「こうやって、最初の1本はカリカリはがして食べます。2本めからは、普通に食べていいんです」
誰でもない自分で決めたルールに縛られる楽しみ。いかにも子どもの頃の感じ! ちなみに乙幡さんは
「お菓子のコロンは最初の5個は中身を吸って皮を並べて、その5個を一気に食べるというのが儀式でした」とのことで、かなり厳しいルールを課すタイプの子どもだったようだ。
子どもの頃に感じる「とくべつ」な感じがお2人と話していてもわさわさ出てくる。ああそうか、私はこういう感覚を誰かと共有したかったのか。
この日3人で食べた「我が心のお中元」は、これまで。お二人ともありがとうございました。思った以上に喜んでいただけて、ほっとした。
けれど、私はまだ探さなければならないものがある。缶詰のプリンよいずこ。
プリンの前に、台所でもらったレーズンバターの話
プリンのほかにもひとつ重要な手違いで持っていけなかった物がある。小岩井の「レーズンバター」だ(正式名称は「レーズンアンドバター」だった)。私が思い浮かべるお中元の筆頭食品なのだった。
母が晩ご飯を準備している間、「おなかすいたよー」と台所に行くと、よくこのレーズンバターを1センチぐらい切って渡してくれた。
子どもの大勢いる家庭がわざわざ買うような品ではない。これもやっぱり、贈答品ならではの食べ物だった。 |