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フェティッシュの火曜日
 
スリバチ歩きのたのしみ


「スリバチの空は広い」

「東京スリバチ学会」というたのしげな学会の主催するフィールドワークに参加した。

坂道をわざと登ったり下ったりすることで、街中の地形を楽しもうという趣旨らしい。ぼくも地図を意識しながら散歩したりするのは好きなのだけど、同じ趣味の人と一緒に歩くということはあまりなかった。

東京のスリバチとは何なのか?体験レポートをお送りします。

三土たつお



フィールドワークに参加した

今回のフィールドワークの舞台は雑司が谷。集合時間の朝10時には、副都心線の雑司ヶ谷駅にたくさんの参加者が集まっていた。


地形好き大集合

迎えてくれたのは、会長の皆川さん。


皆川さん(スリバチ学会会長としてタモリ倶楽部にも出演)

皆川さんが今日の参加者に説明をしている脇には都電荒川線が走っていたのだが、この景色がすでに地形好きにはぐっとくるものだったのだ。


ムダに大きくご紹介

線路が一回ぐっと窪んで、また上り坂になっている。向こうの地面の高さはこちらと同じだ。こういうのをぼくは「行って来い坂」と呼んでいる。

この窪みは誰が削ったのか?


正解はこちら

これは、今回のスリバチ歩きの舞台の一部の地図。黄色が高台で、緑色が低地だと思ってください。さっきの都電の線路は、左側の矢印の場所と方向で眺めたもの。うっすら窪んでいるのが分かるでしょうか。

よく見るとその窪みは、地図の左側から右側に進んで、さらに下に進んでいる。実はこれ、かつての弦巻(つるまき)川という川の跡。このへんのくぼみは、弦巻川が作ったものだったのだ。

 

フィールドワークの面白さをご紹介

今回のスリバチ学会のフィールドワークは、この弦巻川を起点に、朝10時から夕方の5時まで歩きどおしで行われた。坂道を登ったり降りたりでとても疲れたけど、内容はとても楽しいものだった。

ここから、その面白さをかいつまんで紹介したいと思います。

 

1.地形のなかに暮らしていることが面白い

これは会の趣旨そのものなんだけど、街中の坂をわざとのぼったり降りたりすることで、ぼくらが否応なしに地形のなかに暮らしてるんだってことが分かって面白い。

たとえばこちら。


鬼子母神の神社

鬼子母神の神社のこの様子を見て、会長の皆川さんは「ここは岬になっていますね」とこともなげにいう。

よく見ると、確かに両脇の低い道に挟まれて、神社の入り口が岬のように浮いているのが分かると思う。でも、「岬」って海の地形じゃん!

そうか、ふだんから地形を意識して街を歩いているとこれが岬に見えるんだな、と感動した。ちゃんと見る目があれば、たとえば新宿駅前が入り江に見えたり、上野駅前が渚に見えたりするのかもしれない(この2つは適当ですよ)。


進む先に道がない

つぎはこちら。みんなが道を歩いているんだけど、その先の地面がスパッ!となくなってる。なんだこりゃ?


目白の富士見坂

そう、その先はこんなふうに猛烈な下り坂になっていたのだ。

ここは富士見坂といって、都内でも有数の急坂のひとつ。下っていった向こうには神田川がある。こんな急な斜面を、南こうせつの歌う神田川が削り出したのかと思うと、その歌とのスケールのギャップに驚いてしまう。


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