エビはどこへいった
焼きあがったエビオコは、カキオコに比べれば割と普通のお好み焼きだった。普通といっても、そのうまそう加減は普通じゃないのだが。
作っている工程を見ていないと、残念ながらあれだけのエビが入っているとは分からない、ちょっと地味なビジュアルなのである。
事務局長(近鉄ファンじゃない方)も、「私なんかはカキオコよりもエビオコのほうがうまいと思うんですが、エビだとどうしてもインパクトが弱いみたいで、2003年からPRしているのですが、もうひとつ流行らないんですよねー」といっていたが、その実物を見て、なるほどと思った。
それでもエビオコはおいしい
あんなに入れたエビはどこにいったんだとコテで切って探してみると、干しエビのごとく申し訳なさそうに縮みきったエビが隠れるようにして入っていた。
これ、エビを入れた意味はあるのだろうか。エビ好きとしては大変不安な仕上がり具合である。
研究会の会長と事務局長がすぐ隣で見守っているという、コメントを選ばざるを得ない状況の中、小さくなったエビが隠れているところを食べてみると、これが派手さはないけど非常にうまかった。
焼くと悲しいほどに縮んでしまうガラエビだけど、縮んだ分だけプリッとしており、その風味と香ばしさは予想以上に強い。カキオコのようなわかりやすいゴージャス感はないのだが、エビの濃いうまみがお好み焼きのグレードを二段階持ち上げている。これは実際に食べてみないとイメージできない味だ。
よかった、おいしくて。
エビオコは予想以上にうまかった。でもタコオコもやっぱりうまかった。
だからたぶん、ブタオコでも、イカオコでも、この店で食べれば、なんでも予想以上にうまいような気もする。ここはそういう店なのだと思う。私がうまいお好み焼きを知らないで育っただけかもしれないが。
エビオコを名物にしようというのは、あくまで研究会が考えた「きっかけづくり」であり、研究会が推薦するお好み焼き屋で、年季の入ったおねえさんが焼いたお好み焼きだったら、具はなんだろうと、きっとだいたいはあたりのはずだ。
日生観光情報 その3 五味の市
海沿いには観光市場の「五味の市」があり、新鮮な魚介類や地元の加工品を買うことができます。冬場はカキがごろごろしていて楽しいです。
この日は大雨の影響で観光客がほとんど来ておらず、お店のおばちゃん、いやおねえさんたちは、黙々とエビの殻をむいていました。
つづく