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東急メディアコミュニケーションズ


ロマンの木曜日
 
エスカルゴは大量発生しているのか

でもまだいるかも

「もういないですかね」と聞いたところ、そんな簡単に絶滅できるものじゃない、きっとまだ残っているはずだといわれた。
「もういない」という答えが返ってきたら、そのまま帰ろうかと思っていたのだが、そうはいかなかった。


いちおう軍手をはめてみた

ああいうところにおった

いそうな場所をその方に聞き、もうすこし探してみることにした。
具体的な生息場所を教えてもらったので、見つけるチャンスは増えたはずだ。
そういう風にむりやり気分を高めて探そう。


こういう茂みのところとか
湿っぽい日陰にいたらしい

探していると、情報を提供してくれたおじさんがときどき話しかけてくれた。
「今日は暑いからな、出て来んかも。」
「雨の日ならおるで。」
励ましてくれているのか、奈落の底に突き落とされているのかわからない。
でも、親切に「あの辺なら…」とアドバイスしてくれる。


見つかるのはセミばかり

どうしたものか

そろそろ暑さに耐えられなくなってきたので、近くののコンビニにいったん避難した。
冷房が効いた店内で涼みながら、次の一手を考えたが、なにも思い浮かばない。
もう不安すらも浮かばなくなってしまっている。

いちど団地を離れ、周辺を歩いてみた。
もしかしたら団地の外で繁殖し、駆除されずに残っているエスカルゴがいるかもしれない。
しかし、その期待も外れた。


余計な写真を撮り始めた
かっこいい給水塔

また団地へ

暑さも少し和らいできた。
もう夕方に近いのだ。
時計を見たら午後5時をすぎていた。
帰りの新幹線を考えるとそろそろタイムリミットだ。
最後に団地をひとまわりしていたら、さっきのおじさんにまた会った。
「まだ探しとるんか。そら東京から来て、手ぶらじゃ帰れんわな。」
核心を突いた言葉だ。
「でも、もう帰ります」と答えると、「見つけたら送ろうか?」といってくれた。
やさしい人だ。


「帰る前にここだけ見ていき」といわれたベンチの裏

…にもいませんでした



疲れた表情を作っているのではなく、無意識でこういう顔になっていた

帰る

一匹のカタツムリも見つけられないなんて、まさか、夢にも思わなかった。
しかし、これが現実だ。
不本意でも受け入れなければならないことはたくさんあるのだ。
新幹線に乗る前になにかおいしいものでもと思っていたが、そんな時間は残っていなかった。
せめてもと買った柿の葉寿司を食べながらのビールは、いつもよりも苦く感じた。

柿の葉寿司はおいしかった



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