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ひらめきの月曜日
 
糸通しになった私

フルーツカルピスは、薄めない!

何はなくとも最初に言いたいのは、今のギフト用のカルピスに入っているフルーツカルピスは、なんと薄めないということだ。これには3人で大興奮だった。

さらに「北海道」という新種のカルピスもセットされている。後で調べたが、これは百貨店のみで扱われたセットだったようだ。


なつかしのお中元その1 フルーツカルピス
お中元といえば瓶のカルピス。フルーツカルピスは、なんと「そのまま飲む フルーツカルピス」 「うすめずに」と書いてあるが、トロっとしていて原液のよう

「薄める手間は惜しまないから、原液にしてほしい……。これじゃ1本すぐ飲んじゃいますよ!」

と、かなり本気で残念そうだったのは宮城さん。宮城さんは1人暮らしを始めた頃、記念に自分専用のカルピスを1本買ったというほどのカルピス好きだ。

けれど、飲んでみると薄めて作るカルピスにはない、さっぱりかつ濃厚な飲み口で全員黙らされた。

「乳酸菌の乳VS酸で乳が勝ちつつでも酸なジュース!」と乙幡さんが言った感想が的を得すぎていてまたみんな黙った。

ちなみにカルピスギフトはものすごく、重かった。


よろこびの重み

ゼリーが記憶以上のおいしさ

アルミの蓋のゼリーやレアチーズケーキも贈答品ならではの品だと思う。

普通、家で食べるゼリーは小さなプラカップに入っている一口サイズのものばかりだった。

今回デパ地下に行ってたくさんのバラ売りにめぐり合え、オレンジのゼリーゲットした(その他おなじくアルミの蓋の「チョコレートのムース」などもあって、これがまた懐かしい)。


なつかしのお中元その2 アルミの蓋のゼリー
モロゾフのオレンジのゼリー。開けたとたんに放たれるオレンジの匂いがすごい!

これが、「ええっ」と驚くほどおいしかった。もう完全に記憶以上の味。もったりしていて、味が濃厚で、口にぶわぶわぶわわわわ、とゆっくり広がる。うへえ。

ゼリーは、なめてかかると火傷する。日々、「そこそこおいしい」デイリーゼリーを食べていると、上等のゼリーの殺人的なおいしさを忘れてしまうのだ。

宮城さんと乙幡さんも異様に言葉数が多くなっていることは覚えているのだが、私自身おいしさに驚いて、ふたりの言葉をメモに書き留めるのを忘れてしまった。

でも、子どもの頃からこんな味だっただろうか。今回買ったのはモロゾフだったが、これはちょっと高級すぎたか。


乙幡さんが、おいしさを説明しようとして考え込んでいる

売り物は、錦松梅と錦松梅入れ

錦松梅は、私ではなく知人が「これぞお中元!」と推してくれたメニューだ。確かにふりかけ界における贈答品の代名詞であるが、私は食べたことがない。

デパ地下で手配したのだが、売り物が錦松梅だけだったのには驚いた。フレーバー展開がないのだ。かたくなに錦松梅だけ。

いや、正確には他にも売っていた。それは「錦松梅入れ」だ。ガラス容器や会津塗りなど、なんと高いもので250,000円というのもあった(後でカタログを見たらその上に315,000円の商品も!)。


なつかしのお中元その3 錦松梅
紙箱の中ではさらにオリジナルタッパーに入っていました 早く食べたくて焦ってご飯をほぐし忘れる

さすがの、キングオブふりかけ。今回買ったのは110gで788円のもの。乙幡さんは「お中元で来るのを待つより、何かのご褒美として自分で買ってもいい」と言っていた。そうだ、時計とかアクセサリーとか買ってる場合じゃない。みんな、ボーナス入ったらごほうびに買うべきは錦松梅だ。

人それぞれのお中元ストーリー 〜乙幡さん編〜

ここまでお中元! お中元! と書きながらぐいぐい進んでしまっている本記事ですが、そもそも、お中元に縁のないお家も多いと思う。

実は、宮城さんも乙幡さんもご両親が公務員でらっしゃるということもあり、あまり激しくはお中元のやりとりはなかったそうだ。

そんななかで乙幡家に必ずお来る中元といえばキリンの「ハイパー70」だったそう。ハイパー70?

「四角いパックのジュースで、果汁が70%なんですね、で、上の部分が屋上みたいに、ほら、ヘリが付いていて……」

ここまで聞いて私は「あっ! あれですか!」と思い当たった。


スーパーのお中元コーナーで今でも扱っているのを発見!

