すね毛剥がし
最初の痛み実験は、すね毛剥がしだ。すねにガムテープを貼って、それを一気に剥がす。ケガはしないが、味わいたくない痛みがあることは想像出来る。
はじめは純粋に痛みを感じるために、女子高生の視線がないところでガムテープをピリっとやってみたい。対照実験というやつだ。
すねからガムテープを一気にはがすと、ピッと引っ張られるような痛みがまずあり、あとからチリチリと焼けるような感覚がくる。これが女子高生の関係のない、純粋な痛みだ。
今度は女子高生二人に見てもらっている状態でやってみる。
ちょっと普通はないシチュエーションなので、視線をどうしたらいいか躊躇している間にペリッと剥かれた。
痛みは軽減されていた。これがあのとき感じた女子高生の鎮痛作用か!彼女たちは「いたそう〜」などと言っているが、もはやそんなに痛くはない。
女子高生にもっと近づいてもらったら、もっと痛みは軽減されるのだろうか。その距離をぐっと縮めてみる。
女子高生と軽く会話している間に、不意をついて剥がされた。だが痛くないのだ。すごい、すごいぞ女子高生パワー。
だったらということで、直接女子高生にテープを剥がしてもらうことにした。
痛みを感じないことを確信しつつあるので、僕の口からは「テープ、2枚同時とかでもいけちゃいますよ」なんて言葉が出ていた。
やはり宣言通り、2枚同時でもいけちゃうのであった。
脳のキャパシティが100に限られているとすると、100あった痛みの領域に女子高生がどどどっと割り込んできて、結果的に痛みが30か20くらいに減ったように感じられるのだと思う。
ダメージは同じだが痛みは少ない。そんな感じだ。
ゴムパッチン
より痛みと恐怖感の強いゴムパッチンに挑戦してみよう。輪ゴムをチェーンのようにつなぎあわせて、長いゴム紐を作った。それを口に咥える。
まずは女子高生の視線がない状態をつくって挑戦した。
ゴムが引っ張られると、その弾力感からゴムにどれだけエネルギーが蓄えられているかが、「恐怖感」として感じられる。
表情が強ばって、寒さのような感覚を覚える。
指が離れた瞬間にゴムが稲妻のように僕の唇を奪う。文字通り、取れちゃったかと思った、唇。
恐怖感もそうだが、痛みも凄い。残響というか、ビリビリとしびれるような感覚が唇に残る。さらには「なんでこんな目にあっているんだろう……」というか、うら寂しい気分になった。
女子高生に見られながらだとどうなるだろう。
少し痛みを感じるものの、恥ずかしい、かっこ悪い、そんな気持ちが痛みのスペースを占領していく。
「笑ってくれてるし、痛がった方がいいのかな?」などという、実際ある痛みを差し置いて、痛みの演技をしようと考えたりするくらいだ。
続いて彼女にゴムをひっぱってもらう。
やはり「痛そう」と口では言うのだが、顔は楽しそうに笑っている女子高生。
一方僕はといえば、痛いけど苦痛ではない。楽しい痛み、楽痛とでも言おうか。いや、そんなものあるのだろうか。