シルバースイーツ・その2: もしほ草
続いては、「もしほ草」というお菓子。 岩永梅寿軒という、江戸時代からある老舗の和菓子屋さんが作っている長崎銘菓。
お年寄りへのお土産なら、これを持って行けばバッチリ!と言われたりもする歴史ある一品なのだが、年寄り以外からの評価はまちまちだ。というのもコレ、「昆布味の求肥に砂糖がまぶしてある」という、なかなか他に例がない組み合わせの食べ物なのである。
そして食べるとまさにそういう味がする。
口に入れると、まず砂糖による甘さが広がり、その後、海藻系の塩けがわずかに後味として残る。
というかつてない味わいに、初めて食べた時は正直、 「変な味〜!」と思った。 同じような感想を抱く者は多いようで、 「銘菓らしいけど、あれはちょっと…」 という声を、私と同じくらいの世代からたびたび聞いた。
ところが…!だ。
未知の価値観を持つ者、おふくろ
おふくろが長崎に来た時、 「これ、年寄りには評判いいらしいよ。ちょっと変な味するかもしれないけど…」 と言って出したら、 「あら!これおいしいわね。」 と言ってバグバグ食べ始め、お土産用にも買って行き、その後も長崎に来る度にわざわざ売ってるところを探して買い求めるという絶賛ぶりだったのだ。
あまりにおふくろに評判がいいので、不思議になってつまんでみると、たしかになんだか美味しいような気がしてくる。
そんなに甘すぎない上品な甘さに、わずかなしょっぱさ。 熱いお茶にすごく合う…。
あれ?これすごくうまいぞ。
なんだなんだ? 超うまい!
というわけで、おふくろのおかげで今ではすっかり私もリピーターになった。
初め変な味だと思ったのは、初めて食べるタイプの味だったために感じた違和感で、一度脳がそれを理解し、美味しいとわかったら、むちゃむちゃ美味しいお菓子だという認識に変わった。
が、おふくろはなぜ一発で美味しさを理解したのかは、 「それはおふくろだから」 としか言いようがない。