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フェティッシュの火曜日
 
スーパーで買ってきたモヤシを育てられないか

豆には豆か

砂糖を入れるとか入れないとか、ぜんぜん関係なくモヤシは召された。賞味期限の前に。
ところでモヤシは腐りやすい。学生時代、モヤシが腐っているのに気づかず焼きそばの具に使い、ひと口食べて「あれ、なんで東南アジア風?」と首をかしげたりしたものだ。
そんなモヤシも、ぼくに育てられることで賞味期限という檻を飛びだし大空へはばたくはずだった。はずだったのに、腐るまえに枯れた。

なんだろう。やっぱり栄養がよくなかったのか。いきなり砂糖というのはちょっと刺激が強すぎたのかもしれない。じゃあいったい、なにがいいのか。



あった! あったよ!!
豆乳、豆だもん。豆のミルクだもん!

考えつづける人間に神様は微笑むのだ。たまたま家にあった豆乳。これもってこいですよ、先輩。
大豆と緑豆という違いはあるものの、同じ豆である。含まれている栄養が悪い影響を及ぼすとは思えない。これを寒天で固めて培地にしてやればいいのだ。いやっほう!


いやっほう!

いやっほう!

いやっほ……

 

 

なにもかも間違っているのか

水をよく吸わせるための水切り。土がわりとしての寒天。養分としての砂糖や豆乳。これらはすべて間違っていたのだろうか。まあ、豆乳は固めた時点でそうとうダメな予感はしていたが、念のため水でかなり薄めた豆乳を使ってもダメだった。
いや、ごまかすのはよそう。はっきりと間違っていたのだ。なぜなら、


ただの水ですくすく育つモヤシ

袋に入っていたまま、水切りなどなにもせず、ただ湯呑の水にさしておいただけのモヤシは、ぼくが失敗を重ねる数日のうちにすっかり立派になっていた。葉はきれいな緑だし、首の部分も起き上がり紫に色づいている。これはもう、ほとんどモヤ氏である。


あんなにひ弱だったおまえが

本当はこれが失敗して、「ただ水に入れただけではちゃんと育たないんですね」という流れにもっていこうかと思っていたのだが、どうやら野菜の生命力をみくびっていたらしい。モヤシあなどるなかれ。世のモヤシっ子よ、勇気を持て!


袋の中でふつうに緑になっている
モヤシの葉をみて感じた敗北

 

でも栽培っぽくない

そう、「っぽくない」。やっぱり形って大事だよね。ただ水にさしただけでは、雰囲気「育ててる」感じがしないじゃないですか。つまりぼくは寒天培地にこだわりたいのである。水分を供給しながらなおかつモヤシを固定できる。植物をまっすぐ育てるためには、あの方法は間違っていないと思うのだ。


そこで

最初から寒天に植えこむというのがまずかったのだ。弱い状態の生き物にとって、生育環境の急激な変化は多大なストレスにちがいない。でもここまで育てば大丈夫。寒天に移植しよう。


さしこむ

植物は重力に逆らって伸長する。きちんと縦に固定してやらないと、いつまでも茎が曲がったまま成長してしまう。そうならないためにも、この移植は重要な意味を持っている。


やあ! うっかり折れたよ!

移植は寒天が固まりきらないうちにやるべきだ。ぜひ覚えておいてほしい。


仲間入り

さて、ほかのプランターと並べてみたら、「育ててます感」が一気に増した。おお、立派な観葉植物じゃないか、モヤシ。やっぱり湯呑に立てているのとは気分がちがう。今後の成長に大いなる期待を抱く


 

 
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