パチンコ台の釘にも歴史が
それじゃあそろそろ実際に釘の調整を体験してみたいところですが、その前にちょいとパチンコ台の歴史を。
この頃の釘は単純に一定間隔で並んでいるだけで、ルールも穴に入ると何個か玉が出てくるというシンプルなもの。
この釘配列だと、玉はただただ落ちていく一方で、狙って打ちようもない、本当に運任せなゲームだった。
そんな釘の配列に革命を起こしたのが、パチンコの神様と呼ばれている正村竹一氏が昭和23年頃に考案した、この「正村ゲージ」とよばれる配列。
単純な障害物でしかなかった釘の配列を工夫することによって、左右に弾かれたり、跳ね返ったりとダイナミックに玉が動くようになり、さらに狙い所によって入賞口に入る確率が大きく変動するなど、戦略性が高まった。
それに伴い細かい釘の調整も必要となっていったのだ。
ついに釘が僕の思うがままに
ほいじゃあ実際に釘の調整をやってみましょう。
はい、コレが釘の調整に使用する道具。
下のハンマーは、まあ普通のハンマーですが、注目なのは上の「ゲージ棒」と呼ばれる道具。
棒の両端にパチンコ玉大の玉がくっついていて、これをガイドにしてどのくらい釘を開けたり締めたりするのかを決めるのです。
ちなみに、どーして二個も玉がついているのかというと、片方が11.04mm、もう一方が11.08mmと大きさが違うんですね。
当然大きい方を基準にすれば玉が通りやすくなるわけです。
たった0.04mmの違いでそんなに差が出るのかな? と思うかもしれないですが、さらに細かく調整する時には0.01mm刻みのゲージ棒を使用するんだそうで、それだけ微妙なものなんですなぁ。
ちなみに、写真ではほとんど分からないと思いますが、手に取ってみると意外にちゃんとどっちが大きいかって分かるんですよねー。
いよいよガパッと前面のガラスを開けてもらいました。
この段階でもう、普段のパチンコ屋ではお目にかかれない光景ですからね。
ガラスが開けられて、無防備になったパチンコ台を目の前にしたら コレをやってみたくなっちゃいますよね。直接、抽選入賞口に玉を放り込む! うん、ちょっと嬉しいぞ。
それじゃホントに釘を打ってみましょう。
「釘師体験コーナーを作った当初はもっと乱暴に扱われるかと思ってたんですけど、逆に思いの外みなさん軽くしか叩かないもんで 、それじゃあ全然曲がらないんですよ」
ということで、こんな貼り紙をするようになったらしいんですが、やっぱ壊しちゃいそうであんまり思いっきりは叩きづらいですよね。
それでも思い切って
「大丈夫かな?」というくらいのイキオイでガッキガッキと叩いてみると、おっおっ! クイックイッと少しづつ釘が曲がっていく! なんとなーく職人気分で楽しいッ!
とはいえ、このインチキ釘師はどこをどういじくったらいいのかよく分からないので、とりあえずこの抽選入賞口の上の二本を思いっきり開けるという、ものすごーく安易な調整をしてみました。どうでしょうか?
いやあ、実際にやってる最中は「こりゃあバカみたいに開けちゃったなぁ 」などと思っていたんですが、写真で見てみると全然分からないですね。写真向きじゃなかったなぁ、この企画。
ま、せっかくなんで、とりあえず実際にプレイしてみましょう。
うーん、やっぱり普通のパチンコ屋じゃありえないくらい釘を思いっきり開けているだけあって、簡単に入っちゃうぞ! 嬉しいッ!
でも、自分でお金を払わないでやるパチンコってあんまり面白くはないですね。
正直、パチンコ台を愛しまくっている牧野さんが近くで見ていると、全面のガラスがパカッと開いている超無防備な状態であってもあんまり無茶なことはやりづらかったです。パチンコ台を思い通りにするには、やっぱり自分で買わなきゃならないのかも 。
それでも普段絶対にいじくることの出来ない釘を好き勝手にカンカン叩いちゃうというのは、何かイケナイことをしているような気持ちになって気持ちよかったです。
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