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ロマンの木曜日
 
1日で東京湾を何周できるか


東京湾を何周できるか

東京をぐるぐる回る路線といえば、まず山手線が思いうかぶだろう。
山手線の外側には武蔵野線という路線があって、環状ではないけれど、東京を囲むように運行されている。

ほかに東京をぐるっと回る路線がないだろうかと地図を眺めていたら、いいのがあった。
千葉から東京を通って、神奈川に通じる、東京湾をなぞるように線路があるのだ。
ただ、海のところがつながっていない。
そのつながっていない海のところには、フェリーが運航されている。
東京湾フェリーだ。
フェリーを使えば、ぐるっと一周することができる。
それを、一日に何周できるか試してみた。

(text by 工藤考浩



こいうことです

東京湾をぐるっと回るというのは、つまり下の写真のようなことだ。
東京を起点にすると、横須賀線が久里浜まで通っていて、久里浜から対岸の金谷までフェリーが出ている。
金谷からは内房線で千葉に行き、千葉から東京を経由してまた久里浜へとぐるぐる回れるのだ。
これを、一日何周できるのだろうかというのが今回のチャレンジである。


ぐるり回れます

西大井をスタートします

僕の自宅が横須賀線の西大井という駅の近くなので、ここをスタート地点にした。
西大井から終点久里浜へ行き、ぐるぐると時間の許す限り周回するのだ。

何周できるのかは、電車とフェリーの時刻表を見ながら計算すれば割り出されるが、もちろん今回は実際に回って確認する。


こういう風に、ぐるっとまわる

まだ夜だ

あらかじめフェリーの第一便の時間を調べたところ、始発の電車に乗らなければならないことがわかった。
そのため、朝の3時過ぎに起床した。
朝3時といえば、場合によってはいちばん楽しく酒を飲んでいる時間帯だ。
そんな時間に起きて準備をし、外に出たがまだ真っ暗だった。


普段ならそろそろ寝る時間

まだぼーっとした頭で駅に急ぎ、始発電車を待った。
JR東日本がこの夏発売しているツーデーパスというのをあらかじめ購入しておいた。
関東近郊の普通列車が2日間乗り放題で、追加料金を払えば特急にも乗れる。
さらに、うれしいことにこの切符で、東京湾フェリーも乗れるのだ。
まさに、この企画にうってつけの切符である。


二日間乗り放題
始発に乗って久里浜ちゃんへ


乗客2人

始発電車は空いていた。
乗車駅から見て久里浜は下り方向なので、乗客は少ない。
僕の乗った車両には、もうひとりの乗客と僕しかいない。
うとうとするには最適の状況だ。


ねむい

と思ってうとうとしていたところ、横浜駅から見るからに不良の若者3人組が乗ってきて、大声で騒ぎはじめた。
かなり酔っぱらっている様子だ。

不快だと思ったが、酔っぱらい具合がひょっとしたら酒じゃないかもなというほどだったので、黙ってこらえた。
買ったばかりのデジカメはバッグにしまい込んだ。

二駅先でそのグループは電車を降りた。
不良の1人が、立ち上がるときに座席に携帯電話を落としたが、僕は気づかないふりをした。


少し明るくなってきた
鎌倉を通過

久里浜到着

それでも、不良が乗ってきたときは、何とかしなくちゃとも思ったのだ。
もう1人の乗客は若い女性で、もし不良が絡み始めたりしたら、知らんぷりはできない。
でも、知らんぷりしちゃうんじゃないか。
結局不良は女性に絡まないまま降りていったのだが、今起こった諸々のことを考えていると、頭が活動してしまって、眠る気にならないまま久里浜に到着した。


久里浜は終着駅です

バスがない

久里浜駅で写真を何枚か撮影していたら、フェリーの第一便に合わせてダイヤが組んであるバスに乗り遅れてしまった。
つぎのを待っていてはフェリーに間に合わない。
やむを得ずタクシーに乗る。


バス停はちょっと離れていた
すいません、フェリー乗り場まで


ペリー公園とか開国橋というのを横に見ながら、タクシーは港へと向かった。
海沿いに出ると、しっとりと霧が出ていた。


もうその先がフェリーターミナル

フェリーターミナル到着

乗る予定だったバスを追い越して、フェリー乗り場に到着した。
降りるとき、運転手さんが「出ないかもねえ」と言った。
すぐにはなんのことかわからなかったのだけど、港の景色を見て理解した。
霧が深くてフェリーが出港しないかもしれないという意味だきっと。


これに乗ります
フェリーターミナル到着時刻は5時56分

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