夜に口笛を吹くと蛇が来る。という言い伝えがある。 それを聞くたびに思うのだ。口笛吹いて蛇が来たら、蛇使いっぽくて嬉しいじゃん。
大丈夫、分かってる。もちろん実際に来るって訳じゃなくて夜に口笛吹いたら迷惑だからやめなさい。っていう事の例えみたいな話なんだろう。もちろん分かってる。
でもさ、口笛吹いて蛇が来てくれたらば嬉しいじゃない。
(尾張 由晃)
ものは試しだ
蛇が来るとか、蛇使いっぽくて嬉しいじゃん!って思いながらも怒られるから実際にやったことが無かった。これ、本当だったらどうしよう。やってみるか。
無いだろうとは思うけれども本当に蛇が来た時のためにドアを開けておく。僕の家は5階で、しかもエレベーターが付いてないが大丈夫だろうか、蛇にとってはエレベータの方が敷居が高いか。
ベッドの上に登って、護身用に棒とガスバーナーを用意した。万全の準備をもって、蛇に備える。いざ、口笛!
ヒョー、ヒョー。
そういえば口笛吹けなかった。
吹けないものは吹けない
小学生の時、「口笛吹けない奴はゲイ!」って言われてそんなの関係ないじゃんと思いつつもなんだか心配だったし、でも女の子が好きだ!って言えない心境を思い出した。小学生は素直だけれど正直じゃない。
ゲイじゃないと今は大体分かったのでそのことについては良いのだが問題は蛇だ。
口笛のコツを調べてみたら、リップクリームを塗ってずっと吹いてるとパッと吹けるようになるらしい。それを信じてやってみるが、口を開く時に「ンパッ」って音がする位だった。
笛で良いだろうか
もう、笛でも良いだろうか。蛇使いも口笛じゃなくて笛だしさ。
思えば僕が言われていたのは口笛を吹くと。ではなく笛を吹くと。だった様な気がする。というか口笛吹けないので、笛だったんだろう。
笛でも良いのかとインターネットで検索してみると、「僕の地方では口笛でしたが笛でも良いと思います!」みたいな事を見つけたが、それって人が決める事じゃ無いだろう。