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フェティッシュの火曜日
 
背中合わせでギターを弾くあのかっこよさよ


背中合わせで弾くギターのかっこよさよ

ギターとベースが背中合わせで弾いている。ああ、なんとかっこいいことだろう。

もちろん背中合わせで演奏力が上がる、なんてことはないだろう。あれはかっこいいからやっているのだ。

「かっこいい」のために存在するあの背中合わせ。そのかっこよさはどこまでかっこいいのか?

今日は色々なパターンで背中合わせの可能性を調べていく。

大北 栄人



指名手配されたらすぐ捕まりそうな宮城マリオさん

エアギター

ギターがなくともかっこよく見せられるのがエアギタリスト。はじめに、かっこいいギター姿をエアギタリストの宮城マリオさんに教わった。

宮城さんは、楽器をしっかり見せることがコツだと言っていた。

あとは顔や指についても何か言っていたが、ライブハウス会場の音で何を言ってるのか聞き取れなかったのが残念だ。

残念だけども、見本を見せてもらったら、わかったような気がした。顔だ、顔。


普通に持つのではなくて
楽器をしっかり見せること。あと顔。たぶん。

まずはギターとベースでやってみよう

宮城さんにはベースを担当してもらっていよいよ背中合わせの写真を撮る。


ベースと背中合わせでギターを弾く

かっこいい!

ギターとベース、対称の構図がやはりかっこいい。ボン・ボンジョビみたいだ。あ、ジョン・ジョンボビだったか。とにかくスターだ。

たしかに楽器をちゃんと見せるといい。ベースは裏側を、ギターは表を、と対称になっててかっこいい。あとはエクスタシーを顔で表現しようと思ったのだが、今見るとタコみたいになってしまっている。


ボーカルと背中合わせでギターを弾く

ボーカルでもかっこいい

ボーカルっていうパターンもありますよね、とやってもらったらこれもかっこいい。またプロだ。

「マイクスタンドがあったらいいんですけどね〜。」と宮城さんは言っていたが、十分いい。野生のボーカルって感じで、歌うのに飽きたらハトとか追い回してそうでいい。


突っ立った人と

ああ、かっこいい

もう、ここまできたら突ったってもらうだけでもいいのでは?と思ったけど、いいな。うん、いい。

ニョキーン!と伸びてる感じでいい。たけのこのような自然の清々しさを感じる。今まさにすくすく育ってるひげの男を背中に感じてギターをプレイするのだ。

そしてそのまっすぐさは背中を当てるのにまたいい具合だ。まっすぐさが便利。100円ショップでこういう人売りに出てないかな。


自動販売機と

人じゃなくても、かっこいい

ただのまっすぐな人でもかっこいいならもしかして物でもと思ったけど…うん、かっこいいよこれ。

そんなものでもロックできるんだ!という大物感があるし、自販機には「KIRIN」って英語があってかっこいい。洋楽、って感じだ。


電柱と

外でも、かっこいい

物でいい、となったらいてもたってもいられなくて外に飛び出してみたけど、はぁ〜、かっこいい。もう、電柱でかっこいい。

エレキギターと電柱、エレキもエレキ、相性もばっちりだ。もしかしてそこから電気引いてるんですか?え、背中がコンセント!?ふだんの仕事は?え、仕事もコンセント!?って感じだ。


ポストと

ポスト、かっこいい

すぐ背後に郵便物の気配を感じながらギターを弾くのもかっこいい。

おれポストロック(※そういうジャンルの音楽があるんです)、好きなんだよな〜と言いながら郵便ポストとバンドやってる人ってなんかランニング姿でおにぎり食べてそうで素敵だ。


電話ボックスと

ああ、かっこいい

これからなくなっていくものを象徴した電話ボックスとバンド、これは社会派でかっこいいですよ。メッセージ性があって。「電話ボックスって最近使わないよね」っていうあるあるメッセージ。

偶然、電話ボックスとギターの間に光が差し込んでいるのもISDN!って感じでいい。さあ、テレホーダイタイムの始まりだ。


バイクと

追突されてるみたいで、かっこいい

バイクはもうそれ自体かっこいいもの。エレキギターとバイクだったらそりゃかっこいいわ!と満面の笑みで怒ってしまうくらいだ。

あれ?追突されてんの?と思うような写真になったこともかっこいい要因の一つだろう。

「ドーンといってみよう!」というアドバイスに真顔でうなずいて、ドーンといってしまった感じでいい。

その先に待ち受けるものは死だが、それこそがロック、危険と隣り合わせのセッションだ。


はとバスと

観光とロックのミスマッチもいい

ここから先は観光させねーぜ、といわんとしてるかのようでかっこいい。

はとバスの「おかまショーとしゃぶしゃぶ食べ放題ツアー行きたい」という思いとロックの姿勢は近からずも遠からずだろう。つまりはどうでもいい、ってことだ。


東京タワーと

東京タワーはかっこいい

タワーはもうスケールが段違いなので、かっこいい。ロックはやっぱりスケールのでかさがモノを言う。寄らば大樹の333m。

上京して東京タワーとバンド組む。尾道からそんな夢を抱いて20年ぶりに上京してきた老夫婦が都会の現実を思い知り…小津安二郎の『東京物語』がたしかそんな話だった。

かっこいいうえに夢がある。東京タワーはいい。


神社の鳥居と

神仏サマーオブラブ

神社の鳥居もなかなかかっこいい。ロックはラブ&ピースの音楽であって、シン&ブツ(神&仏)の音楽であったような気もする。

これでシンは制覇したので、今度はブツ、それも東大寺にあるビッグブツ(大仏)に行ってみたい。あの鼻の穴と言われてる柱をギター持って通るのだ。ガコッ!ってなるぞ、ガコッ!って。


