携帯電話にデコレーションしたものを「デコ電」と言う。
ラインストーンなどをちりばめたオシャレアイテムの一つだ。電車に乗っているとたまにデコ電を使っている女性を目にする。
ちなみに、トラックにデコレーションしたものを「デコトラ」と言い、メールをデコレーションしたものを「デコメ」と言う。
となると、額にデコレーションしたら「デコデコ」になるではないか。
といことで「デコデコ」を作ってみようと思う。
(地主 恵亮)
額(デコ)の有効活用
先に書いたように携帯電話にデコレーションしたものを「デコ電」と言う。そして、今回僕が作るのは額(デコ)にデコレーションした「デコデコ」だ。僕は額が広く、何か有効活用をする方法はないかと模索していた時に、この「デコデコ」を思いついたのだ。
早速「デコデコ」を作ろうとデコ電について調べてみるとなかなか難しい。デザインはとてもオシャレだったりとバラエティに富んでいるし、作業も細かく不器用な僕にはとても大変そうだった。
デザインや細かな作業を苦手とする僕は「デコデコ」を一時はやめようと思ったが、部屋を掃除している時に、大学の卒業証書が出てきた。卒業証書とは大学を卒業したことを示すものだ。そこで改めて自分が美大卒なこと認識した。僕は美大に通っていたのだ。だったら、デコデコくらいできるはずだと思い直し、作業に取り掛かることにした。
買出しに行こう!
デコ電のデコの多くはラインストーンが使われている。ラインストーンとはガラスやプラスチックで作られたキラキラと綺麗なものだ。調べたら模造ダイヤの一種だそうだ。そりゃ、綺麗なはずだ。
僕のイメージではデコ電はピンク系が多いような気がしたので、ピンクを中心としたラインストーンをいくつか購入した。 次の問題はこれをどうやって額に貼りつけるかだ。普通のデコ電なら接着剤なら何でもよさそうだが、今回は額だ。取れなくなるとか、異様に痒くなるとかはぜひとも避けたい。
工作を苦手とする僕は今まで接着剤を選んで買うようなことは無く、何でも基本的に瞬間接着剤で済ませてきた。しかし、今回は工作素人の僕でも額に瞬間接着剤ではまずいことは分かる。そこで、ハンズの店員さんに相談することにした。
店員さんに「おでこにラインストーンをくっつけたいんですけど、どの接着剤がいいですかね?」と素直に聞いた。店員さんは長いこと調べてくれ、その結果、「基本的に肌に付けることを推奨する接着剤はありませんが、これならいいんじゃないでしょうか」とひとつの接着剤を選んでくれた。ハンズは素晴らしい。
デコのデコレーションを開始
買ってきたラインストーンをテーブルに広げどんなデザインにしようかと考える。ここで美大卒である僕のキャリアが活かされるはずだ。漫画「ハチミツとクローバー」のモデルとなった美大に僕は通っていたのだから。
せっかく「(お)デコにデコ(レーション)する」と言うことで「デコデコ」なので、もう一個デコを増やすべく、デコにデコとデコすることにした。要するにデコという文字を額にデコレーションするということだ。
デコに貼り付ける
先に載せた完成予想図は1時間近く悩んだものだ。これ以上は無いだろうとあきらめラインストーンを額に貼り付けていく作業に移った。期待と不安でいっぱいだ。
鏡と睨めっこしながら作業を進める。日頃鏡を見ない僕はこんなにもまじまじと自分の顔を見たのは随分と久しぶりだった。また、鏡は壊れておりそれ単体では自立しないので、ハブ酒の瓶に立てかけて作業を行った。本来のデコ電を作っているだろう、うら若き娘とは対極に位置する作業スタイルだ。
不器用なためラインストーンを額に貼っていくのが難しい。また眉間に皺ができるとラインストーンがポロリと落ちてきてしまう。嬉しくないポロリだ。そのため、作業中は終始無表情。 もっとも一人で作業しているので表情が変わるようなことはそうなく、一人もたまにはいいことがあるのだと気が付いた。
ラストスパート
デコにデコという文字ができた時点で、やっぱりな…という三点リーダーがつくような完成予想図が脳内に浮かんで急に恥かしくなって美大の卒業証書を片付けた。オレの4年間はなんだったのだ、と考えても仕方が無いので作業を進める。
「デコ」の文字の周りをピンクのラインストーンで囲み、さらに隙間を薄いピンクのラインストーンで埋めていく。実はなかなか楽しくもあるのだ。完成することが少し悲しくも感じるくらいだ。小学校の図工の時間を思い出す。
ブルーを入れる
薄いピンクのラインストーンで隙間を埋めたら「デコ」の文字が目立たなくなってしまった。そこで、ブルーのラインストーンをデコの文字を作ったラインストーンの上にさらに貼り付けた。 これで完成だ。
「デコにデコとデコ」が完成した。「デコデコデコ」だ。3つもデコが並んでいる。圧巻! クオリティの問題は置いといて、僕としてはなかなか満足の行く「デコにデコとデコ」だった。あまりに嬉しくてそのまま寝ると、次の日の朝、ラインストーンがはがれて枕元がキラキラとしていた。そして、ラインストーンにも負けないキラキラの一日が始まるのだった。
デコレーションは楽しい!
デコにデコとデコは結局はダジャレなのだけれど、とても楽しかった。 完成した直後に知人から電話がかかってきて、「何してた?」と聞かれたので、「デコにデコとデコしてた」と言うと、あまりパッとしない「へぇ〜」と言う答えが返ってきた。いや、やってみると結構楽しいのだよ、とラインストーンがはがれるので無表情で熱く話をした。
ちなみに、ラインストーンをはずした後も額に別段変化はなく、ハンズの店員さんがススメてくれた接着剤と僕の皮膚の相性は抜群によかったようだ。