんの要望に応えて水曜だけランチもやってます」とのこと。一皿ごとに驚きとおいしさがあったお店でした。


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