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ひらめきの月曜日
 
なんでも寒天で固める国、秋田

思ったよりも悪くない

地元の高校生たちがキャッキャと賑やかに語らう中、恐る恐る寒天の試食は始まった。


この子たちも、家では寒天を食べているのだろうか。
ではまず、しょうゆ寒天から…
ん? おお?
なるほど、こういう味でしたか(安堵の笑みがこぼれた)

ビビリながら口に入れたが、これは悪くない。そしてこれはデザートだ。しょうゆと言いつつ、サラダ寒天同様やっぱり甘いのだ。

みたらし団子のタレの味っぽい、と言えば雰囲気が伝わるだろうか。溶き卵が見た目にいいアクセントになっていて、うん、これは好きな人にはたまらんだろう。

桃寒天は言わずもがなのおいしさでした。

秋田から帰って

寒天料理の本場だという県南部に住む友人に、寒天について聞いてみたところ、次のような返事が返ってきた。

創作寒天、、、あまりに種類があって良くわかんないですが。卵寒天、マヨネーズ寒天あたりはもう、ドーナツでいうオールドファッションの位置を占めてます(笑)

え? と思った。卵寒天はまだ理解できるとして、マヨネーズ寒天? そしてそれがポピュラー?

思わず「店で見かけたありったけの寒天料理を送って欲しい」とメールを出したところ、翌々日にはこれだけの寒天料理が送られてきた。ありがたや…。


左上から時計回りに、くるみ、玉子、ゴマ豆腐、小豆ゴマ。

「平日の仕事終わりにしか店を回れなかったので、これだけしか集まらなかった」とのことであったが、いやいや立派なものである。

ちなみにマヨネーズ寒天に関しては「きっと店に並べるレベルじゃなく、家でばあさんが作るような物だと思う」とのことであった。

それもどんな物なのか食べてみたいが、まずは目の前の4種類を食べてみようではないか。


クルミ寒天。これはもうお菓子屋で売っていいレベルだと思う。香ばしくてナッツ好きにはたまらないおいしさ。
玉子寒天。層が別れておらず、上から下まで玉子でビッシリ。甘くておいしい!
小豆ゴマ寒天。上の2つを超えたおいしさ。だってこれ、もうほとんど水羊羹だもの! ゴマのコクが素晴らしい!
ゴマ豆腐寒天。これが一番おいしかったかも。みっしり入った摺りゴマと豆腐がもっちりしてて…。ああたまらん。

どれもこれもお総菜が入るような発泡トレイに入れられ、無造作にラップをかけられているせいでいまいち華がないのだが、これは容器や切り方に気を配れば、かなり本格的なお菓子として売れるんじゃないかと思った。

それくらい普通に、きちんと、いや想像以上においしかった。

秋田は、私が思っていた以上に寒天王国だった。


もっと宣伝すればいいのに

秋田の人は、宣伝したりアピールするのが苦手なところがある気がして、常々「もったいないなー」と思っていた。

今回の帰省でも、川反という繁華街にある居酒屋のカウンターで、福岡から来たというお客さんに「秋田でしか食べられないものをお願い」と注文を受けたマスターは「きりたんぽ、ですかね…」と自信なさげに答えていた。

が、私は知っている。季節限定メニューの欄に「みずの玉の天ぷら」と書いてあるのを。この時期のオススメはコレしかないだろう!

「みずの玉」は、その辺で手軽に採れるような身近な山菜だ。でもすごくおいしい。そしてここでしか食べられない。それなのに宣伝しないのは、たぶん「誰もが知ってるような立派な物じゃないと他人様には薦められない」という謙遜の表れなのだろう。そしてそれは、今回の寒天料理にも言えるのではないかと思う。

寒天も豪華な食材ではない。しかし使い方によっては立派なデザートが出来ることは今回証明されたし、秋田にはその技術を持った人が山のようにいるはずである。

いつか寒天料理が秋田の名物料理として全国に知れ渡る日が来るといいなぁ…と思いながら、残った寒天を食べ続ける毎日だ。

寒天料理、もっと広まらないかなー。

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