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東急メディアコミュニケーションズ


ひらめきの月曜日
 
飴がもらえる場所をさがして


 

大塚 幸代



昨年、引っ越しのため、不動産屋さんをまわったとき。
気になったのは、「飴」の存在であった。
間取りを見せてもらうカウンターの横に、必ず、小さいカゴが置いてあって、飴が置いてある。なんとなく、貰って帰っていて、いつのまにか、不動産屋めぐりの楽しみのひとつにしていたんだけれど…。

思えば、なぜ、不動産屋さんに飴なんだろう?
物件データを探してもらう間になめるのか? 内覧のための移動中になめるのか? 帰る時になめるのか?
いつなめるのが、正しいなめ方なんだろうか? 

一度、
「なんで飴が置いてあるんですか?」
と訊いたことがあった。
「え!? えーと、えーと、何ででしょうね…?」
不動産屋さんも、理由が分かってないみたいだった。

そこで「夏の自由研究として、『不動産屋さんの飴』の、傾向を調べよう! どんな飴が、どんな目的で置いてあるのか調べよう!」と、地元の不動産屋さんの店先を、フラフラのぞいてみたのだが…。


新しめの店も、古めの店も。

ぎゃー! 飴、ほとんどない!
10件行ってみて、2件しかなかった。
『嘘でしょ、去年、どこにでもあったのに!』と驚いた。
きっと不況なのだ。飴なんて、要らないものは、真っ先にカットされる運命だったのだ…。

不動産に詳しい友人に、電話をかけてみた。
「え、飴? 飴ねえ。確かにありますね。でも、不動産屋の飴の歴史なんて、誰も知らないと思いますよ。
まあ、戦後からでしょうけど…。何で飴なんですかねえ。分からないですねえ。
傾向なんてものも、ないんじゃないですか? お菓子屋で、いちばん安い、名もなき飴を、なんとなく買ってるだけですよ。でも不動産不況だし、そりゃ、なくなってもおかしくないですね。」

がーん。

炎天下の中、数時間歩いて、不動産屋をチェックしたのに…。


ゴハンを食べながら、作戦を練り直す(面白い写真がないので、サービスカットで大きくしてみました)

とぼとぼ、帰宅。用事があったので郵便局に寄った。
そしたら衝撃の出会いが!!


某所、郵便局。

なんだ、こんなところにいたのか、飴ちゃんよ!!


袋に「Candy」と書いてある、まさに名もなき飴は、受付横の小さな箱に入っていて、誰にでもとれるようになっていた。「定額貯金ありがとうキャンペーン」のチラシに付いていた飴は、カンロの飴だった。やっぱ、お金が動くほうの飴のほうが、ゴージャスらしい。

私は80円の郵便一通を送っただけなのに、飴を2つも持って帰った。
飴って、どうしてこんなに魅力的なんだろう。普段、甘党じゃない私でも、妙に嬉しい…。

大都会、新宿に行ってみよう

結局、近所の商店街では、飴が見つからなかったので、翌日、新宿まで探しに行くことにした。


やっぱり炎天下。

新宿駅の東南口、みんながチラシなどを配っている方向に出る。
誰かがアメを配ってくれないか、くるりと見回してみたけれど、誰もアメを持っていない。ティッシュ、ティッシュ、ティッシュばかりだ。
まあ、こんな暑いんじゃ、アメ付きチラシを配ってたら溶けちゃうかな、とは思う。

さ、他に、飴が置いてそうなところを、まわってみることにする。


 

旅行代理店(HIS、JTBなど)、飴なし!
レンタカーの店、車の販売店、飴なし!
携帯ショップ(au、ソフトバンク、docomo)飴なし!
証券会社、消費者金融、質屋、飴なし!
もちろん、服屋や食べ物屋にも、飴はなし!

足は棒になり、汗はダラダラ。

せちがらい! せちがらいよ!
そう思いながら、確実に飴がある場所へ、一応、行ってみることにした。


大久保の韓国家庭料理の店。韓国式に、つきだしは無料。

今回は石焼ビビンバ600円をオーダー(これもサービスカットで大きくしてみました)。

そう、ここの店は、飴とガム、ダブルでもらえるのだ。飴はおこげの味の、韓国飴。でも、焼肉食べてないから、ガムや飴ってとくに必要ないんだけど…。貰うけども。

飴って何の意味があるんだろう

この後、友人たちにも「飴ってどこにあるんだろうね?」と訊きまくったんだが、

・マッサージ店にある
・美容院に、ある店もある
・飛行機の中ではくれる
・生命保険の勧誘の人がくれる
・中国やトルコの結婚式では、皆に配るらしい
・政治家が演説中に、配ってた(←いいのかな?)

こんな意見を頂いた。

要するに…。

・暇つぶし
・お祝い、おもてなし

なんだろうけど、共通点は

・子供の手の届くところには、ない

ということだった。
街で飴をもらえるのは、基本的に、大人だけなのだ。

子供は、飴に対して自分を制御出来ないから、やっぱり簡単に貰えない。
(私も昔、ファンタオレンジが好きで好きで、何リットルも飲めたらいいなあ、と夢見たことがある。今は飲んでもいい立場だけど、全然飲みたくない。残念だ。)

飴は大人にとっては、微妙にマヌケな、やすらぎグッズだ。
不動産屋さんなんて、大きなお金の動く、緊張しなきゃいけない場所に置いてあったのは、きっと、空気を和らげるためだったんじゃないのかなあ…と思う。

不況だからって、飴をなくしちゃいけない。むしろ飴は増やすべきなんじゃないだろうか?

もちろん、舐める側に強制する形ではなく、そっと置いてある、っていうだけでいい。飴が嫌いな人だっているし、食餌法的に、食べない人もいる。
でも必要なのは「飴が置いてあるような、場」だ。

あの無駄さは、必要なんじゃないかなあと……こっそり思うのは、私だけなんだろうか。うーむ。


 
 

 

 
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