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ちしきの金曜日
 
大人の低ガード下ツアー

作尻の秘密!

さて、高輪橋架道橋を体験してしまった身としては、この作尻、いささか小粒な低ガード作品に見えてしまうが、じつは見どころがけっこうある。

まずはなんといってもその前後の道の勾配だ。ガードに向かって道が下っている。「これからがんばってくぐりますよ!」って感じでかわいらしい。


ごらんの通り、ガードに向かって道ががくんと下がる。

この道の下りっぷりがなければとうてい線路の下をくぐることはできなかっただろう。わざわざ掘ったのかしら。

と、思ってしらべてみたら、ちがっていた。なんと、ここは、もともと水路だったようなのだ!

まず地図を見ていただこう。


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この同じ範囲を地形図で見ると、ここだけくぐれるように掘ったのではなく南に現存する水路からにょろっと低い筋がのびていることが分かる↓


ピンが立っているのが作尻架道橋の位置。線路をくぐるガード下はもちろん、そこにりょろっと続く道がうっすらと低い。(国土地理院数値地図5mメッシュをカシミール3Dで表示)

で、これは南側の水路につながる水の流れがあったに違いないと思って「国土変遷アーカイブ」で1946年のものを見てみたら、見事に水路があった↓


みごとに水路が!(国土変遷アーカイブより)

もういっかい、現在の地図をじっくり見てみると、周辺で、このガード以外の線路を横切る道はすべて踏切だ。下をくぐっていない。

つまり、作尻架道橋は水路の跡を利用できたので、ここだけ下をくぐることができたというわけだ。へー。なるほど!

えー、つまり、ようするに、なにがいいたいのかというと、地形図ってたのしいね!ってことです。

 

 

低いのも苦労するんだぜ!

よく「背が高いと苦労する」みたいなことをいう人がいる。おでこぶつける、とか、あう服がない、とか、猫背になる、とか。しゃらくせえ。そんなこといってみたい!ぼくだって苦労してきたよ!というか、いつまで身長に関する恨み言をならべるつもりか、ぼくは。

この作尻架道橋も低身長ゆえの苦労をしている。たとえばこの天井のゴムの群れ。


他のガード下ではあまり見かけない天井のテクスチャ。というか、「他のガード下では」って、そもそもガード下自体見ないですよね。

なにやら穴が。

なんだろうと思って空いている穴を覗いてみたら、そこにはボルトの頭が。そう、ボルトに頭ぶつけないようにゴムでカバーしているのだ。このゴムでもぶつけたらいたいと思うけど。


ボルトからあなたの頭をガード。

というか、そもそもなんでボルトがでっぱっているのか。それは断面を見てみたらわかった。なんと、この天井面は鉄板なのだ。


コンクリートの下に鉄板が貼られている!ってこれにびっくりってマニアックすぎるか。

なんで鉄板?たぶん、充分な強度を出すために必要なコンクリートの厚さだと、さらに低くなっちゃうからだろう。そこで鉄板でかせいだのだ(未確認)。

苦労してるなー。わかる。わかるよ、その低身長ゆえの苦労。今夜は飲み明かそうぜ作尻くん!


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