冬の海に降り立つお祭り野郎
キッチンとなる冬の海にやって来た。曇天なのが、より冬の海を演出し、男らしさを増幅させてくれている。しかし、男らしくないことを言おう。「寒い」のである。海風は冷たい。もっと男らしくないことを言おう。風邪気味なのだ。
帰りたいくらい寒いけれど、いまからエプロンとなる「半被」を着るわけだ。サーファーが海にはいるけれど、彼らはすごい。いくらウェットスーツを着ていても寒いはずだ。よっぽど男らしいではないか。しかし、僕も男だ、と言うことで、半被に着替え「男の料理」を始めることにした。
男の料理が始まります
料理前にはまず、手を洗わなければならない。「手を洗うなんてちまちまして男らしくない!」とも思うけれど、やはり衛生面は男か否かとは別の問題である。しかし、水道水で洗うのは男らしくないので、海の水で手を洗うことにした。
クリスマスケーキを作るので、生クリームを鍋に入れる。普通はボールだと思うけれど、「鍋」の方が男らしい気がしたので「鍋」をチョイスしてみた。もう気がついていると思うけれど、今回の「男らしい」は僕の偏見だけで成り立っている。
足が海に浸かっているため、どんどんと体温を奪われていく。それに耐える、実に男らしいはずだ。ただ寒いことがすべてマイナスと言うことではない。生クリームを泡立て機でかき混ぜるのだけれど、寒いおかげですぐにトロミがついてくる。 さらに僕の震えで、暖かい部屋で混ぜる時にはない振動も加わり、思いのほかすぐに生クリームはたった。
男らしくスポンジにクリーム
冬の海がキッチンの今回は、クリスマスケーキのスポンジ部分を焼くことができない。オーブンがないのだ。なので、スポンジは出来合いのものをスーパーで買ってきた。この辺の「すべて自分で作る」という考えを潔くあきらめた部分も実に男らしいと思う(都合よく男らしいを武器にしてるな〜とは思うけれど)。
作業台が空き箱というのも、男らしいと思う。しかし、こだわりを持つことも男の料理には必要だ。だから空き箱にはこだわった。実は、この空き箱には長崎すいかが入っていたのだけれど、そのスイカの品種が「祭ばやし」と言うのだ。「祭り=男」の図式が僕の中では成り立っているので、この空き箱がより「男らしさ」を演出してくれているわけだ。