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とくべつ企画
 
おやつは3000円まで 古賀編
700円!!!!!!

おやつ3000円分、さあどうしようと考えたとき、

1.安いものを大量に買う
2.高いものを思い切って買う

という2種類ある「大人買い」のうち、どっちかを極端にやってやろうと思い立った。こんな機会めったにないのだ。派手にやりたい。

選んだのは「2.高いものを思い切って買う」。

ひと粒700円のチョコレートというものがあるという噂を聞いたことがあったのだ。

古賀及子



敵はミッドタウンにあり

そのチョコレートを扱っているのはNoKA CHOCOLATE。アメリカ・ダラス発の最高級チョコレートブランドで、日本にはミッドタウンに日本一号店がある。

って、上のブロックだけ読むとこれ何のサイトだと思うじゃないか。みんな大丈夫! ここはみんな大好きなデイリーポータルZだよ!

そもそも東京ミッドタウンという場所自体、ラグジュアリーすぎてあまり行くような場所ではない。おやつの買出しがすでに遠足になってる。


家ん中に竹が立ってる、ミッドタウン みっちり感すら高級感、ディーンアンドデルーカ

別件で行き際に100均でシャンプーハットを買って持っていた。場違い感極まりない 大柄な外国人SPにつまみだされることをおそれて写真はものすごい斜めから

すんごい小さいぞ!

お店に入ると、チョコレートの甘いかおりがした。どこか敵陣に乗り込むような気持ちでいたのが完全に腰を砕かれた形だ。ほわーんとする。

そしてショウケースを覗けばひと粒700円のチョコレートが本当にあるのだった。

小さっ!

下調べをあまりせずに勢いで店まで来てしまったので、700円のチョコレートはてっきりプラリネをチョココーティングしたような(ゴディバの詰め合わせに入ってるような)ものを想像していたのだが、それは超シンプルな粒チョコだった。

森永のダースひと粒が700円と思ってくれればいい。


これ

これが、700円するのか……。

ものの高さや高級感溢れにあふれる暗い店内のイメージとは引きかえにお店の方は大変に気さくで、いろいろと説明を聞いてみる。値段の高さの由来としては、

・最高峰のカカオ農園を限定
・職人による手作り
・世界でも最も純粋なシングルカカオのチョコレート

と、とにかくのこだわっているから、ということだった。甘い匂いに誘われてなんとなく納得してしまうから雰囲気ってすごい。

楽しみに心を決めていたことでもある。並んでいた4種類(4ヶ所の産地別のチョコレート)をひと粒づつ買った。

かわいらしい化粧箱入りだと3000円だというが、それだとチョコだけでおやつが終わってしまう。それじゃ困ると思って、箱なしでお願いした。2800円のお会計であった。

こんな豪儀な買い物をしているというのに「3000円まで」というおやつ代ルールを考慮していることに、これぞおとなの遠足だな! とワクワクしていた。


小袋に産地別のチョコレートがひと粒ずつ。ここまで絶対になくせない小袋というのもなかなか無い
紙袋は、これで500円くらいすんじゃないかと思う

残り200円でなんでも買える

ミッドタウンを後にしながら、残りは200円しかないのかー、と思った。何が買えるだろう。200円ぽっちで。

しかし、ミッドタウンから離れるにつれて夢から覚めた。そうなのだ。200円って結構あるのだ。おやつ300円時代であれば、まだまだこれからという残額じゃないか。


そういえば私はこういう価格帯の住人なのだった 飲み物もいるよなと思い、水を購入48円

口直しの水がまた安い

チョコレートを買ったとき、4種類を食べる際の口直しには「室温の真水がいいですよ」とのことだった。

で、近所のスーパーで水を探したら48円で水が売られていたのだった。安い。 700円あればこの水15本買える。

なんか一人で“ボルヴィックのお買い上げ1リットルごとにアフリカに清潔で安全な水が10リットル生まれます”みたいなことになってないかと思ったが、なってないか。


そのほか、最近好きでよく買ってるブルボンプチの「黒こしょうせん」を78円でゲット。これ安くてうまいんですよ

さあ遠足だ

結局買ったのはチョコレート4粒2800円、黒こしょうせん78円、水48円 2926円。

ひとつなんか間違いみたいな価格があるが、間違いじゃない。改めて「おお」と思うバカ高チョコレート。

そして、残額が74円もあった。まだまだ買えたなあと思うが気持ち的にはチョコレートを買った段階でもうお腹いっぱいだったのでこんなものでいいか。 バリバリの大人の余裕だ。

