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ひらめきの月曜日
 
一杯のご飯、食べるならおじやか押し寿司か
増えるのと、減るの、どっち?!

お米のあの増減ぶりというのは、あれは一体どうしたことだろう。

お寿司にすれば小さくなるが、おじやにすればどんどん増える。

私が普段食べている1杯のご飯も、調理法によって自在量を変えられるのだ。しかも、増えても減ってもご飯はおいしい。

もう一度、1杯のご飯の量というものに真正面から向き合ってみたいと思う。

(text by 古賀及子



パンにも麺にもない特徴

しつこいようだが、ご飯は増えたり減ったりがすごい。はっきりいってこれは特殊能力だ。

パンもオニオングラタンスープやパングラタンなどで ふやかして食べたりするが、あれはごくまれなことだろう。机の中で給食のパンがぺっちゃんこになるのは単なる事故だ。

麺に関しては、のびたてふやけた麺が大好きだ(記事「ふやけ麺を堪能する」より)という考え方もあって私も実は賛同しているが、あくまれこれはイレギュラーだと思う。基本は普通にゆでて、食べる。以上。

パンにも麺にもない増減という状態変化。ここに、ご飯の底知れない力を感じるのだ。


これを目の前に、増やしたり減らしたりして食べようとは思うまい 伸びた麺というのは一般的にはNGですよね

おじやと押し寿司を戦わせる

今回は、特に「おじや」と「押し寿司」に着目して増と減を実感していきたい。

どちらもスタートは炊けたご飯。なのに、結果の形態はまったく違ったことになってる。1杯のご飯での増減を比べるのには最適だと思ったのだ。

ちなみに、おじやは米から作るレシピも多くみかけますが今回はご飯から作ることを前提に進めますよ。


運命が分かれる直前のご飯たち(各180グラム)

製法の違いがまたあからさま

おじやと押し寿司を同時に作るというのは、調理師さんにでもならない限り、一生やらないかもしれない。

作ってみて改めて気づいたのは製法のあからさまな違いだ。同じご飯を扱うのに、方やぐつぐつ煮、方やぎゅうぎゅう押す。

煮るなり焼くなりしてくれ! という文句があるが、ご飯は日々煮るなり押すなりされているのだ。頭が下がる(そして頭を下げたついでに、炊けたご飯を食べる)。


1杯のご飯に1カップ強のお湯で軽く煮て蒸らしたのが今回作ったおじや ご飯が増えた! ということを実感するため、じっくり蒸らして水を吸わせた

一方そのころ押し寿司は 専用の型の代わりにラップとボール紙と牛乳パックを使った

スプーンでまずはきゅっと詰める。すでにかなりかさは減った ラップを敷いて、上からボール紙の枠を入れて

重石を乗せる。今回は500mlのビール(第3の)で代用。なんだこの状況は 同じご飯がたどる、まったく違う運命(そして我が家のミニ土鍋には蓋がない)

ごらんのとおり、今回は両者とも純粋に「ご飯」だけで作った。

おじやに卵やだし汁を使うこともなく、押し寿司も具なしで酢飯ではなくご飯。

そもそもそれって押し寿司なのかという話はおいといて(例のジェスチャー)、どちらもただただご飯の量を変えるために調理法だけをおじやと押し寿司に借りたという感覚だろうか。

これで、おんなじご飯がこれだけ増減するというのが分かりやすく目べきできると思ったのだ。

増えた! 減った! のか


おかゆと豆腐の定食ではない

上の写真が調理後の1杯のご飯たちだ。

なんというか、言葉が出ない。

おじやについては、水吸ったなーと。押し寿司については、押されたなーと。

その思いが声にならないままただ胸にうずまく。

量の大小が分かりやすいように、お皿に出してみた。


量が増減した! という感動よりも、何かぼんやりと見つめていた

どちらも「ご飯」から作ったものではあるが、出来上がったものがまったく違う食べ物なので、結果的に「増えた」「減った」という感動にはどうも結びつかなかった。

ただ、あの1杯のご飯がこうも形状を変えるのかという感心のようなものは、個々を見るにつけて沸いてきた。

比べるというよりも、それぞれがご飯としてすごい。


多すぎて元のお茶碗に戻らない! おじやすごーい 固形化して包丁でスパッと切れた。押し寿司もすごーい

腹持ちに影響するんだろうか

両者の形状としての変貌は分かったのだが、あまり「同じご飯なのに、こんなに違う!」という実感は得られなかったのが実際のところ。

と思って、実は腹持ち比べの実験を仕込んでおいたのだ。

両者をかたくなに「ご飯」以外何も使わずに(おじやには水を加えているが)作ったのには、公平に腹持ちを調べようという思いもあった。

同じ1杯のご飯ながらも、こうも体積の違う両者。本来だったら、同じ時間に食べたら同じ時間にお腹がすくはず。でも、量が違う。腹持ちの加減はどうだろう。

作り比べの前日、先におじやを食べてみた。


1日目 午前6:30
180グラムのご飯で作ったおじやを食べる

腹持ち結果と、おすもうさんのすごいお弁当体験 >
 

 
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