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フェティッシュの火曜日
 
ほや祭りでほや料理を食べてきた


一応説明すると、これがほやです。

そろそろほやのおいしいシーズンである。

好き嫌いがはっきり分かれ、東北から南下するごとに「嫌い」の割合が高くなっていくほやだが、新鮮なものは臭みもな く、他のなににも似ていない、説明しづらいうまさがある。

そんなほやを主題としたお祭りが、以前ほや養殖場の取材をさせていただいた(参照)宮城県女 川市でおこなわれる。その名もほや祭り。

「誰がいくんだそれ」ってちょっと思ったのだが、おいしいほやが食べたいので、誰あろう自分がいってきた。

玉置 豊



伝統のある祭りではないよ

ほや祭りはマリンパル女川という水産観光センターでおこなわれるイベントで、いってみてから気がついたのだが、ここは毎月 さんま祭りとかかき祭りとかあんこう祭りとか、とりあえずなにか特産品をテーマにした祭りというかイベントをやっており、その五月のテーマがほやなのだ。


とにかく天気のいい一日でした。

マリンパル女川には観光市場があって、ほやがお祭り価格で売られている。

値段はサイズ次第で、80〜150円くらい。もちろんとびきり新鮮。

携帯電話くらいのサイズだと、20円とかで売っている。なんだか漁師さんに申し訳なくなる値段設定。

ほやにもへそがあるらしいよ。

そういうレベルの祭りなので、大きな期待はせずに、「デパートにいったら北海道フェアをやっていた」くらいの話だと思って、以下読み続けてほしい。

ほやみこしとか、ミスほやコンテストとか、ほや早食いコンテストはでてきません。

でもほや好きなら、読んで行きたくなると思う祭りだと思う。

 

ほや料理その1:ほやタマゴ

祭りの一番の楽しみが出店だという人は多いと思うが、ほや祭りの楽しみももちろん出店である。というか、出店が祭りのほぼすべてといってもいいかもしれない。あと、ほやチンコ(最後に紹介します)。

出店はタコ焼き屋とかクレープ屋(うまかった)もあるけれど、この日以外食べられなそうなほやの創作料理がいくつかあったので、全部食べてみた。

まず最初に食べたのが「ほやタマゴ」。


どんなものが考えてみてください。

ほやって卵を産むのかなと思いながら注文すると、煮汁たっぷりの大鍋からおでんの具みたいなものがでてきた。


卵が入ったなにか、らしい。

むわっと漂うほやの香り。

卵を包むものは、ほやを加工したすり身的なものかと思ったら、ほやそのものだった。


おでんっぽいみためですが、おでんを想像して匂いを嗅いではいけない。

この汁はなに味かときいたら、ほやの煮汁といわれた。さすがほや祭り。

どんな味なのか食べてみると、それはもう強烈にほや。汁を飲んでもほや。見た目はほとんどおでんなのに、自分が遠 いところにきたことをわからせてくれる異文化の味。明治時代の人が牛肉を食べた時のようなインパクト。卵の存在感がほやに隠れてしまった

そうそう、ほやってこんな味だったと、久しぶりにほやを食べて思いだした。あははは、なんだか楽しい。

 

ほや料理その2:焼ホヤ

次に食べたのは焼ホヤ。焼いていたおじさんから焼ホヤを受け取る時に、「焼きたてホヤホヤだよ!」といってもらっ たのがうれしい。いいたくなるよね、ホヤホヤ。

あ、あれは焼きたてホヤホヤを略して焼ホヤというギャグだったのか。今気がついた。


200円が高いのか安いのかよくわからない。

ほや三兄弟っていう歌を出すといいと思う。

裏返すとこんな感じ。しばらくクルクルまわして遊んでいた。

焼いたほやは生のほやとはまったく食感が違って、新幹線で売っているツマミのほやに近い感じ。ホッピーとかチューハイが似合いそうな味と歯ごたえ。

ほやは海のパイナップルと呼ばれることがあるが、これは干し杏っぽいなと思った。

 

ほや料理その3:ほやバクダン

三つ目にしてもう最後のホヤ料理は、ほやバクダン。これもまた名前から見た目が想像できない料理である。

卵が入った練り物をバクダンと呼んだりするが、卵が入ったホヤはさっき食べた。じゃあこれはなんだろう。


実は二日連続でこの祭りにいったのだが、初日はもう売り切れていて、二日目でようやく食べられた。

もちろん特大を購入。小さくダイヤモンドヘッドと書いてあるのは何だろう。

蒸し器の中には、ラップにくるまれたほや。これがバクダンらしいよ。

七味唐辛子かけるか聞かれて、中身がなんだかよくわからないけれどかけてもらった。

中にはほやご飯が詰まっていた。混ぜご飯をかやくご飯っていうから、かやくご飯が詰まったほやということで、ほやバクダンなのかな。いや、深読みしすぎか。

さすが特 大。ソフトボールくらいある。こういう駅弁があればいいのに。女川の子供たちは、遠足とかにこれをもっていくのだろうか。それにしても天気がいい。

外の皮は食べるところがなかったけれど、中に詰まったほやご飯は適度にほや臭 くておいしかった。青紫蘇と七味がまたあう。どの辺がダイヤモンドヘッドなのかは置いておいて。

「女川のほやにはいろいろなものが詰まっているんだ。」

なにかいいことを言っている風なことを口に出したが、詰まっていたのは卵とご飯だ。


汁ものが欲 しいなとおもったら、サンマのつみれ汁が無料配布されていた。普通に考えると、これが一番うまいかもしれない。

出店なので、なまものである刺身とか酢のものとか、一般的なほや料理が出せな いのだろうけれど、煮たり焼いたり蒸したりっていうのは、よく考えたら普通の料理法だ。

ほやは普通に料理しただけで、狙った感のあるインパクトのある料理になる。

デーモン小暮が何回か映画出演をしたのだが、その役が全部「デーモン小暮」だったという話を思い出した。ほやもそ ういう存在なのだと思う。

 

ほやチンコ

食べ物以外でほや祭りの見どころといえば、ほやチンコである。

そういえばライターのほそいあやさんは、「ほそいあや、略してほや!」とよくいっていたが、それは関係のない話 だ。


この祭りで一番の行列ができているのが、女川名物ほやチンコ。

どういうものかというと、でっかいパチンコ台にほやを玉がわりに投げ入れて、 いいところに入ると、ほやがたくさんもらえるというゲームである。

ほやパチンコ、略して、ほやチンコ。一文字しか略されていないが、略したことでいらぬ意味が付与されている。よく わからないけれど、事業仕訳という単語が頭の中にあらわれた。


参加費は 100円。いいところに入ると最大5個もらえる。そのまま下に落ちても2個もらえる。たまには食べ物で遊んでもいいよね。

ほやがなく なり次第終了。けっこう早くなくなる。

ほや祭り、来てすぐにすごいテンションがあがる、というものではないけれど、 「そうきたか…」というものが、重なって、重なって、最後は妙に興奮していた。

こういう祭りでいい

この祭りの滞在時間は一時間ほどで、祭りというよりは「特徴のある道の駅」にきたみたいな感じだったが、この祭りのすべてを見た感じがして、大きな祭りにはない充実感を得ることができた。一話完結、みたいな一時間。

知らない町のB級グルメになる気すらない、その日にしか食べられない料理、こういうのが好きなのだ。

500円で買ったその場で食べられるウニがうまかったので、今度は7月のウニ祭りにこようかな。

 
 

 

 
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