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フェティッシュの火曜日
 
豆腐ようを手作りしてみた


これを作りました。これとは違うものになりました。

沖縄料理の店にいくと、必ず豆腐よう(ようの字は、右の写真参照)というものを食べる。豆腐を紅麹と泡盛に漬けこんで発酵させたものなのだが、元が豆腐とは思えないほどに、ねっとりとしていて味わい深く、とてもおいしい。

もしこれを家庭で作りできたなら、さぞや感動することだろう。発酵食品の手作りは危険な匂いがプンプンするが、ちょっと調べてみたら材料も作業工程もシンプルみたいなので、勢いで作ってみることにした。

玉置 豊



紅麹が手に入りませんでした

豆腐ようの製作工程でまず最初にやるのが、紅麹を泡盛に漬けておく作業。豆腐よう独特の鮮烈な赤い色は、この紅麹の色なのだ。

しかし、紅麹がどこにも売っていなかった。普通の白い米麹なら手に入るのだが、紅麹は心当たりを5件まわっても売っていなかった。さっそく前途多難である。

ないものは仕方がないので、手に入る白い麹で試すしかないのだが、普通の白い麹で作るのもなんだか悔しいので、発芽玄米こうじという変化球でいくことにした。


泡盛はハムみたいな名前のやつを買ってきた。まるだい。

麹に泡盛をダボダボと注ぎ、今は「チャレンジくさや部」の部室となっているチルドルームへ入れて二週間待つ。これがどういう意味を持つ工程なのかは、実はよくわかっていないでやっています。

沖縄の食べ物だし、チルドじゃなくて常温保存の方がよく発酵するのではとも思ったが、腐敗への不安感にはかなわない。


麹が赤くないので、ただ玄米に吸水させているだけのようで、気分が盛り上がってこない。
このときは、まさかここでくさやにチャレンジするとは思っていませんでした。

というのが、九ヶ月前、今年の三月の話である。

 

沖縄の豆腐を作る

豆腐ようで使う豆腐は、埼玉のスーパーで売っているようなものと違って、もっとガッシリした、沖縄豆腐とか島豆腐とか呼ばれる独特のものらしい。

これも紅麹と同じく近所では売っていないので、普通の豆腐ですまそうとも思ったが、それだともはや何を作っているのか原型がない。

紅麹はともかく豆腐くらいなら作れなくもないので、沖縄のやり方にならって豆腐を作ることにした。こんな時でもないと、沖縄風の豆腐なんて作る機会もないだろうし。

まず大豆を一晩水に漬け、新しい水と一緒にミキサーでガーっとやる。うちは電子レンジはチン、ミキサーはガー、すり鉢はゴリゴリっていう。


うちの安物ミキサーは、長い時間ガーってやっているとすぐ熱を持ってゴムが溶けたような匂いがする。冷めるのを待ちながらやるので、すごい時間がかかった。

一般的な豆腐は、大豆を水で煮てから砕いて絞りとった豆乳で作るのだが、沖縄の豆腐はこの生の大豆をガーした状態で絞る「生搾り法」という発泡酒みたいな方法で作った豆乳を使うのが特徴らしい。


ガーした大豆をさらしで絞る。結構力が必要な作業。
右が絞り出した豆乳で、左が搾りカスのオカラ。

この搾りたての豆乳、さぞやおいしいだろうと思ってちょっと飲んでみたら、ものすごいえぐかった。よく考えたら、これは生の大豆汁なので、まずくて当たり前だった。

豆乳を鍋で数分煮てから、70〜80度くらいまで少し冷まし、そこににがり(これはスーパーで売っていた)を適量投入。そう、豆乳に投入である。ここは声に出して読もう。豆乳に投入だ。

火を止めて手早くかき混ぜると、すぐに分離が始まるので、そのまま冷ます。


火を通した生搾り豆乳に醤油をたらすと最高にうまかった。もう少しいいミキサーを買ったら、また作ってみたい味。
豆腐作りは何回かしたことがあるけれど、この分離した状態をつまみ食いするのが毎回楽しい。

分離した豆乳の固形分を集めて適当に作った型に入れて、プロテインダイエットをするために買ったけれど結局ろくに使っていないシェーカーを重しにして水気をしっかりと切る。これで文字通り一丁上がりだ。


沖縄の豆腐は固いらしいので、二時間水切りをしてみた。
大量にオカラができてしまったので、お惣菜的なものをつくって一週間食べ続けることになった。

 

とりあえず固い豆腐ができた

すごい手間をかけてどうにか出来上がった豆腐は、とてもきめが粗く、なんだか沖縄豆腐というより、高野豆腐みたいな感じだった。ちょっと水切りの時間が長すぎたか。

しかし、目的である「固い豆腐」には間違いないので、豆腐よう作りは、これでいってみよう。普通の豆腐を水きりしたものでもよかったかもしれない。


ちょっと食べたら、市販の豆腐ではありえないくらい、舌触りの悪い豆腐だった。でも味はすごい濃くてうまかった。

ここまで苦労しておいてなんだが、実は「銀座わしたショップ」という沖縄のアンテナショップにいったら、お手頃な値段で沖縄の豆腐が売っていたので、抑えとしてこれも使うことにする。


ようするに、ここまでは沖縄豆腐を作ってみたかっただけという話です。

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