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はっけんの水曜日
 
縄文人はマックユーザー

縄文人もインターネットをやる




おっちゃんが縄文人の生活をしていた頃の様子を収めた膨大な量の写真をはじめ、おっちゃん自作のハニワ、石器、曲玉、縄文式土器などが所狭しと展示されている館内ですが、その中で明らかに縄文時代と関係のないものが……。

パ、パソコン!? しかもマッキントッシュ! アップルマークがまだカラフルだった時代のPowerMacですね。コレ、どうしたんですか?

「縄文人やってる頃、慶応大学の学生さんが来て『縄文人のネット(多分サイトのこと)を作りたい』って言うんだ。ボク、よく分からなかったんだけど『縄文時代の生活を世界に広めましょう』って言われて、まあいいかなって。そしたらアップルコンピューターがコレくれたの」


慶応大学の学生が作っていた縄文人のサイト。こんなんあったんですね(現在は閉鎖)

--このパソコン、ちゃんと使ってたんですか?

「使ってたよ。縄文人のネットだけじゃなくて、他のところも見たりして。でも細かいことは分からないから、動かなくなったらコンセント抜いちゃうの(笑)。だからもう壊れちゃったかな」

縄文人がパソコンを使っていたとは……。というか、縄文生活のコンセプトから完全にズレちゃってないですか、それ。まあ「分からなくなったらとりあえずコンセント抜いちゃう」という大ざっぱさは縄文人っぽいといえば縄文人っぽいですが。


縄文人 with PowerMac。マッキントッシュ=おしゃれ……みたいなイメージを根底から覆してしまう衝撃的な一枚です

さらには携帯電話らしきものを持った写真まで……意外とハイテク好きな縄文人

おじいちゃん、もっとテレビに出てね

サイトをはじめたこともあり、おっちゃんの元には様々なメディアから取材依頼が殺到するようになったそうです。そりゃあ、こんなことをやってる人がいたら放っておく手はないですよね。ボクもこの当時知ってたら絶対に取材に行ってましたよ。

一時は雑誌や新聞、テレビ、さらには海外メディアからも引っ張りダコだったとか。確かに館内にも沢山の掲載誌や有名人との写真が飾られていました。


縄文人と桂三枝。三枝さん、若いなぁ! ガチャピン、ムックと縄文人。すごい画……

縄文人と西川きよし。きよしさんが参議院選に出馬した時には、なんと縄文人の格好で応援演説に行ったんだとか

「縄文人をやってても息子たちはあんまり興味持ってくれなかったんだけど、ボクがテレビに出ると孫たちは大喜びしてな。『おじいちゃん、もっとテレビに出てね』なんて手紙までくれてさぁ……」


いつも愉快な元・縄文人も、孫の話をする時にはおじいちゃんの顔に

あ、ああ……。今回の取材、テレビじゃなくって本当にスミマセンね。

でも縄文人なんて変テコなことをやってたら、家族的に「おじいちゃんはもういない」とかいう設定にされちゃって、ものすごく冷たく扱われてたとしてもおかしくないと思いますが、おっちゃんがちゃーんとお孫さんから好かれててよかったですよ(奥さんは依然、冷ややかみたいですが)。

そんなお孫さんのために(?)テレビじゃなくて申し訳ないんですが、せっかくなので動画も撮らせてもらいました。



おっちゃん自作の「縄文太鼓」(縄文時代に太鼓があったかどうかは知りません)を打ち鳴らす! 魂の縄文ビートを聴け!



縄文時代といったらやはりコレも……。木をすりあわせての火おこし。20年間縄文生活を送ってきた男の巧みの技を見よ!

 

次は弥生人だ!


--そんな感じで20年間もつづけてきた縄文生活ですけど、どうしてやめてしまったんですか。

「縄文人の寿命はおそらく20年くらいだったんじゃないかっていわれてるからさ、そろそろいいかなって。それに20年もやってると、縄文人の生活のパターンっていうのも大体分かったんで」

……ということではじめた時と同じく、突然に引退を決意し、床屋に行って断髪をしたそうです。さすがのおっちゃんも、この時ばかりはグッと来て涙を流してしまったんだとか。

さて、縄文生活を終えて5年。今年で80才となるおっちゃんですが、まだまだやりたいことがあるそうです。

「今、縄文生活をする中で編み出した健康法の研究をやってるんだけど、それが一段落したら今度は弥生人の生活をやりたいな。弥生時代って日本の農耕文化のはじまりだから面白いと思うよ〜」

ななな、なんと今度は弥生人!? なんちゅうバイタリティー……。はじめる時には是非連絡下さい! また取材しに行きます!


弥生生活に向けて、早くも古代の農機具を用意してあるそうです

数千年先を見ている縄文人

正直、訪ねていくまでは相当な奇人・変人だろうと予想していたんですが、実際会ってみたら……まあ奇人・変人なのは間違いないですが、それだけに留まらない熱い想いとバイタリティを持ったステキなおっちゃんでした。

「最近ボクね、自分で作った土器やハニワを庭に埋めてんの。ボクが死んでこの建物も潰れて、何百年も何千年も経ったあとに、未来の人がこの辺を掘り返したらビックリすると思うよ。『なんでこんなところに縄文式土器が!?』って。そうやって平成の時代にも縄文人がいたんだって事を先の世にまで伝えたいんだよね」

うーん、数千年先のことまで考えて暮らしているなんて……なにからなにまでハンパないおっちゃんだ!

お土産に持たせてくれたハニワ……ものすごく重かったです

●縄文博物館
三重県津市一志町井関356
【電話】059-293-5475
【営業時間】随時、要予約(5名以上来館で館長説明可能)


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