おやつは買った、お弁当も作った。さあ、遠足へ行こう。


近所の公園にやってきました 夕方じゃなくて、朝です

おとなの遠足は時間だって自由だ

私はどうにも朝型らしい。ここのところ、21時から22時くらいには寝て朝5時に起きるという生活にしてみたらこれがやけに気持ちいい。体に合ってるみたいです。

ということで、今回の遠足は早朝の朝ごはん遠足にしてみた。おとなの遠足は時間だって何だって、ぜんぶぜんぶ自由なのだ。どうだ、うらやましいだろう子どもたちよ。いや、子どもの頃は私も普通に朝は苦手だったな。


まずはお弁当をいただきますか。ゆるく握ったおにぎり3つと…
水筒からトン汁!

お箸わすれた

外朝弁当、いいな

前日からの雨はやんでいて空気の気持ちいい朝だ。少し風はあるが気になるほどじゃない。

あ、外で朝ごはん、いいなあ。ご飯を外で食べるとおいしいというのは常々本当だと思う。おにぎりもとん汁も、しみる。


ただ、ちょっとただよう緊張感
なぜならこれからチョコレートを食べるから!

いよいよチョコレートです

おいしかったお弁当だったが、おにぎりを1つ残した。これから例のチョコレートを食べると思うとドギドギしてしまったのだ。 うおお。心に地鳴りがするぜ。

このチョコレート、

「ワインと同様に、カカオの芳醇な香り、感触を楽しみ、風味・後味を味わっていただくため、『チョコレートの美味しい味わい方』をお客様にご提供しております」(オフィシャルホームページより)

というのがひとつの特徴になっている。

右上の写真のパンフレットに味わい方の作法が書いてあった。

和田アキ子さんが以前、「歌を歌うときは必ず立って歌え」というようなことを言っていた。座ったままでは声が出ないそうだ。歌への敬意も込めて、歌は立って歌うものだと。

なぜか思い出し、私も立った。いや、歌は歌いませんが、気持ちで立った。

深呼吸を3回したあと、食べるチョコレートの「フレーバー・プロフィール」という風味の特徴を読む、といのが作法らしい。


それから、香りを楽しみ……

口へ! ブレたが期せずして歌っているような写真に

うわあ、なんだこれ

最初に食べたのはコートジボワール産のカカオを使ったもの。 すごい。

最初は固い印象で本当に森永ダーツのダークチョコレートと代わりないような気がしたのだが、ゆるっと溶けて、後に広がる味の複雑さがはんぱじゃない。

チョコレートなのに、口の中いっぱいいっぱいにキャラメルの味が広がってお祭りになってる。ひゃあ。

夢はどれくらい続いただろう。マッチ売りの少女が1本マッチをするよりちょっとは長く続いた気はするが、口のなかのチョコはなくなってしまった。700円、終了!


20分くらいチョコの余韻を口内に探した後、せんべいを食べた

そのあともうひと粒食べてみた。今度はエクアドル産のカカオを使ったもの。

「マイルドなタバコの香りが最後まで持続する」とあった。確かに最初のものと全く違う味で、甘みの強弱じゃないところでこんなにチョコレートって個性的なのかとハッとなる体験だった。

結局、その2粒を食べたところで「ちょっと休憩させてください!」という気持ちになり、せんべいを食べた。

ばりばり思い切り食べたら気分がおさまりました。


遠足は学習の場

それにしても、700円だ。ワインのようなものといわれれば納得がいく気もするが、あまりにも別世界すぎて、食べた後の今でもちょっと実感がない。

ものすごく美味しかったしえらい体験は、確かにした。

遠足って、山とか海とか行ったけど、そういえば工場見学だったり博物館だったりということも多かった。遠足は学習の場でもあるのだと思うと、確かに700円のチョコレートはいい勉強させてらもいました、ということで良かったのかもしれないです。

なお、残りの2粒は後で家族と食べました。一人で食べるには重荷すぎますしたわ!


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