恐竜の化石と

ようこそ先輩

恐竜の化石と背中合わせでギター。ギターに化石、男の子のあこがれが並んでいる。もちろんかっこいい。

後ろに元・生物、現・鉱物を感じながらプレイする。地球の歴史を一年に置き換えると、12月半ばと大晦日のセッション。だからなんだと言われても困るが、冬休みって素晴らしいじゃないか。


トラフグと

猛毒を背負って

トラフグ (虎河豚、学名:Takifugu rubripes )は、フグの一種。食用として取引されるフグの中では最も高級とされる。他のフグ類同様、フグ毒(テトロドトキシンという神経毒)を含むため、調理には免許が必要とされる。

以上、Wikipediaより抜粋。かっこいい。


六本木ヒルズと

ヒルズとうまくやっていけるのか

あれだけいけすかないと思ってた六本木ヒルズも今や同じバンド仲間。Vo.の女の子を高層ビルと奪いあう日が来るとは思わなかった。

しかし、バンド内所得格差は時に切実な問題となり、次第にはなれていったヒルズと僕。方向性の違い(建物と人間の)により解散も近い。


大門・両国方面と

方面、悪いけどバンドやめてくれないか

中学生のときにギターを買ってもらった僕だが、まさか十数年後、方面とバンドを組むとは思わなかった。

ボーカル、ギター、ベース、ドラムス、方面。メジャーデビューにあたって、だれか一人、人員整理を命じられることとなる。

方面は今では実家のマンションの管理人をしているらしい。そんな噂を伝え聞いた。


環境保全団体と

エコブームに乗って

今や地球が危ない。地球も危ないがパンダも危ない。パンダを大切にしよう。そんなメッセージを背後に感じながらギターを弾く。かっこいい。

たしかミスチル辺りがそんなパンダを救うフェスティバルに出てた気がする。いや、黒柳徹子だったか?とにかくパンダをいたわるのは大物の証だ。


学習雑誌と

勉強させてください

時に暴走しがちなギターソロを支えるのは、旬な特撮ヒーローの情報やオリジナルマンガを多く抱える学習雑誌。

そういえばそんなヒーローいたかもしれない。純真な子供の心にギターソロをそっと紛れこませたい。


えらい言葉と

文明開化のGrooveがする

学問のすゝめをバックにギターを弾いていると色々と考えることもある。

天は人の上にギターソロを造らず、人の下にギターソロを造らず。ボンジョビが散切り頭をちょちょんと叩いて、牛鍋食いに行ってたりしてたような気がする。

うむ。かっこいゝじゃないか。


お昼ごはんと

わんぱく宣言

休憩がてらお昼を食べていたのだが、これもギターの背中合わせにしてみよう。

高さが合わないのがネックだが、今後ギタリストのために「お昼ごはんスタンド」のような支持具が発売されるかもしれない。気づいたけど立ち食いそばってそれだ。

曲構成はAメロ→Bメロ→ランチ→ギターソロ→ランチ→でフェードアウト。お腹がいっぱいでかっこいいのかわからなくなってきた。


跳ね上がるものと

駐車場のバコンと

もしかしたら地面にあるものでもいいのではないか?と思い、駐車場によくあるバコンとなるあれと背中合わせをした。

この辺りから話は難しくなってくる。ギターを弾くというよりはお腹が痛くなった人のような気がしてきたのだ。

だがこれは姿勢でなくて、駐車場のあれに対して何の思いもないからだろうか?


路面と

やっぱりこれはお腹痛いに近い

ならば一度物をなくして地面にしてみよう、と路面のでこぼこと背中合わせになった。

どうだろう、かっこいいとは言えない。かっこいいというよりはお腹痛そうと思ってしまう。


ゴミと

死んでいるに近い

最終的には、最も価値がなさそうな落ちていたものと背中合わせになった。

うん、ギター弾いてなさそう〜。死んでそう〜。寝っ転がるとギターの背中合わせはかっこよくならないことがわかった。

今日はこの辺りにかっこよさの線を引いておきたい。

スポーツ用品と間違えて「adidas」のステッカーが貼ってある

後記

撮影時は、街中でギターを取り出すのが面倒くさくてはだかのまま持ち歩いていた。

道を聞きに交番に入ったところ、警官に「え?何それ?」と驚かれた。ギターは街中で持つとやっぱりへんなものなのか。

「で、何なのそれ?プロモーションビデオ?」とさらに聞かれたので、インターネットの記事の撮影なんですが出ませんか?とついでに頼んでみた。

「いやー、おまわりさんはいいよー。がんばってねー。」とあしらわれたが、この警官は見た目からして僕とそんなに年が変わらないはずだ。

やはりギターを持つと、人は少年に見えるんだろうか。そんなやさしい気持ちになったが、今となっては、あ、バカにされてたのか、と気づいてガッカリしている。


 
 

 

 
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