以前、スルメで鎧を作った(イカで作ったイ革ジャン)。 記事にして、イベントにも出演させて頂いた(イベントの様子)。 もう、満足だ。充分に楽しんだ。さぁ、後は食べるだけだ。
(尾張 由晃)
かなり多い
よーし、じゃあ今日のおやつはスルメだな。ってノリで食べ切れれば良いのだが、多分無理だ。
なんてったって、鎧にした位の量だ。本気で向き合う、いや、戦う気概が無いと食べきれぬだろう。よし、いっちょ本気出したらどれくらいスルメを食べられるのか、試してみるか。
スルメ手強い
ルールは朝10時から夜10時までの間にたくさんスルメを食べるだけ。スルメしか食べちゃダメ!みたいなストイックさは無く、単純に量を消費したい。これなら100枚位はいけるだろうか。
そんな考えでスルメを食べる。が、食べ始めて驚いた。このスルメ、メチャメチャ堅い!
買ってから4ヶ月、そういえば見た目も凄く変わっている。乾燥か、熟成か。どう変わったのかは詳しく分からないがものすごく堅い。
一時間黙々と食べたがなんと食べられたのは二枚だけだった。自分の甘さとこれからの苦難を知らされた。
細くなってもイカは強い
このままじゃイカンと家に戻った。何か手を打たなければ。
細ければ食べやすかろう。と、はさみで切った。細いほどにアゴへの負担が減るだろう。と、思ったがそれが誤算。一本一本を砕くのにさっき以上に噛むのが大変。
細かく切るのにも時間を取られ、なんとこの一時間に食べられたイカは一枚だけ。恐るべき本末転倒具合である。
一応炙る
ふむ、ならば次はどうしようか。特に方法が思いつかなかったので炙ってみた。
少し炙ってみたら、見事にキュッと丸まった。そしてポコポコと膨らむ表面がちょっと気持ち悪い。しかも、堅い原因が乾燥だとしたら炙って更に堅くなるんじゃ無かろうか。
しかし匂いが良い。スルメの匂いが、炙ったイカの匂いに変わった。そのままの事を言っているがそのままだから仕方ない。さなぎから蝶へと変身した!とか、例えれば例えるほどに実際とは離れてしまう。
実際は食べてみたらば食べやすい!噛むとバリッとせんべいのように割れて今までのような抵抗はない。こりゃいける!とバリバリ食べると、味の濃さにすぐにやられた。凄く塩っ辛い。
お茶を飲みながらでもこらえきれないしょっぱさ。この時間は炙った二枚で限界だった。
炙ってダメなら煮るか
火を通すと食べやすくなることは分かったが、味が濃すぎて食べるのが辛い。ならば煮て、火を通しつつ味を薄めたらどうだろうか。
煮たらまたも丸まった。しかも水分を吸ってテラテラと怪しい光沢を放ち始めた。何これ怖い。
でもまぁ食べやすければ…と口に運ぶも、すっごく堅い。塩辛さは水に溶けたが、水を吸って活き活きしている。噛んでもボヨーン!と跳ね返される。
まるでゴム。自転車のタイヤチューブみたい。噛み切るのに全力、かみ砕くのに全力。まさかこんなに堅くなるなんて。この一枚を食べただけでアゴが痛くて仕方ない。
スルメは多方面から攻めてくる
気分転換にアイスを食べた。いやはや、噛まずにものが食べられるってすばらしい。甘いものってすばらしい。だがそれもひとときの夢、すぐに溶ける。
またイカに帰って、こういうのあったよな。と、細く切って煮た。これは噛み応えもそれほどでなく、アイスを食べた後ということで味もはっきりと感じられて美味しい。
だが、かなり満腹になってきた。食べたのはスルメ7枚、たいした量では無いが、噛んでいた時間は数時間。脳が満腹だと感じているのだろうか。これ以上は食べられそうに無いので一旦休憩。
奥の手出す
何とかお腹を減らそうとサウナに入ったり公園で遊んで帰ってきたのは17時半。だいぶお腹もこなれてきた。だが同時に時間も残り少なくなってきている。これは奥の手を出すしかない。
その奥の手が、三日前から水で戻したスルメだ!どうかなと半信半疑で水に漬けていた自分もビックリの戻り具合。これはいけるぞ。
料理にすれば結構いける
さてこの戻したスルメをどうするか。もちろん出汁も使いきらなければ食べきったとは言えないだろう。
出汁を使ってご飯と大根を炊いた。これがまた良い出汁出てるようで、炊いてる時からものすごく良い匂いが立ちこめた。
もちろん身も食べる。炊き込みご飯にはみじん切りにして混ぜこんで、大根とも一緒に煮込んだ。そしてメインは薄くそぎ切りにした天ぷらだ。イメージとしてはイカフライ。
食べると炊き込みご飯や大根は出汁がしっかりしていて美味い。天ぷらはイカフライのようにはならなかったが、水で戻した際に抜けた旨味を油が補って、プリッとした食感と相まって美味い。
こうやって食べるとイカの堅さも気にならずあっさりと食べる事が出来た。
後はただ食べるだけ
結構いけたな。と思ったがまだ食べたのは12枚。イカ以外も食べたのでかなりお腹がふくれてしまった。もうこうなったらただひたすら食べるだけだ。
さっきのを食べた限り、戻したイカの方がやっぱり食べやすかった。ならばと戻したイカを焼いてみたらばこれが当たり!プリッとした食感で一夜干しのようで美味しい。
それでもやはりアゴは痛く、お腹もふくれてくる。
こうなったら仕方ない、ついに出した。いよいよ、ビールだ。アルコールの食欲増進効果やイカとの相性を考えての最後の手段。
が、あまり効果なし。すでに満腹になっているためか酔いも回らず何故かそんなに美味しいと感じなかった。それ以上にマヨネーズが美味い。久しぶりに食べたが、イカにはマヨネーズだ。
ラストスパート
さぁ残るは後一時間。折角だから出来るだけ頑張りたい。
どうせならと、戻してあったスルメを全部焼いた。全部クルッと丸くなって妙な感じ。初見でイカとは分かるまい。
食べる。ひたすら食べる。驚くことにこれだけ食べても飽きることなくまだ美味しい。だがアゴが痛い。正確にはアゴよりもコメカミだ。噛むごとにギュッと締め付けられる。
美味しい、痛い。美味しい、お腹いっぱい。褒美と罰を同時に受けながら食べ進める。もうすぐ時間だ。やー、きつかった。
食べた事による絶望
アゴの痛みや満腹感に打ち勝ち、焼いた分は何とか完食!最後に10枚を食べてこの一日で力の限り食べたスルメの数は27枚!
初めは100枚とか、無謀な予想を立てたが、一番初めの一時間で2枚しか食べられなかったことを考えるとこの数字は中々良いんじゃ無いだろうか。
実際に食べた分を確かめてみると結構な量だ。駄菓子屋で置いてある箱ほぼ一箱分位。うん、やっぱり良くやったよな!と、思ったが現実を見て、青ざめた。
そうだ、僕の家には200枚以上のイカがあるんだった…必死で一日食べても10分の1くらいしか食べられなかった。スルメとは長い付き合いになりそうです。
必死で食べても全然減ってないことに絶望したが、食料の備蓄がある。と考えれば、良い事か。何とか今年中には食べきろう。
でも今はアゴが痛くて柔らかい物しか食べたくありません。