なぜ敷かれているのか

いまこの時点で「はいはいはい、あれね」という方も多いと思う。
僕があのスパゲッティについて話そうとすると、多くの人がそういう反応をする。
みんな目にしているけど、特に気にせず食べていることが多い、あのスパゲッティ。
僕はこれを「敷スパゲッティ」と呼んでいる。
あの敷スパゲッティは、いったいなんのために、どうしておかずの下に敷かれているのだろうか。

たぶんそもそもは、レストランでハンバーグなんかの付け合わせについてくる、炒めたナポリタン的な存在だったのが、コンビニ弁当に導入されたあたりから、なんだかスパゲッティ本来の立ち位置からずれて、一人歩きを始めてしまったのではないか、と推測する。

のり弁にスパゲッティ

みなさんは日々の食事で、天ぷらとスパゲッティを一緒に食べることがあるだろうか。
ちくわの磯辺揚げとナポリタンという食べ合わせは許し得るだろうか。
一般的には考えられない組み合わせである。
女子大生風にいうと「しんじられない〜」といったところか。
しかし、コンビニ弁当ではごく普通の組み合わせなのだ。

コロッケとか、ウインナーくらいまではわかるが、このビッグのり弁当にはちくわの磯辺揚げや野菜のかき揚げが入っている。
しかし当たり前のようにスパゲッティーが入っているのだ。
このスパゲッティはナポリタン風の、ケチャップ味が施されているので、百歩譲って、ご飯のおかずという立場を与えても良かろう。
しかし、おかずではない敷スパゲッティも多く存在する。

素のスパゲッティ

この「チキンねぎ香味焼き弁当」にも敷スパゲッティがあった。
しかもこちらは、先ほどのナポリタンとは違い、ただしょう油かなにかをベースにした調味料とあえているだけである。

僕は最初、これはごく当たり前の推論だと思うが「水増し・上げ底」のために敷スパゲッティは存在するのだと思った。
おかずがボリュームたっぷりに見えるように、スパゲッティを下に敷いて、上げ底をしているのだと。
しかし、スパゲッティを取り除いてみても、それほど見た目の量は変わらない。
むしろ、スパゲッティがない方が、おかずが引き立って見えるのでおいしそうだ。

油を吸うためか

次に考えたのが、おかずから出る油や汁気を、この敷スパゲッティが吸う役割を任されているのではないか、という推察だ。

確かにコンビニのお弁当には揚げ物などの油ものが多い。
そういうおかずの下に敷スパゲッティがあるところも目にする。
水増し・上げ底じゃないとすると、その線が濃厚か。

油がないところにも

答えが見つかったようにも見えた敷スパゲッティだが、油ものじゃないおかずの下にも敷かれているケースもある。
それがこの「お得幕の内」だ。

この幕の内弁当では、焼き魚の下に敷スパゲッティが陣取っている。
もし油を吸うもくてきならば、となりのエビフライの下に敷けばいいのではないだろうか。

それに、先ほどの唐揚げでもチキン香味焼きでも、スパゲッティがそれほど油を吸っているという感じではなかった。

謎は残る

敷スパゲッティに秘められた役割は何なのか、是非知りたいと、お弁当に記載されている電話番号に問い合わせたところ、「そういうことはわかりませんねー。もういいですか？」という返答だった。
ともかく、なぜかそこにある敷スパゲッティ。
今後も注目していきたいと思う。