むしろ、非常に無印良品らしい商品!?

「なんで無印良品がこんなに変わった商品を？」という前のめりな取材に応じてくれたのは、宣伝販促室の片寄さん。

お話によると、そもそも「無印良品として意外な商品だとは思っていないのですよ」ということでまた驚いた。

大変に気さくな方だったので、嬉しくなって私（右）まで一緒に写ってしまった。改めて見ても相当嬉しそうでお恥ずかしい。

さて、惣菜スナックの件だ。

「無印良品はお菓子メーカーではないですよね。だから、他のメーカーがやっていないことをやろうという意識を持っています。

今回の惣菜スナックは、一人暮らしの方がわざわざ作るのは面倒だけれど、栄養のバランスがいいお惣菜を手軽に食べられたら……　というテーマのもと作りました」

「他社がやっていないことをしているので変わったことのように見えるかもしれませんが、商品にはちゃんと理由があります。

それが無印良品らしさであると思っているんですよ」

しゅるしゅるしゅるしゅるしゅる……（古賀が納得してしぼむ音）。

ご説明ひとことで、すっかり納得してしまった。確かに変わった商品ではあるけれど、他の無印良品の商品と同じく便利でいい商品だと思う。残業とかダイエット中のおやつにもぴったりだ（すべてひと袋100kcal以下。ひじき煮にいたっては36kcalだもの）。

まずい。このままだとこれで取材終了になってしまう。記事、どうやって続けよう。

そうだ、企画担当の方はどんな気持ちで作ったんだろう。

“珍しいもん”作ってるなとは思っていた

企画を担当した方の思いも、文書の形でうかがうことができた。やはり「珍しいものを作っているな」という気持ちはあったようだ。

「フリーズドライという、素材をそのまま乾燥させる技術を使うので、はじめから珍しい物をつくるという意気込みで開発をはじめました。

はじめは冗談半分ということころもあって試作したため、出来上がったときは珍しいよりも、おもしろいという感覚が先行しました」

珍しいものを作っているという意気込みで、できあがったらおもしろい物だった。おお、感覚はやっぱりデイリーポータルと一緒だ！

ちなみに企画にあたって難しかったことは品揃えだそうだ。

「数あるお惣菜、やればやるだけ種類は出来てしまいます。作るのに手間のかかるアイテムという視点で決めました」

肉じゃが、ひじき煮、卯の花、里芋煮というラインナップはそういった理由だったのだ。やればできちゃうというのはまたすごい。

機会があったら次はぜひぜひこんにゃく煮とほうれん草のごま和えを作って欲しいです。でもこれはどっちも自分で簡単に作れるか。

変なことをやる、理由

人とは違うことをしよう、そういう思いが先走ると「なんかヘンなもの」が生まれる。

でも、「なんかヘンなもの」が存在するちゃんとした理由があると、その「なんかヘンなもの」が生きてくる。

「惣菜スナック」は「なんかヘン」だけど、発売された理由が自分（自社）のことばかりじゃなくて、人のことを考えている。それが無印良品「らしさ」につながっていた。

江戸っ子だったら「かーっ！」っと言ってしまいそうな仕組みの上にある、変わった商品なのだった。　

「変わったこと」「ヘンなこと」ってめんどくさくとらえられがちだけど、今回は超シンプルだった。無印良品にしてやられました。