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フェティッシュの火曜日
 
缶切りを使わないで缶詰を開けてみる

石器時代は石で缶詰を開けたからおれもそうする

もしも、もしも、だ。
石器時代に缶詰があったとしたら。
そこにはノミも金槌さえもないわけでやっぱり石で缶詰を開けていたのだろうと思う。


食料を缶詰にすることにより、富が発生したのである

いや、書いていてなかなかつらいところがある。要は単純に石で開けてみたかったのですよ。あと、キャンプに缶詰持ってきたけれども単純に缶切り忘れた、というシュチュエーションの想定でもいいです。と、いうかそっちの方がいいですね。とにかく河原に移動して石を拾います。

 

すばらしい石が見つかる


「河原に来たぞ!」という写真を撮ろうとしたが、石器時代はすごい逆光だった
石をさがすのは好き

石をさがしている時に頭の中に浮かんでいたグラフ

ところが、河原はまるっこい石ばっかりだった。
これで缶を叩いてもいいのだけれども、開くのにものすごく時間がかかるだろう。

かといって、ここで缶開けに適した尖った石を探すのも、ものすごく時間がかかるに違いない。

果たしてどちらがベターなのか、悩む。そして実は、この「どっちにするか悩む」のにまた時間がかかっている。なんだか空しい。石器時代の人もこんな感傷を多分持っていたに違いない。

最終的にすごくいい石が見つかった
芝生に移動。本当に鋭利ないい石で、なんども見てしまう

やっと見つけたこの石。こんな下流の方でこれだけの鋭さを保っているなんて、まるでいい年こいて夢を追っかけてアルバイトで専門学校に行っている人のようである(本題と関係ないけれど僕もそういう境遇です)。危なっかしいようで、実は頼もしい(といいな、と自分で思っている)。それでは、始めてみたいと思います。

 

石器時代の味だ


三脚で自分撮りをしてみたら、こんなブルーな青春ぽい構図に
まだまだ先は長いことを予感させる

川べりの風はすごく冷たい。心まで、かじかむ。けどベタベタになることを見越して薄着でやる
と、そこに希望の光(やや左上の亀裂)が

単調な作業をしているので、子どもが走り回っているのを見るだけでも嬉しい。もっと走って
石にも疲労のほどがうかがえる(微妙に欠けている)

ラストスパートかけたら、スニーカーがベトベトに。夏になったらアリが僕の足跡を追いかけてくるぞ
パックリ!

と、やっているときは3時間くらいかかっているような気がしたのだが、実際にやっていたのは30分くらい。もちろんこれは「鋭利な良い石」を使用した上での時間だ。ちなみに石探しに要した時間もまた30分くらいである。実際にやってみると、石器時代が、打製石器から磨製石器に移行した理由が皮膚感覚で理解できるというものだ。


砂っぽいんだが、「石器時代の味だ!」とか思うことにしよう

缶切りの本質とは

ノミと金槌を使って8分、その辺の石を使っても30分くらいで缶詰は開けられる。ちなみに同じ物を缶切りを使って開けたら、1分30秒かかった。石器時代、19世紀、そして現代へ…という時間経過と比べてみると「すごく効率がいい!」といえるほどの物ではないと僕は思う。

では人々はなぜ缶切りを使うのか?ここまでやってきた僕ならわかる。「手をベトベトにさせないため」だ。

果物の缶詰3つ開けたんで、しばらくの間おやつはみつ豆


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