大きな声でいうのも恥ずかしいのだが、ひげが濃い。朝剃っても夕方うっすらスカイブルーである。剃り忘れた日などは、やんわり泥棒である。 この役にも立たない無精ひげであるが、触るたびに、「こんだけジョリジョリなら、紙やすりの代わりくらいにはなるんじゃないか」あるいは「大根くらいおろせるんじゃないか」と思いつづけてきた。うん、そうだ。ほんとにそうであれば、このひげの濃さも暮らしに役立つということになるじゃないか。
(櫻田 智也)
紙やすりVSひげ
これをおもいついたのは、もう1年以上前のことだ。だが、企画を相談する場でなかなか言いだすことができず、実現に至っていなかった。 なぜ言いだせなかったのか。あんまりバカバカしいと自分でもわかっていたからだ。
ひげ面の様子を写すつもりが意図不明な感じになってすみません。 さて、幼かった頃、父親にひげ面をこすりつけられて「皮むける!」とおもったあの感触。あれだけジョリジョリなら、紙やすりの代わりくらい余裕で務められそうではないか。 とりあえず最初の対戦相手、紙やすりを買いにでかけた。
数字が大きいほど目が細かいらしい。 袋の一部が開いていて、目の粗さを手触りで確認できるようになっていた。
80とひげとを比べてみる。
どうやらぼくの無精ひげはもう少し粗い。
かなり目の粗い40、これはどうだ。
無精ひげを確認したところ、40だった。というわけで#40の紙やすりを1枚買って帰った。
木を滑らかに
紙やすりといえば、小学校の木工の際によくつかった。
割り箸のどこをやすりでこするのかといえば、
ササクレだった箸の割れ面。ここを無精ひげでこすって滑らかにしてみようとおもう。
さすが紙やすり。あっというまに滑らかだ。果たしてぼくの無精ひげはこれにどこまで近づけるのか。
さあ、ぼくの#40の出番である。
ショリショリと優しい音をたてて割り箸を研磨するヒゲやすり(#40)。
本を磨く
木のササクレを擦るのはどうやら危険なので、もう少し柔らかいものを磨くことにした。