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はっけんの水曜日
 
流氷の町・紋別の人たちは氷を活用する

氷像を作るのは難しそうだ


さて翌日、「氷柱ガマン抱きつき大会」に出場するために「もんべつ流氷まつり」の会場にやって来たのですが、大会以外にも見所が沢山ありました。たとえば、


こーんな感じで、地元の人たちが作った氷像がたくさん展示されています。「さっぽろ雪祭り」の雪像はテレビなどでよく目にしますが、氷像はまた雪像とは違った味がありますね。


まず透明だし、雪よりも硬いからなのか造型が全体的に大雑把。なので結構想像力を働かせないとなんなのか分からないのです。

ちなみにこの作品には「手塚ワールド」というタイトルがつけられているのですが……。おそらく、左から『三つ目がとおる』の写楽、お茶の水博士、東京タワー(?)、アトムってところでしょうか。後ろに見えるのは例のクマでしょうね。


これは……!? 見た目からは全然分かりませんが、作品タイトルの「願いをみっつ言え!」から連想するに……『ドラゴンボール』に登場する神龍(シェンロン)でしょ! しかも「願いをみっつ」ということでナメック星の神龍(ナメック星での名前は「ポルンガ」でしたね)。


つづいてこちらも難しい、見た感じ最初は『ガンダム』のザクかなにかかな、と思ってたんですがタイトルが「アルフォンス・エルリック」とのこと。ああー『鋼の錬金術師』に出てくるあの鎧の人!?

やっぱり氷像は、最初四角い状態の氷を積み上げてから削っていくので、なかなか思った通りの形にするのは難しそうです。


そういう意味では、この「しょくぱんマン」なんかは氷の四角さを上手く利用していてよく出来ていると思います。

「スポンジボブ」も上手いですよね。やっぱりもともと四角に近い題材の方が作りやすいんでしょう。


氷の四角い形を生かした作品といえばコレ「アイスチェアー」……そのまんまじゃねーか! という感じもしなくもないですが。


こちらは今年の干支・寅ですね。やっぱり、透明な氷だけで作るんじゃなくて、塗料で色もつけたほうが分かりやすいですね。


コレはちょっと塗料が溶けちゃって、人か何かを食ったみたいになってますけど。


こちらは大作! キムタク主演で実写映画化される『宇宙戦艦ヤマト』ですね。艦橋や砲台など細かいところまでよくできてます!

こういうのを見てると、自分でも作ってみたくなりますよね……。なんて思っていたら。


氷を削っていた地元のおっちゃんが誘ってくれました。


……ということで、氷像じゃなくてキャンドルを入れる氷の容器を作っていたようなんですが、ちょっと手伝わせてもらえることに。

氷って堅いイメージがあるので、ノミをガンガン打ち付けて削っているのかな? と思っていたんですが、手の力だけで思いの外簡単にショリショリと削れていくんですよ。


「おおっ、気持ちいくらい簡単に削れますね!」


ショリショリショリショリ……なんとも気持ちいい手応え。

これだったら氷像とかも簡単に作れるんじゃ!? とか思いましたが、氷像の難しさは、削るのが難しいというよりは「削り過ぎちゃった時の修正がきかない」ことなんだそうです。

確かに、雪像だったら後からでも雪を足せますけど、氷だとそうはいかないですもんね。そう考えると、地元の一般の人たちがあれだけの氷像を作れるっていうのはすごいなぁ。


なんでもかんでも氷!


氷像以外でも、紋別の人たちは氷を上手く活用していて、色んなところに氷が使われていました。


たとえば、この看板を立てておくための土台。


謎のクリオネ顔ハメの土台。


灰皿の下の台。


これはなにかなー? と思ったら……


配電盤を隠しておくケースにまで氷が利用されていました!

東京に住んでいると、氷ってすぐ溶けちゃう物っていうイメージがありますが、北海道だと外に置いておけば冬の間は凍ったままなのでこうやって活用しようと思うんでしょうね。

比較的加工もしやすく、必要なくなっても放置しておけば春には溶けてなくなっちゃうという氷の特徴も、おまつりのために一時的に利用する物を作るのには便利そうです。


その他にも、かまくらが氷で作られていたり。


おまつりの会場内にある炭焼レストランなんかは、レストラン自体が氷で出来ていました!


さすがに天井は木でしたが、周りの壁は全て氷! だから外光が入ってきてやたらと明るいのです。


さすがに氷の建物の中で火を使ってると、水滴がポタポタ落ちてきてましたが……。

あんまり水滴が落ちてくるもんで「この建物、溶けて崩れ落ちないのかな……」とちょっと心配でしたが。多少溶けてもまたすぐに凍って固まるから大丈夫みたいです。


ボクも林さんも、こういう野性味あふれる料理は全然苦手なのですぐ焦がしちゃってました。サバイバルな状況に陥ったら絶対生きていけないな……


さて、ご飯も食べたし帰りましょうかね……と外に出てみると。


ボクらがこんな感じでしがみついて激闘を繰り広げていた氷柱が……。


ああーっ、折れてるー!

まあ正確には折れてるというか、切り倒してたんですが。大会が終わったら、子供が勝手にしがみついたりすると危ないのですぐに切り倒しちゃうそうです。

なんか、あんなに一生懸命しがみついていた物がポッキリ折れてるとちょっと寂しいものがありますね……。などと思っていたら。


……と、またもやお誘いが!

この辺の人たちってやたらとフレンドリーで、よそ者のボクらにもすぐに話しかけてくれるんですよね。いやあ、取材してる側としてはすごくやりやすいですよ。


ということで、お言葉に甘えてちょいと氷柱を持ってみることに……。

ぬおおおおおおっ! も、持てねえ! コレ重すぎ。比較的小さな塊を選んだつもりだったんですが……。

こんな重い物を積み上げて氷像や建物を作っているなんて……やっぱりスゴイ!


なんとか持ち上げたものの、今度は足の上に落としちゃいそうで、動くことも下ろすことも出来ない始末。最後にまんまと都会っ子の貧弱さを披露してしまいました。

紋別の人たちは超フレンドリーでした

都会の人は冷たい、田舎の人は優しい、とかよく言いますが、意外と地方に取材に行ってもデカいカメラを持ってウロウロしていると警戒されて、よそよそしくされちゃうことが少なくないんですよね。

その点、今回の紋別の人たちはとにかくフレンドリー。ボケーッと歩いているだけで「どっから来たの?」「なにしに来たの?」などと声をかけられるし「せっかく遠くから来たんだから」と、気軽に色んなことをさせてくれました。さらに、

「来年も取材しにきてよね!」
「氷切り競争っていうイベントもやってるから、今度はそれに挑戦したらいいよ!」
「一週間くらい前から来て氷像を作るところから取材したらいいんじゃないの?」

と、来年の取材計画まで提案してくれたりして……。いやホント、もしタイミングが合えばまた来たいです。よろしくお願いします!

余談ですが、帰りのバス停の近くに、空気で雪を吹き飛ばすマシーンを使って道路掃除をしているおっちゃんがいたんですが、なんか楽しそうだったのでダメもとで「ちょっとやらせて!」と頼んでみたら……。

やらせてくれました! ヒャッホーイ! 

フオオオオオーッと雪を吹き飛ばしていくのはすごく楽しかったです。……それにしてもホント、紋別の人ってフレンドリーだなぁ。


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