これは噛むだろう、タコわさ
イカがおいしすぎて噛まずに飲み込んでしまったので、メニューの中で一番グニョグニョしていそうなタコわさにチャレンジだ。 ちなみにこれを実験していたのは午後6時30分ころだ。 ふだんタコわさは、ひと通り食べて、「もう一品くらいなにか頼みますか、長持ちしそうなのを。」という場合にオーダーするので、だいたい午前1時ころに登場するつまみだ。 ひょっとしたら生涯でもっとも早い時間に食べるタコわさかもしれない。 そう思うと、感慨もひとしおだ。
また飲んじゃう
36歳の男に「もぐもぐ」というキャプションを付けるのは気が引けるが、それどころではない。 わさびがつーんときて、思わず飲み込んでしまったのだ。 こりゃいかんと思ってもう一口食べてみたが、同じように飲み込んでしまった。 「からーい!」イコール「うまい!」なので、反射的に飲み込みたくなってしまうのである。
硬さではなく、おいしさではないか
僕はこの実験をするまで、飲み込むというのは、噛んでゆくに従い、食物が嚥下できるやわらかさになると起こる行動だと思っていたが、ひょっとすると違うのかもしれない。 ゴクリとやるタイミングは、もしかすると、おいしさの絶頂を自分が感じた瞬間なのではないだろうか。 つまり、口の中で噛みながら、おいしさのピークアウトを迎えた時点で、飲み込んでいると思うのだ。
チヂミで実験
この仮説の元に、特に硬くもやわらかくもないおつまみの代表ともいえる(ただ食べたかったという理由もあるが)チヂミを噛んで実験してみた。 すると、チヂミの場合も噛んだ回数は29回と、グニョグニョ系の食材と大差なかった。
カミングアウトと命名
やはり、僕の仮説は正しいようだ。 食べ物を飲み込むタイミングは、食べ物の歯ごたえによるものではなく、噛んでいると感じるおいしさのピークアウトに影響されるのである。 その飲み込むタイミングを僕は「カミングアウト」と名付けた。 もちろん、「噛む」と「ピークアウト」から採った、私の作った造語である。 (ちなみに、造語のことをダジャレと卑下する風潮を私は好まない)
ホルモンのカミングアウト
続いて僕の説を検証しよう。 やってきたのは、グニョグニョの王、ホルモンが食べられる焼肉屋だ。 内臓系の肉は、かなりの歯ごたえだ。 噛んでも噛んでも…というイメージがあるが、僕の説が正しければ、ホルモンのカミングアウトも、それほど多くはないはずだ。
さっそくミノとホルモンを注文した。 それぞれ何カミングアウトくらいだろうか。 ところで、歩数計は食べるときに邪魔なので外した。 お酒を飲むときにマスクをするのも心地よくないし。
やはり予想通りだ
ミノは、歯ごたえの点では今回もっとも高いが、38回で飲み込んだ。 ホルモンもかなりのグニョグニョだったが、飲み込んだのは35回噛んだタイミングだった。 僕のホルモンのカミングアウトは35だったということになる。
もっと噛んだほうがいいか
僕のカミングアウトは平均すると大体30数回というところだろうか。 先日見ていたテレビでは、ひと口に60回噛んだ方がいいといっていたが、僕はその半分だ。意識的にカミングアウトを増やした方がいいだろうか。 と、ここまで書いて思ったが、僕が飲み込むタイミングは、もしかするとビールを飲もうとするときなのではないかという気がしてきた。 早く次のひと口を飲みたいので、食べ物を飲み込んでしまっているのではないか。