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ひらめきの月曜日
 
玉葱産地の海には玉葱が浮いている

噂以上の玉葱力

どうやって調べれば良いだろう。役場にでも行ってみれば良いかしら。そう思って車を走らせると淡路島が本当の姿を現した。


一面玉葱畑。

高速道路から海に行くまではそんな気配は無かったが、少し山に近づくと右を見ても左を見ても玉葱畑。想像以上の玉葱だらけっぷり。


そこら中に玉葱小屋みたいなのがある。
玉葱ってこうやって出来るのな。

「淡路島は玉葱の匂いがしますよ」淡路島出身の友人に言われ冗談だと思っていたが、する。本当にうっすらと玉葱の香りがする。

丁度収穫の時期だったためなのか、年中この匂いなのかは分からないがこれだけ玉葱とふれあって生活すればそりゃあ淡路の人は玉葱好きにもなるわなぁ。と納得した。

 

農家の人に聞けば分かるんじゃないか

これだけあれば、いくつかは海に行ってもおかしくないわ。理屈じゃなく力で納得しそうになったが、なんでかも聞いてみたい。収穫してた人がいたので聞いてみよう。


こーんにーちはー。

僕「すみません、ちょっとお聞きしたいんですが、海に玉葱落ちてるの見つけたんですが、なんで海に落ちてるんでしょうか」

おばちゃん「あぁー、ありゃあな、川から流れてくるんや」

なにその桃太郎、というか玉葱さん太郎。

おばちゃん「引いた(収穫した)んやけど小さくて出されんもんを川にほる(捨てる)人がおるんや。アカンのやけどな」

出荷に見合わないサイズの玉葱の処分に困って川に捨て、それが海に流れ着く。ということか。島だから川が急で海に近いというのも海で見かける原因か。

産地だからって海に玉葱ある!って面白がっていたが、不法投棄の様な物で、あまりあってはならない物だった。

 

折角だから玉葱欲しい。

海に玉葱がある理由は分かった。じゃあ、折角来たんだから玉葱が欲しい。どこかで新鮮な物が手に入らないか聞いてみよう。

僕「玉葱欲しいんですけど、どこか良い所無いですかね?」

おばちゃん「そっちの方に行ったら直売所があるけど、よかったら引いたろか」


良い所?ここ。

そういうとおばちゃんは畑の隅の方に行ってモリモリと玉葱を掘ってくれる。おぉ!最高に新鮮!コレは嬉しい(ちょっと期待してた)。


プチトマトもくれた。

おばちゃん「ほら、コレも食べ。親戚が作った無農薬、有機栽培の」

そういってプチトマトも下さった。甘くて冷たくて凄く美味しい。座って食べていたが、おばちゃんにだけ作業させるのは悪い気がする。というか、玉葱掘ってみたい。


引っ張ったらすぐ抜ける。

僕「玉葱引いてみて良いですか」

おばちゃん「おう、やれやれ」

引っ張ってみたらスポッと抜ける。おほ、これ楽しい。調子に乗っていくつも抜く。ってこんなに抜いて大丈夫か。と思ったらおばちゃんはその何倍も抜いていた。


こんなに引いた。

僕「うおっ!知らん間にこんなにいっぱい。食べきれるかな」

おばちゃん「美味しいからこのくらいすぐ食べたるわ。吊るしとったら年明けまでは保つし大丈夫やよ」

僕「じゃあこの位でお願いします。おいくらでしょうか」

おばちゃん「じゃあ、500円」

小遣いか。数えてみたら20玉以上。近所のスーパーよりも安い。しかも美味しいと評判の玉葱だ。

僕「エエッ!そんなに安くて良いんですか!?」

おばちゃん「エエよエエよ、サービスや。その代わりまた淡路島遊びに来てな」


車の中が玉葱になった。

猛烈に感謝を伝え、玉葱を車に積む。狭い所になると匂いが一層強く感じる。

おばちゃん「臭いやろ。玉葱は臭いもんや。やけどその分美味しいからな」

そういうとおばちゃんはうぇっへっへと笑った。早くこの玉葱を食べたいな。そしてまた淡路島に来ようと強く思った。


でも結局、耐えきれず袋を買って詰めた。この袋も束で500円。物の価値って何かね。


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