誰もが子供の頃「嘘つくと閻魔様に舌を抜かれるよ」なんて言われて恐れおののいたことがあるんじゃないでしょうか。
しかし大人になるとそんなことを意識することもなくなり、いつのまにか忘れ去られていく閻魔様。
そんな閻魔様を参詣する日があるんだそうです。……ということでその日に合わせて東京各地にある閻魔像を巡ってみました。
(絵と文:北村ヂン)
知らないうちに地獄の釜のフタが開いていた
今まで全然知らなかったのですが、毎年1月16日と7月16日は「地獄の釜のフタが開く日」とされているんだそうです。なにそれ、怖い! 知らないうちに年に2回もそんな恐ろしげなことが起こっていたとは……、こりゃ大変だ。
しかし、よくよく調べてみたら「地獄の釜のフタが開く日」というのは別に恐ろしいことではないみたいです。
普段は悪いことをした人をぶち込んでグッツグツに煮込んでいる「地獄の釜」も、この日は閻魔様や鬼たちの休業日(閻魔賽日)ということで、火を止めフタを開け、地獄の亡者たちも責め苦から解放される……そんな日なんだそうな。
はぁ〜、地獄にも休業日があるなんて知りませんでした。そりゃ毎日毎日、亡者たちを拷問しまくるっていうのもストレスたまりそうですもんね。たまにはバカンスにでも行きたくなりますよ。
こういうことではないでしょうが
そして、古くからこの地獄の休業日には寺院の閻魔像を参詣する風習があるんだとか。
どうやら東京都内にもいくつか閻魔像があるみたいなので、ボクもちょいと閻魔像を参詣しに行ってみたいと思います。
ほいっ、まずは西巣鴨にある「薬王山延寿院 善養寺」にやって参りました。
こちらには“江戸三大閻魔”と呼ばれる閻魔像のひとつがあります。しかも三大閻魔の中では唯一、当時のままの姿で残っている閻魔像なんだそうですよ。いわゆるオリジナル・デッドストックってヤツですか!? ちょっと期待しちゃいますね。
この本堂の中に閻魔様がいるのですが、普段は外から見ることしか出来ません。
しかし本日(1月16日)は特別に中に入って間近で閻魔様を見ることが許されているんです! ちょっぴりVIPな気分……嬉しいっ、ドキドキ……。
いやあ、思った以上にド迫力! ズドーンとデカくて、カラーリングが赤・黒・金(大胆!)。しかも顔が超怖い!
正直、ちょっとした木彫りの像がチョコッと置かれている程度のものを想像していたのでビックリしました。
それにしてもお寺にこれだけ殺気をビンビンに感じる像が置いてあるのは変な気分ですよね。お寺で仏像と対峙した時とはまたちょっと違う、なんともムズムズした気分になっちゃいます。
ちなみにこの日、善養寺さんでこんなお札とお守りを頂きました。ありがたやっ!
しかし、このお札に描かれているウーパールーパーの顔的なマークは一体なんなんでしょうか? 閻魔様をディフォルメしたイラストじゃないですよねぇ……。
薬王山延寿院 善養寺
東京都豊島区西巣鴨4-8-25
罪を許してくれちゃう閻魔様
さて、次にやってきたのは北千住にある「三宮神山大鷲院 勝専寺」。
ここには「おえんまさま」と呼ばれ親しまれている閻魔像があるそうなんですが……。
お寺の方に向かっていくとすごい量の屋台が!
お寺の門前まで屋台が続き、入口には赤字で「閻・魔・大・王」と書かれた提灯がバーンと掲げられています。……なんだかエラくおめでたい雰囲気ですね。
お寺の境内に入ってもこんな感じ、ほぼお祭り状態です。
この勝専寺では、1月と7月の閻魔賽日にだけ「おえんまさまご開帳」ということで閻魔堂の扉が開かれるため、沢山の人が閻魔詣りに訪れるそうです。
ちなみに、この日にお詣りをすると日頃の罪を許される上に、様々な病気に対してもご利益があるんだとか。
さてさて、どんな閻魔様さんでしょう?
……先ほどの善養寺の閻魔様と比べると随分とユーモラスな顔をしてますね。
口がパカーッと開いちゃっててあんまり緊張感がないといいますか……。
確かに色んな罪を許してくれちゃいそうな閻魔様です
さて、お詣りも済ませたことだし、次の閻魔様に向かいたいところですが、ちょっと気になる屋台があったのでここでご紹介しましょう。
まずはこの屋台。「あげもんじゃ」ってどういう商品なんでしょうか。「もんじゃ焼き」を揚げるっていうことなの!?
「もんじゃ焼き」ってこんな感じのヌトヌトでドロドロの食べ物ですよ。コレをどうやって揚げるんでしょうか!?
……と思っていたら、このような餃子っぽい皮に包んで揚げるみたいです。ほほーう。
もんじゃ好きとしては是非とも食べてみたかったんですが、屋台の主が留守で、しかもいつまで待っても帰ってきませんでした。残念。
そして、この屋台も非常に気になります……。
えーっと、えーっと……このネズミキャラは……!?
アヒルキャラまで……。閻魔様に裁かれる前に、あの会社から怒られないといいですね。
三宮神山大鷲院 勝専寺
東京都足立区千住2-11