玄武洞、凄いぞ

急な階段を登って玄武洞へ到着した。そこに広がっている光景は想像以上のものだった。

なんじゃこりゃ。六角形の石が連なって異様な造型を形作る。これが自然に出来たとはとても思えず、中から何か出てきそうで怖い。 ゲームなら最後のボスがいるところだ。

すげーすげーと喜んでいたら「ははー、凄いでしょう！」と嬉しそうに話しかけられた。 ここの案内をしてる方のようだ。

僕「ホントに凄いですね！なんですかこれは」

おばちゃん「これはね、160万年前の火山の噴火で出来たもので世界で初めて地球の磁性が逆転したことが確認された場所です。1931年に少し上にある青龍洞とともに天然記念物にされてるのよ。不思議な形をしているでしょう、なぜならマグマは高温だと対流するでしょ？それが冷えて…うんぬんかんぬん…」

どうしようこれ、止まらない。磁性…？対流…？これマグマなの？

地質情報が一気に僕を飲み込む。面白そうだけどよく理解できない。

おばちゃん「あーら、難しい顔しちゃって、興味ないのね。」

違う！興味はある。お腹は空いているけど、僕は地学じゃ赤ちゃんなんだ。美味しくてもいきなりスルメは食べられない。美味しいものよりもまずは離乳食を、食べやすいものを食べさせて下さい。

僕「興味あるけど分からなくって。えーっと、磁性ってなんですか？」

おばちゃん「磁性っていうのは、磁石のS極とN極があるでしょ？それがこの玄武岩や他のものにもあるんだけどそれが地球の磁場に影響されてうんぬんかんぬん…」

また出た。玄武岩、磁場ってなんぞ。分からない言葉を知るためには分からない言葉を知らなければならないエンドレスループ。説明してるのに僕を置き去りにするおばちゃんがパワフルすぎる。

それでも分からないところを何度も聞いて分かったことは
（間違ってるところがあるかもしれません）

• 昔は採石場だった。この石売ると高い。
• 溶岩が冷えて固まる時に全部六角形になった。
• 溶岩全部がこうなるわけじゃなくて粘度によって変わる。
• 固まる際そのときの地球のS極N極によって溶岩の中の磁石的なものも固定されるけれどそれが今とは逆だった。
• つまり昔は地球のS極N極が今とは逆だった（定期的に変わるらしい）。
  それが世界で初めて発見されたのがここ、玄武洞！ 

おばちゃん「だからここは普通とは違う磁性が渦巻いている場所、パワーが集まる、パワースポットなのよ！！」 

最近パワースポットとよく耳にし、流行ってんの？ハッ。と鼻で笑っていたがこのパワー（おばちゃんの）を目の当たりにすると信じざるをえない。

やっとおばちゃんの勢いもおさまり、ホッとしていたら目の前をカップルが通り、玄武洞をチラ見しただけで帰ろうとしていた。

おばちゃん「もー、何考えてるのー！ここまで来たんだからちゃんと見ていかなきゃダメじゃない！あなたたーち、おばかさーん！！」

いや、いきなりバカ扱いは…と思ったらカップルはしぶしぶ従い再度見に行った。その後またおばちゃんの話を聞いていたらあのカップルが帰ってきた。

カップル「ホントに凄かったです！あの時帰らなくて良かった。ありがとうございます！」

おぉ！なんだその態度。改心したヤンキーか。

おばちゃん「でしょー！分かれば良いのよー」

伝道師！パワースポットの伝道師やー。

僕も早くパワーを得たい。おばちゃんに感謝を伝えパワースポットへ向かう。

おばちゃん「あぁ、ちょっと待って」 

なんだろうと立ち止まって振り返ると。

おばちゃん「パワースポット！！（アタック25のアタックチャンスの言い方と振り付けで）」

その後玄武洞を見ましたが、でっかくて変な形で凄いなと思いました。