単体で揚がらなければ連なっても揚がらない

過去さまざまな無茶な企画にトライ、ライターの工夫や執念、睡眠時間の削減などの結果、たまに驚くべき成功を遂げてしまうデイリーポータルZ。そのせいか、思いついた企画は理論的な裏付けがなくても何となくできてしまうんじゃないか...などと思ってしまう悪い癖が僕にはあるのですが、さすがに今回は、まず単体の容器を凧として成立させるところから始めることにしました。

そこで、連凧を揚げる数日前、ひとり近所の河原で実験を行いました。

ここはちょうど1年くらい前、ボールペンに羽をつけて飛ばした場所。飛ぶはずのないものが飛んだ、ゲンのいい河原です。きっとお弁当の容器もたやすく凧になってくれるのではないでしょうか。

まずはオーソドックスに、容器の真ん中に糸を通しただけのものを揚げてみます。案外これがふわっと揚がっちゃったりしてー。

揚がる揚がらない以前に、容器自身に凧になるという意識がまったくみられず、急に引っ張られて慌てふためきクルクル回ってしまう始末。最後は力尽き、仰向けになって木の葉のようにゆらゆらと揺れ落ちてしまいました。

ま、凧になって大空に舞い上がるための工夫を何もしていないので、これは当然でしょう。ここから少しずつ改良して、うまく風を捉えて安定飛行できるようになればいいのです。

と、初めは気長に考えていたのですが、しかし...。

寒風吹きすさぶ河原で3時間、いろいろ試行錯誤してみたのですが、状況は変わらず、容器が風を捉えそうな雰囲気はまったくありませんでした。

遠くの方で小さな犬が、飼い主が飛ばしたフリスビーをジャンプしてキャッチしています。揺れずに真っすぐ飛ぶフリスビー、そしてそれを的確にキャッチする犬を見ていたら、なんだか急にやる気がなくなって、弁当容器だけを揚げることは諦めました。鼻水出ているのに気づかないくらい顔が冷えていました。

仕方ない、あの方法をやるか。

弁当容器凧を牽引

時間をまたニフティ会議室に戻します。

単体では揚がらない弁当容器なら、いくら連ねたって揚がらないに決まっています。そこで、禁断の方法を採ることにしました。

ネットで調べた手軽に作れる凧。大きなゴミ袋を切って凧を作り、これを弁当容器が連なるいちばん後ろにつけて最初に揚げれば、それによって前にぶら下がる容器が揚が（ったように見え）るのではないでしょうか。

もうインチキだのなんだの言ってられません。容器を揚げたら勝ちなのです。

しかし、この手作り凧は揚がるものの右へ左へ大暴れ。作成者の性格が出たかのような落ち着きのなさで、長めの足をつけてもまったく安定せず、下に弁当の容器をぶら下げるどころの騒ぎではありませんでした。

時間も押し迫り、いよいよ残された最後の手段を使うことになりました。こんなこともあろうかと、おもちゃ屋で市販のカイトを買ってきていたのです。簡単に組み立てて試しに揚げてみると、今までにない力強い手ごたえ。それほど強くない風でもぐいぐい引っ張ってきます。

やっぱり長年市販されているものはすごい。500円くらいだったけど、今までの試行錯誤をすべて解決してしまいました。

弁当連凧の紐の先に買ってきたカイトの紐を接続し、さっそく揚げてみました。すると！

海から吹いてくる風に一番後ろの凧を乗せたとたん、ぐいっと力強く上昇。なんと、それに釣られて前に連なる弁当凧たちも次々と手から離れ、風を受けて空中で気持ち良さそうに泳ぎはじめたのです！

というわけで、ここに弁当容器連凧が完成したわけです。

うそです。完成してません。