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フェティッシュの火曜日
 
秩父産メープルシロップが舐めたい

樹液の採取

結構な斜度を登って近くまで行ってみると、木の幹に特殊な器具を介してパイプが刺さっていた。ここから染み出た樹液がパイプの中を通って、下のポリタンクに溜まる仕組みらしい。

もちろんこの会では、ちゃんと土地所有者に許可をとった上で、木にダメージを与えない方法で樹液を採取しています。


場所が斜面なので、ポリタンクが木に寄りかかっているようでかわいい。 まさかこの中に樹液が溜まっているとは誰も思うまい。森でもし見かけても、絶対にいたずらしないでくださいね。

細かい採取方法については、会の方が県や市などと協力して蓄えたノウハウであること、またこれを読んだ方がマネをして他人の土地で勝手に採取してしまうなどの問題を避けるため、ここでは掲載しません。あしからず。



メープルシロップはモミジからもできる

さてここで気になるのが、このメープルシロップとなる樹液のでる木が、一体なんの木なのかだ。この木なんの木、気になる木。

会の方曰く、メープルシロップの本場カナダでは、主にサトウカエデという木から採られているのだが、日本にはサトウカエデは自生していない。

この木はなんとヤマモミジなのだという。

私も初めて知ったのだが、メープルシロップはサトウカエデでなくても、カエデの仲間だったら、日本在来種のイタヤカエデやヤマモミジ、メグスリノキなど、ほとんどの種類から採取することができるのだ。


落ち葉を見ると、確かにモミジの木でした。 これは別の採取場所のイタヤカエデの葉っぱ。

モミジといったら紅葉(こうよう)を楽しむだけのものだと思っていたが、まさかその樹液がメープルシロップになるとは知らなかった。

このゾウみたいな灰色の木の中を、あの甘いメープルシロップの素が流れているというのが不思議である。


ちっとも甘くなさそうな木なのに。


樹液を採取できるのは期間限定

このカエデやモミジの木々から樹液をとることができるのは、1月から3月までの冬季限定(取材は三月末)。その中でも本当によく出る時期はわずか2週間程度で、標高や木の種類などによって変わってくる。

今日は今期最後の採取なので収穫量も少なく、作業も回収だけなのだが、ハイシーズンは毎週重いポリタンクを回収して、また木にセットするという重労働の繰り返し。しかも季節は真冬。雪のため作業ができないことも多いという。ちなみに赤いポリタンクを使っているのは、雪の中でも目立つようにだそうです。

お菓子屋さんって大変なんですね。いや普通のお菓子屋さんの仕事じゃないですよね。


今日が今シーズン最後なので、採取用に開けた穴に防腐剤を注入。土地所有者から借りている木なので、木の寿命を縮めない、枯らさないということが大前提。 樹液採取班長は185センチあったのだが、この重労働でずいぶんと背が縮んでしまったそうだ。初対面の人からそういうウソをつかれるのはうれしい。

メープルシロップとは、来るべく春の芽吹きに備えて、木々が大地から汲み上げている水分と養分のおすそ分け。

この季節は木が水を吸い上げてしまうので、森に流れる沢の水位が下がるのだという。


もう新芽が出てきているので、樹液採取は終了の時期。 水がすっかり枯れた沢。
 
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