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土曜ワイド工場
 
うまいサバ缶の見分け方教えます

いきなり不安になる

食べ比べをする前に軽い気持ちで「みなさん、水の味とかってわかりますか」と聞いてみたのだが

「・・・」

いきなり全員が黙ってしまった。不安だ。唯一写真家中川さんだけは「僕は味にはかなりうるさいほうだと思っている」と頼もしいことを言ってくれた。期待大。

店長も「はずしたらやばい」といいながら厳しい目を向けていた。


店長、大丈夫ですか?


今回用意した缶詰は以下の通り。最初に種明かしをすると製造月はこんな感じだ。これはもちろん食べる前には誰も知らない。

サバは10月から2月あたりが一般的に旬とよばれ、脂が乗っていてうまいのだという。ならば缶詰もやはりその時期に作った物がうまいのだろうか。実際に食べ比べてみてどの月のサバ缶がうまいか、検証する。


この時点では僕も答えを知りませんでした。

缶詰にはやはりビールを頼みたかったのだが、舌が鈍るといけないので水にした(※)。僕たちの本気度もなかなかのものだ。

※ここは飲食店なので水だけもらって缶詰を持ち込むのは通常はよくないです。僕たちもこの後ちゃんとハンバーガーも注文させていただきました。


ふたを開けて早々に熱い議論が交わされる。お願いしなくても真剣にやってくれる友達は貴重だ。

厳正な審査、始まる

「まず見た目からして違いが明らかですよね」

緊張を破ったのは写真家中川さんだ。

「ほら、これとこれは明らかに色が白いし、そもそも模様がくっきりしている」と。

さすがは計算しつくした緻密な写真をモットーとする中川さん。旬の時期1月のサバを指してこれが怪しい、と指摘する選球眼には恐れ入る。


「これが一番いい模様しています(1月のサバ缶)」中川。

見た目に加え、一通り食べてもらい1番から6番までうまかった順に並べてもらう。

「どれがうまい、とは言い切れないんだけど、確かに味はそれぞれ違うね!これ、ほんとに同じ缶詰?」

写真家森さんは言う。

僕も答えを見ないようにして参加したのだが、確かに違うのだ。ちなみに僕も水はどれも一緒に思える。そんな鈍感舌でもわかる違いが、月別の缶詰にはある。

しかし一巡目に食べたサバと二巡目に食べたサバの味もまた違って感じるので難しい。料理人佐藤さんは「食べる度に水で口をリセットした方がいいです」と言っていた。


少しずつ食べてうまい順に順位を決めてもらいます。
付箋に書いた番号が行きかうテーブルはさながら賭博場(実際はサバ缶食べ比べ)。

「・・ちょっと待って下さい、皮を食べると味がわかりますよ。例えばこれ、これは旬のカドのたちかただと思います。」

自信満々に中川さんは言う。皮を食べる方法にシフトしたようだ。しかしこれは左から2番目、つまり4月のサバ。残念ながら製造時期的には旬とはいいにくい位置といえる。


裏からも見る中川さん。

4巡くらいした後の様子。徐々にわからなくなってきている。

このあとも「うまい」「脂」「舌触り」などの単語が乱舞した試食会場だが、各々徐々に順位が固まってきたようだ。

このあたりでファイナルアンサーとし、各缶詰の生産月を発表した。


結果発表。神妙な表情の写真家。
実際の製造月とうまい順につけてもらった順位。

なんと示し合わせたかのように8月のサバ缶が6位、10月のサバ缶が5位(示し合わせていない)だった。全員の意見が一致している。

そのくらいわかりやすく、この二つは他に比べて(いまいち)だったのだ。なんというか、舌触りがざらついているというか、脂が乗っていない感じがした。

問題は1位だ。中川さんと安藤は5月のサバを、森さんは4月のサバを1位としている。みな完全に春のサバを選んだ。対して佐藤さんは11月のサバをしとめた。さすが店長、うまいと言われる秋のサバを見抜いた(2位、3位は春のだけどな)。


予想していた月とまったく違って驚きを隠せない。

旬の時期のがうまいとは限らないのだ

食べる前の予想では、やはり脂の乗った秋から冬にかけて作られた缶詰がうまいのではないかと思っていた。しかし結果はというと、一概に秋冬のサバ缶がうまいとはいえない順位をつけた。

メーカーや魚の種類、それに食べる人の味覚によってもいろいろ変わってくるとは思うが、缶詰の旬は素材の旬とはあまり関係がないのかもしれない。



メーカーさんに聞いてみました

まとめるのがとても難しいですが、今回食べ比べたサバ缶に関して言えば、確かに製造月によって味や食感に多少の差があったと言える。僕も実際に食べてそう感じた。これについてメーカーにも聞いてみた

「サバは秋から冬にかけて脂肪が蓄えられます。逆に春から夏にかけて獲れるサバは脂肪が少ないので、そういうところで味に違いがでることがあるかと思います。」

とのこと。やはり時期によって味が変わるのは本当のようだ。

しかし食べ比べの結果だけを見ると、5月のサバ缶が一番うまいように見える(いや、本当にうまかった)。5月は春だ。どういうことか。

メーカーの方はどの月の缶詰が一番おいしい、とは名言してくれなかったものの、こんなことを教えてくれた。

「缶詰は製造直後のものよりも、半年から1年くらい経ったものの方が魚と脂が馴染んで美味しくなると思いますよ」

***

そう、おいしかった2009年5月に作られたサバ缶は、製造から約10ヶ月なのだ!もしかしたら製造から日が経って、ちょうど美味しくなってきた時期だったということではないのか。逆に6位、5位だったサバ缶はまだ日が浅かったと見ることができる。

総合すると「サバ缶は秋冬製造で、しかも製造から1年くらい経っているものがうまい」といえそうだ。サバ缶、深いです。

疲れ果てたのか、ようやく出てきたビールにもこの表情。お疲れ様でした。

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