ご覧になって「ああっ、これっ!」って思ってくださる方いたら嬉しいです!

そのほか乙幡さんは、プルトップのない缶ジュース(キリで穴を開けて飲む)も懐かしいと言っていた。宮城さんも同感していたが、これは私は覚えがない。まさに人それぞれのお中元ストーリーだ。


なつかしのお中元その4 鮭フレーク なつかしのお中元その5 味のり
乙幡さん、「家で焼いてほぐすよりおいしいってどういうことだ」と憤慨。なんだか不思議なおいしさがるんですよね 味のりはわざわざ買わない家の人間(私)にとってはやはりザ・お中元(お歳暮)な1品であるのです

人それぞれのお中元ストーリー 〜宮城さん編〜

宮城さんは、子どもの頃家庭の方針であまり家にお菓子がなかったそうだ。贈答菓子くらいでないと家では食べなかったそう。

なので、ゼリーやプリン、羊羹やヨックモックのようなお菓子がたまに家にあると「うわあ、なんか来たあ!」とばかりに乱舞したとのこと。

前出のようなゼリーについては「嬉しすぎてたくさん食べて怒られた」そうです。

ちょっと違うが、私は子どもの頃テレビを見せてもらえない家だった。たまに祖母宅に行くときだけ「世界ふしぎ発見」を見せてもらえていた、その感覚に近くてすごく嬉しかった。


なつかしのお中元その6 ヨックモック“シガール”
この柄の説得力といったら 数あるヨックモックのクッキーのなかでも、子どもが好きだと思うのはシガール

人それぞれすぎる、思い出のお中元菓子

ブランド菓子については、聞く人聞く人かなり違いがあった。ゴーフル、ルコルセ、ナボナ、鳩サブレ……これはかなり地域差が激しそうだ。

そんな中で、これはぜひ入れさせていただきたいと強引にねじこんだのがヨックモックのくるくる巻きのクッキー「シガール」”。

小学校高学年になったころあたりからチョコ系のヨックモック菓子にも興味をもつようになったが、それまではかたくなにシガールであった。

乙幡さんも好きだったそうで、食べ方には儀式があったのだという。


端っこから、はがしとるように食べる儀式 失敗すると、次の層までえぐってしまう

「こうやって、最初の1本はカリカリはがして食べます。2本めからは、普通に食べていいんです」

誰でもない自分で決めたルールに縛られる楽しみ。いかにも子どもの頃の感じ! ちなみに乙幡さんは

「お菓子のコロンは最初の5個は中身を吸って皮を並べて、その5個を一気に食べるというのが儀式でした」とのことで、かなり厳しいルールを課すタイプの子どもだったようだ。

子どもの頃に感じる「とくべつ」な感じがお2人と話していてもわさわさ出てくる。ああそうか、私はこういう感覚を誰かと共有したかったのか。

この日3人で食べた「我が心のお中元」は、これまで。お二人ともありがとうございました。思った以上に喜んでいただけて、ほっとした。

けれど、私はまだ探さなければならないものがある。缶詰のプリンよいずこ。

プリンの前に、台所でもらったレーズンバターの話

プリンのほかにもひとつ重要な手違いで持っていけなかった物がある。小岩井の「レーズンバター」だ(正式名称は「レーズンアンドバター」だった)。私が思い浮かべるお中元の筆頭食品なのだった。

母が晩ご飯を準備している間、「おなかすいたよー」と台所に行くと、よくこのレーズンバターを1センチぐらい切って渡してくれた。

子どもの大勢いる家庭がわざわざ買うような品ではない。これもやっぱり、贈答品ならではの食べ物だった。


なつかしのお中元その7 レーズンバター
当時ギフトセットでは三角柱のパッケージだった気がする 当然はじっこが兄弟間でも人気だった……と思うのだが、そこまで覚えていない、ギリギリの記憶

久しぶりに食べてみた。あまりにもバターアンドレーズンで、それ以上でも以下でもなさすぎてちょっとひるんだ。懐かしいといえば懐かしいけど、「なんだか不思議な食べ物だなあ」という感想が先にたつ。

正式な用法(?)としては、バーボンのようなお酒のつまみにするものらしい。それを子どもが食べていたのだ。手をべたべたにして。

「理由があって買った」ものではなく「期せずしてもらった」ものだからこそ、日常とは違うものが食べられたというのも、お中元の魅力だと思う。

ちなみに今回買った分は、普通にたべつつ蒸かしたカボチャにあえたりして使いきりました。レーズンバターとの付き合い方も大人になったもんだ。


ライター高瀬さんはコネタで肉を焼いていましたね!

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